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高い靴と私の四年


高校三年生の頃、私は〝高い靴〟にハマっていた。
高校のクラスメイトの中で靴が好きな人は一人もいなかった気がする。

でも、私の周りに靴が好きなフォロワーは多かった。私は中学三年生の頃からSNSでのフォロワーと呼ばれる知り合いがリア友(現実の空間で友人と呼べる人)よりも多かった。

私のフォロワーは1〜4年ほど歳上の男性が多かった。服とか靴とか最新のゲームとかパソコンとか、そういう趣味も幅が広くて私の中のイケてる人達でもあった。

そんな人達が一段と気を遣って持っていたとか、欲しいと口にしていた(実際には文章でしか触れてないが多分声に出しても言っていた)ことが「(新しい高い靴)欲しい」だった。

中でも人気があったのが、ポジットとかいうテカテカした靴だった。

でも、何で観たのか私はReebokのインスタポンプフューリーがグッときた。
フューリーなのかヒューリーなのか声に出してみると難しいのが面白いかなと思う。

高三の秋

※すみません。ほんとに秋だったかは記憶が曖昧で定かではないです。

バイト代は全部その月のうちに使い込んでしまう暮らしをしていたので、給料日のすぐ後に原宿のReebok直営店まで友達と一緒に行った。

店に入って割とすぐに、これがいいかなと思うデザインのものがあった。
店員さんは「それは復刻版のデザインで、次に出るのは2年後ぐらいですかね〜」と言っていた。
今を逃したら2年先までこれを買えないかもしれない!?と瞬時に思った。
これにしようと思い、その場ですぐ購入した。
デカい靴の箱を持ちながら原宿を歩いた。

次の日から学校に履いてった。
18,900円(うろ覚え)の靴を履いて歩いてるという事実が自信につながった。
こんな高い靴誰も校内で履いてないなと思うと楽しかった。

日々

四捨五入して二万円の靴だったがどこに行くのにも履いて行った。
最初の頃は汚したくなかったのでバイトに行くためには履いていかなかった。
そのうち就職して、内勤の日に履いていくと歳上のおじさんが「その靴流行ったよね懐かしい!」
と声をかけてくれるのが嬉しかった。
内勤じゃない日も履くようになり、汚れるようになったので風呂場で洗うようになった。
外で干しているうちにだんだんと色褪せていたことに気づいたのはそれから3年経った頃だった。

2年後+1年

2年目の頃から、もう少しシンプルなデザインのでもう一足欲しいなと思うようになった。
でも、流石に高いのですぐに欲しいわけでもなかった。
そんなこんなで気がついたら3年経った頃に、かかとに触れる内側の部分の布が破れていたことに気がついた。
ネットで同じ形の靴を探したら普通に売っていたが、今自分が履いているものとネットに載っているものでは色の鮮やかさが別物のように違っていて、なんとなくこれを履き潰してから買おうと思うようになった。

同じものをもう一度買う

初めて買った時から丸四年は過ぎていた。
つい先日、新しく同じ形のデザインが違う靴を購入した。
同じ形とはいっても、ベース自体が四年前とは異なるものにリニューアルされていたので全く同じではなかった。

これにしようかなと手に取ったものを「それ一番人気なんですよ!」と店員さんから言われてしまい、人と被るなら辞めようかなと思ったが大人になったので冷静に、そもそもこの靴を履いている母数が少ないから街中で被ることはないだろうと思い、購入に至った。
レジを通す直前に「無料で郵送できますが」とも言われた。もし一人で買い物に来ていたりしたら「いや、持って帰ります」と言っていたところだったが、付き添いに来てくれた人が「へぇー!無料で郵送できんのめっちゃいいじゃん」と言ったので郵送にしてしまった。

月日と選択と

同じものをもう一度買っても、購入に至るまでの様々な選択をする過程で今までと違うものになったところにこの4年という長さを自分の中でやんわりと感じることができた。

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