見出し画像

社会的企業の実例(英国編その2)

英国では、社会的企業(ソーシャル・エンタープライズ)をフットボール・クラブの運営に活用している例を、その1で紹介しました。もう一つ、フットボール・クラブの例を上げましょう。

英国では、社会的企業とはフットボール・クラブの事なのか、あるいは、フットボール以外に社会的なものはないのか、という揶揄が出そうですが、もちろん、もっといろんな分野で活用されています。フットボール・クラブの例は端的にわかりやすいので例として取り上げています。

その1で紹介したのは、CIC(コミュニティ・インタレスト・カンパニー)という法制度を利用した例でした。今回、紹介するのは、似たようなネーミングの制度でCBS(コミュニティ・ベネフィット・ソサイエティ)と呼ばれるものです。

Banbury United Football Club

https://www.banburyunitedfc.co.uk/

バンブリー・ユナイテッドというチームがあります。大学町であるオックスフォードから車で30分くらいのところにバンブリーという町があります(筆者はここを車で通ったことがあるので100%記憶に頼って言ってますw)。そこの町のクラブです。

このクラブが、CBSという組織形態になっています。

https://www.banburyunitedfc.co.uk/a/community-benefit-society-43963.html

前回、紹介したCIC(コミュニティ・インタレスト・カンパニー)と何が違うかと言いますと、CICの場合は、株式会社(またはそれに近い形態)ですので、基本的に会社の重要な意思決定は、株式の保有数に左右されます。通常の株式会社と同様に、1株1議決権となっていますので、地域のサポーターまたは地域のサポーターの考えに近い人達が大株主を形成していれば、地域に根差した経営ができますが、そうでは無い者が大株主となった場合、やはり資本の論理が優先される場面がないとは言えません(CICの場合、それでも普通の株式会社と違って、資産ロックと呼ばれる資産譲渡制限がありますので、勝手に会社財産を切り売りしたりはできませんが)。

それに対して、CBSの場合、生活協同組合などの運営と同様に、持分数に拘わらず、1人1議決権となっており、民主的な運営が可能です。つまり、資本としては多数派を形成していなくても、地域のサポーターが積極的に持分を取得し、人数の上での多数派を形成すれば、それらのサポーターの望む運営が可能になるというものです。

CICにしろ、CBSにしろ、地域のクラブのサポーターが株式などの持分を取得することで、サポーターが運営に参加できるのがメリットなのです。

前回と今回と、英国のフットボール(サッカー)・クラブでの社会的企業(ソーシャル・エンタープライズ)の実践を紹介しましたが、もちろん、社会的企業は、スポーツ・クラブのためだけのものではありません。荒廃地区の活性化などの地域事業を営むCICなども多く存在しているようです。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?