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社会的企業の実例(アメリカ編)

社会的企業はどういうものか、実例を見て行く方が早いでしょう。

拙著の中で、アメリカとイギリスの社会的企業の違いについて説明しています。具体的にどう違うのか。

まず、アメリカでは、社会的企業は、株式を公開しているような、比較的規模の大きい企業をも対象となっています。

以下は、ローリエイト・インターナショナルというところのリンクです。

ローリエイトは、アメリカで大学を運営しており、世界中に大学のネットワークを張り巡らせています。そして、株式を公開しています。その大学ネットワークは中南米が多いようですね。

日本では、大学というのは社会的な意義と責任が大きいことから学校法人による運営のみが認められてきましたが、特区において株式会社による大学経営が認められるようになりました。数は多いとは言えないようですが。

株式会社として私的利益を追求しながら、教育という社会的事業を営むということで、ローリエイトのような「会社」運営も可能となるのが、社会的企業です

社会的企業というのは、イギリスがそうであるように、コミュニティと密接に関係する事業が多いですが、ローリエイトの場合、単なるコミュニティを越えた存在です(「コミュニティ」という語が多義語であり、共同体と訳すれば、大学もまたコミュニティと言えるかも知れませんが)。

このようにアメリカの場合は、地域という意味のコミュニティの枠を超えた、非常にスケールの大きい社会的企業が存在するのが特徴です。

さて、このローリエイトがなぜ社会的企業と呼べるのかですが、それは、ローリエイトがB Labという団体から、B Corporationという認証を受けているからです。これはあくまで民間団体による認証であり、法的なものではないです(ややこしいのは、法的な社会的企業として、Benefit Corporationという形式が存在します)。B Labによる認証の内容は、以下のリンクを見ていただければと思います。

この認証の方法や、仕組みの詳細は、拙著をお読みいただくとして、ローリエイトが社会的目的(彼らのサイトによれば、高いレベルの教育をアクセッシブル-誰でも受けられるよう-にする)を掲げ、この目的の達成具合などをB Labが検証する事で、B LabによるB Corporationという認証が受けられるのです。あくまで、民間主体の自主的な取り組みですが、このような上場企業も社会的企業に取り込もうというのがアメリカの社会的企業のあり方です。上場企業でも、株主の目だけを気にするのではない経営を可能にするものです。

もちろん、株主、ファンドなどの立場からの批判もありますが、最近ではESG投資だとか、CSI(社会的責任投資)とかが流行ってるので、そのようなファンド系からも肯定的な見解が目立つようになりました。




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