IF 第8節 「ヒント」

もしかして生きていたりしないのか。
僕はたまにこんなことを思う。

森は僕を優しく包んでくれる。
本当の親のように。

親の思い出などない。
あるのはこの森だけ。
この森に何かあるのだろうか。
僕の親はこの森に何かを残したのだろうか。

何日も何日も、記憶の限りを尽くし森を巡った。

ある日、つるに覆われた古屋を見つけた。
森の奥地にあるにも関わらず、中は綺麗だった。
誰が住んでいるのだろうか。
しかし、数日待っても誰もこない。

古屋には大きな古傷がついていた。
爪でえぐられたような。
つるで覆われていたため今日まで気づかなかった。
熊でもいたのだろうか。


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