[report]『画鬼 河鍋暁斎×鬼才 松浦武四郎』静嘉堂@丸の内
※タイトル画像 河鍋暁斎《武四郎涅槃図》(部分) 松浦武四郎記念館
【これから見にいく方へ】
・『がいなもん 松浦武四郎一代』河治 和香 (著) を読んでから行くと、より楽しい。(小説に出てくる品々が展示されている)
・河鍋暁斎《地獄極楽めぐり図》は4回場面替えあり。
4.13-4.27 1〜10図(冒頭〜冥界へ旅立ち。冥府の関所)
4.28-5.12 11-20図(三途の川、賽の河原〜冥府の旅館「はりやま」到着まで)
5.13-5.24 21-30図(先に往生した親族と再会、冥府の盛場、冥府の芝居見物)
5.28-6.9 31-40 図(地獄見物、極楽駅 汽車到着 親族の出迎え、如来となって極楽パラダイス-終)
開催情報
静嘉堂文庫竣工100年特別展
『画鬼 河鍋暁斎×鬼才 松浦武四郎』
「地獄極楽めぐり図」からリアル武四郎涅槃図まで
場所:静嘉堂@丸の内(東京都千代田区)
開催日:2024.4.13.sat-6.9.sun
入館料:1500円(一般)
ぐるっとパスで一般料金の200円引
内容:河鍋暁斎と松浦武四郎、二人を支えた人々の古物(文化財)への情熱に思いを馳せる
見どころ:リアル「武四郎涅槃図」、河鍋暁斎《地獄極楽めぐり図》
※国宝「曜変天目」も出品
※Gallery1、Gallery4は写真撮影不可
主な登場人物
柴田是真(1807-1891)
漆工家、絵師。暁斎と不仲?小野湖山(1814-1910)
漢詩人。武四郎の友人。松浦武四郎(1818-1888)
探検家。好古家。著述家。北海道の名付け親。「北海翁」三浦乾也(1821-1889)
陶工。武四郎の最初の妻の兄。川喜田石水(1822-1879)
武四郎の幼馴染で親友、共に古銭蒐集家。伊勢の豪商、川喜田家第14代。蔵書家で文化人。勝田五兵衛(?)
日本橋で小間物問屋を営む豪商。暁斎のパトロン。河鍋暁斎(1831-1889)
絵師。画鬼。武四郎のご近所さん。日下部鳴鶴(1838-1922)
書家。岩崎彌之助(1851-1908)
三菱2代社長。静嘉堂の創始者。武四郎旧蔵品を収集。勝田田鶴(1855-1869)
勝田五兵衛の娘。14歳で早世。川喜田半泥子(1878-1963)
石水の孫。川喜田家第16代当主。百五銀行頭取。陶芸家。千歳文庫を創設。明治生命の大株主。岩崎小彌太(1879-1945)
彌之助の子。三菱第4代社長。静嘉堂初代理事長。明治生命の大株主。安村敏信(1953-)
静嘉堂文庫美術館館長。山本命(1976-)
松浦武四郎記念館館長。
章構成覚書
第一章 暁斎と武四郎―『撥雲余興』まで
暁斎は湯島に、武四郎は馬場先門近くや神田五軒町と近所。
1872 武四郎、暁斎に初めて挿絵を依頼。『西蝦夷日誌』
1858 武四郎、古物蒐集に拍車がかかる
愛蔵品図録『撥雲余興』(暁斎に12図の挿絵を依頼)
松浦武四郎《東西蝦夷山川地理取調図》(部分)静嘉堂
河鍋暁斎《地獄極楽めぐり図》静嘉堂
『撥雲余興』静嘉堂
8.《石釧・車輪石》「うつもれし土銭の世にあらはれて 人の宝となりにけるかな」第二章 暁斎と武四郎―天神信仰と祈りの造形
暁斎と武四郎は共に天神(菅原道真)と観音を篤く信仰。
《 天満宮二十五霊場神鏡背面拓本》
天神像、火之用心袋、骸骨図縫付傘第三章 暁斎×武四郎=「武四郎涅槃図」
河鍋暁斎《武四郎涅槃図》と描かれたコレクション実物="リアル武四郎涅槃図"第四章 好古趣味の系譜―静嘉堂文庫と千歳文庫
実業家にして好古の人々、岩﨑家、川喜田家の縁
武四郎旧蔵品ー明治末頃、岩﨑彌之助の所蔵となり静嘉堂文庫に秘蔵。
川喜田石水:武四郎の幼馴染で古銭収集仲間。
→川喜田半泥子:千歳文庫を創設。岩﨑小彌太と交流あり。共に明治生命大株主
松浦武四郎《近世蝦夷人物誌》
川喜田石水の中国古銭コレクション
《曜変天目》
関連書籍
『がいなもん 松浦武四郎一代』
河治 和香 (著) 小学館
ISBN : 9784093865104(ハードカバー)
ISBN : 9784094072754(小学館文庫 か 4-9)アイヌ人物誌-松浦武四郎原著『近世蝦夷人物誌』 新版
青土社
ISBN : 9784791770960
http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3204
関連ページ
↓松浦武四郎記念館(三重県松坂市) 公式サイト
資料が充実!「週刊武四郎」が楽しい
↓三重県立図書館 デジタルライブラリー
「撥雲余興」が読めます
感想
ホワイエに入って足元を見ると、松浦武四郎《東西蝦夷山川地理取調図》(複製)を踏んでいたことに気づきました。
エーッ!これ全部歩いたの?!島もあるけど?
…すごい…歩くだけでも気が遠くなりますが、地名も調べてこんなに細かく記入するなんて…唖然…
冒頭から強烈なパンチ喰らいましたが、気を取り直して Gallery1 へ。
Gallery 1 第一章 暁斎と武四郎―『撥雲余興』まで(撮影不可)
河鍋暁斎《地獄極楽めぐり図》。
場面替えがあるのは知っていたのですが、4回もあるとは知らなかった。
私が見たのは冒頭から冥府の関所のあたりの1〜10ページ。
地獄でもコミカルで、ちょっぴり楽しそう。
その昔のアニメ「タイムボカン」シリーズで、最後にドロンジョ様たちが「おしおきだベェ〜」されて自転車漕いでるくらいなお仕置き感。
展示室内にショップで販売している複製版「とことん鑑賞 地獄極楽めぐり図」の見本が置いてあるので、解説を読んで鑑賞することができます。
複製版は80%縮小もあってか、少し色味がきつい。
本物は絵本のようなほわっと優しい色。
Gallery 2(第二章 暁斎と武四郎―天神信仰と祈りの造形)
当展関連イベントで河治和香さんを招いてのトークイベントがあったので(残念ながら参加はしていません)、『がいなもん』読んでみるかーと読書中だったのですが、当展、『がいなもん』読んでから行くと作中に出てくる品々が出てきて、楽しい!
Gallery 3 第三章 暁斎×武四郎=「武四郎涅槃図」
本展メインディシュ「リアル武四郎涅槃図」。
追加や手直しで6年かけて暁斎が描いた作品。
暁斎は、頻繁に督促に来る武四郎を「イヤミ老人」と日記に書いていますが、こんなに長年加筆・修正してるって、仲良しですね。
暁斎…人が良いような…早く納品しちゃえば…というか…
…完成してよかったね。
Gallery 4 第四章 好古趣味の系譜―静嘉堂文庫と千歳文庫(撮影不可)
80.松浦武四郎『近世蝦夷人物誌』
武四郎自ら描いた挿絵入りで、アイヌの人々を記した書。
武四郎の絵は、コロンと丸っこくて可愛らしい。
83.中国古銭一式
武四郎の幼馴染で古銭収集仲間、川喜田石水の古銭コレクション。
1〜2枚ずつ綺麗な模様の千代紙に包まれて、一つ一つラベルをつけ、整然と箱に収められている。石水の古銭愛が伝わってきます!
石水は武四郎所蔵の刀の形をした中国戦国時代の貨幣(84.刀貨)が欲しくて、長いこと武四郎に譲って欲しいとお願いしていたそう。
石水が亡くなった後、武四郎は墓前に刀貨をお供えし、それが石水の子孫に伝えられています。
明治生命館
せっかくなので、明治生命館も見学してきました。(無料)
そういえば、5.25.sat-26.sunにこんなイベントがありますね。
日程的に行けませんが、ちょっと行ってみたかったな。
『とことん鑑賞 地獄極楽めぐり図』
楽しみにしていた《地獄極楽めぐり図》が 1/4 しか見られず、このためだけに後 3回通うのも厳しいしな〜…と、いうことで、つい購入してしまいました。
…予算と置き場所の都合上、図録の類は極力買わないよう自制しているつもりではあるのですが、先月の「大吉原展」買ってるし、ホントに自制してんのか?と自問中…
…「東京駅周辺美術館共通券」に静嘉堂文庫美術館ショップ2000円以上で 10%OFFクーポンが付いていましてね…
…うん…これ、倹約になってるのかな?
もう買っちゃったし、とことん堪能しよう。そうしよう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?