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霹靂一閃の話をしよう

これを書いている今は12月3日、芯から冷えるような日が続くようになってまいりましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。俺は最終巻のプレッシャーに耐えかね、現実逃避するためにこれを書いています。おまけページが多すぎて「言うて推し(風柱)の何かに割くほどページの余裕無いでしょガハハ」と高を括っていた俺は勢いよく倒れてしまいました。俺は怖い……耐えられない……

それはそれとして、

我妻善逸くん人気投票一位おめでとう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!🎉

正直、一位を取るなら主人公の炭治郎か300億の男が視野に入り始めている煉獄さんかな?と思っていたのでマジで!!???ってバカでかい声が出たんですが、善逸は本当にいいキャラなので納得と素直な称賛の気持ちが湧き上がるばかりです。ところで善逸推しの人が軒並み「善逸ってそんなに人気だったの!?私は好きだけど……」な大阪府民のたこ焼き器状態になってるのかなり面白かった。大阪府民がみんなたこ焼き器持ってるわけじゃないと思うけどな……うちにはあるけど……

我妻善逸といえば、少々騒がしいが憎めない性格と、普段は頼りないのに肝心なところでは絶対に決める格好良さ、揺るぎない芯のある優しさを持っている主人公の相棒のようなポジションの一人。肝心な時にしか役に立たない男が嫌いな人間は多分ほんのちょっとしかいない。美人の嫁さんもゲットしたお前のこと、誇りに思うよ……って爺ちゃんも言ってた。
それに、善逸は強い。カッコいい。もちろん技を極めた柱たちには遠く及ばないけれども、序盤から同期の中でも頭ひとつ分くらい抜けてるのではないか?と思える程度には強い。
そんな善逸の強さを支える唯一にして最大の支柱こそが荷電粒子砲……じゃなくて雷の呼吸は壱ノ型・霹靂一閃である。壱ノ型しか使えない善逸だが、彼はこの型を極限まで極め抜くことで一線級の力を手に入れた。落雷のような轟音が響く瞬きの間に勝負が決しているさまは、まさしく荷電粒子砲柱と呼ぶに相応しいだろう。

ところで、鬼滅の刃を読んでいる最中こう思ったことはないだろうか。雷の呼吸ってつまりどんな流派なの?

そう、我々はよく考えたら雷の呼吸がどういう存在なのかよく分かっていない。作中のメイン使い手が壱ノ型しか使えない善逸と壱ノ型だけ使えない獪岳のみだからである。

なので、作中情報から雷の呼吸について一考のち、その上で霹靂一閃という技にもう一度目を向けてみようぜ!というのが本記事の趣旨である。要するにたのしい与太話のお時間ということなので、暇な時にでも肩の力を抜いてお読みください。あと興が乗った結果として雷の呼吸の話以外も長々としているのでそれは本当にごめん。


そもそも呼吸とは何か

まず、全ての基本である呼吸そのものについて考えてみようと思う。

あらゆる呼吸の源流にあるのは始まりの呼吸こと日の呼吸である、と作中語られています。けれども「全ての呼吸は日の呼吸から派生した」と言うと少々誤解を生む気がするんだよね。
呼吸の始祖である縁壱曰く「元々彼らが使っていた剣術の型に上乗せして呼吸を使えば、飛躍的に力が向上した」らしい。つまり、基本の炎・水雷・岩・風は土台に彼ら独自の剣技の流派があったわけです。初めにあったのが日の呼吸である以上はそこを起点に組み合わせる形になるだろうが(故に「全ての呼吸は日の呼吸の後追い」とも言えるのだろう)、剣技そのものは直接的に派生したわけではない、と。
更に柱合会議にてあまね様は「始まりの呼吸の剣士"たち"」という言い方をしているし、月の呼吸の子孫である無一郎を「始まりの呼吸の剣士の子孫」と認識していた。恐らくは彼が縁壱ではなく巌勝側の子孫であることを理解していて、なお。なんで知ってんの?怖……

そんなわけで、少なくとも産屋敷家の見解としては日の呼吸、月の呼吸を含めたあの時代に生まれた基本の呼吸を全て引っ括めて「始まりの呼吸」と呼ぶのではないか。

おそらく巌勝が鬼殺隊に合流した頃には既に各々の型はほぼ完成していたので、縁壱に対する認識があんなかんじ(本編参照)である彼は「日の呼吸以外は派生の劣化品」というコメントを残したのでは、と推測する。日の呼吸そのものが特別なのではなく使い手の問題です、というのは最終決戦が証明しているし。常人は日の呼吸を使うと……酸欠になる!

前置きが長くなってしまったが、日の呼吸を含めた全ての呼吸に優劣はなく、個人の才能や熟練度、技の方向性や向き不向きがあるのみという前提で話を進めることにする。
まずは雷の呼吸以外について考えてみたい。全てに目を向けるときりがないので、主に他の基本五型+日の呼吸、番外的に月の呼吸にも目を向けていこうと思います。


日の呼吸

全ての始まりにある呼吸、あの鬼舞辻無惨に深々とトラウマを植え付けた呼吸、それこそが日の呼吸。本格的に復活したのは竈門家のヒノカミ神楽経由だが、対応する黒刀自体は数こそ少ないものの偶に出現していたらしいことが語られている。実際に縁壱以外でも日の呼吸の継承者は何人かいたようなので、適性のある人間自体はそこそこいたのだろうな。先にも言いましたが、日の呼吸そのものが特別というよりは単純に縁壱がおかしいと考えたほうがいいでしょう。全ての生物は物理性能において継国縁壱の後塵を拝することさえ能わぬのだ……

日の呼吸の特徴は高火力と汎用性の高い技の数々、そして何より十三番目の型、円環コンボの存在でしょう。呼吸は基本的にいくつかの技でコンボを繋げていくものだと認識していますが(矢琶羽戦の炭治郎の水の呼吸コンボループを見るに、呼吸の型はある程度そのような使用法を想定されていると考えていいと思う)、日の呼吸はそれ一つで(使い手がブッ倒れない限りは)途切れることのない円環コンボを構築している唯一の型なんですね。
この無限コンボ、無惨と相対した時に完成しているので本当に対鬼舞辻無惨専用必殺コンボなんだと思う。何故って普通の鬼は頚を斬ったらそのまま死ぬので。生き恥ポップコーンなどという恥も外聞も存在しない逃げの一手がなければ、鬼の首魁は斬っても死なないその生命力故に一夜の間じゅう灼熱の刃でなます斬りにされ続けていたのかもしれない。畏るべきは継国縁壱。鬼舞辻無惨もそうだそうだと言っています。うるせえぞ!

しかし何せ元が縁壱ナイズドされた呼吸であるが故に、高出力と引き換えに負荷がヤバい。炭治郎はコンボの途中で血反吐を吐いた。どの呼吸にも言えるが、本来は個人の出力に合わせて使うものなんでしょうね。炭治郎もそれまでは水の呼吸と組み合わせることで負荷を軽減するなどしていたし。ヒノカミ神楽を極め抜いた炭十郎パッパが早死にしたのも然もありなん(こう言うと縁壱の技の影響で早死にしたようでちょっと悲しくなるんだけれども、炭治郎が最初の痣者であることも加味すると多分そういうことなのではないか……と個人的には思う)(明言されてないので憶測の範疇を出ないけども)。それでもありのままを継承し続けた竈門家の継承の意思には頭が上がらねえぜ。

あんなにも第三者に特別だと言われ続けたものが最後は多くの技、多くの意思の中に埋没していくことにスッキリとしない方もそれなりに多いことだろうが、日の呼吸そのものは結局特別でもなんでもないのだと結論づけられた上で人の意思の円環を形成するひとつとして機能するに至るのが鬼滅の刃という作品を象徴しているように思う。そんな呼吸である。つまるところ縁壱くんもただの人なのだ(激ヤバフィジカルについてはちょっと否定できない)。

炎の呼吸

劇場版鬼滅の刃夢幻列車編見た!!!!!!!!!!???????????????
みんな大好き(断定)煉獄さんが使う呼吸こそ、煉獄家に代々伝わる炎の呼吸である。陸〜捌ノ型(劇場版を考慮しないなら参ノ型も)が作中で出てこないので全貌は分からないが、描写されている限りでは炎という言葉のイメージ通り威勢の強い高火力の技を数多く取り揃えているように思う。その高火力を維持するためか全体的に踏み込みが重要視されているので、基本五型の中でも雷に近しい系統のひとつなのかもしれない。あと作中たまたまそういう技を多用していただけかもしれないが(舞台が列車だし)、広範囲に対応できる技が多い気がする。玖ノ型とか最たるものですね。他と比較して広域の突破力、破壊力に特化した印象を受ける。炎の呼吸がそうだというよりは煉獄さんがそのレベルまで技を極めている、って話かもだけど。
技とは関係ない部分で、炎のみ煉獄家という家柄単位で代々伝わる呼吸というのも大きな特徴のひとつ。煉獄さんが甘露寺を迎えていたように煉獄家の外から継子を取ることもあるのだろうが、千寿郎くんらの言を信じるならば炎柱を排出し続けてきたのは煉獄家のみ。煉獄の名を最大にして最終の奥義に冠しているのも象徴的ですね。オタクは奥義に家の名を冠するとかそういうの大好き(極大主語)。

もう一つ炎の呼吸を語るときに外せないのが、日の呼吸との関係でしょうか。少なくとも字面からは同系統であるように感じられるし、エフェクトも近い。更に炎の呼吸を火の呼吸と呼んではならないという配慮の徹底ぶり。日の呼吸にマップ兵器めいた技はないので大筋が近いわけでは無いが、円舞/炎舞と昇り炎天、劇場版で出た気炎万丈などはかなり型も似ている。先述の成り立ちからして偶然近い型が存在したと考えた方が通りがいい気はするが、人によっては気になる部分かもしれない。
そして何より先代炎柱にして煉獄さんの父、煉獄槇寿郎パッパの言葉。あの時のパッパは超絶荒れていたのもあって実に痛烈な言葉を炭治郎に浴びせまくっていたわけですが、その内容は概ねこのようなものでした。

「日の呼吸は始まりの呼吸、最強の御技である。他の呼吸は日の呼吸の後追いにすぎない。お前は日の呼吸の使い手なので俺たちを馬鹿にしているだろう」

パッパがこの考えに至ったのは本人の経緯も大きいだろうが、何よりも先祖の炎柱の書です。先祖代々大切に保管されていたものをヤケクソでビリビリのバリンバリンに破くくらいには参っていたと見える。しかし先に語ったように他の五型がただの後追い、猿真似とは考えづらい。何より先祖の炎柱は妻子を殺されて呆然としている縁壱を見つけた当人なのだ。柱とは追放後も交流を持っていたともあるし、彼は縁壱を糾弾する者たちを宥める立場にあったので交流を続けた一人であることは間違いないと思う。そんな彼が縁壱に対して某兄上のような認識をしていたとは考えづらい。しかし縁壱の話を聞いて自信を失ってしまったこともまた事実。

以下は憶測の話になります。炎の呼吸は他の基本四つと比べて日の呼吸に比較的近いのではないか。エフェクトが近しいのはその現れなのやもしれぬ。土俵が近い故に出力の違いが優劣という形で認識されやすい、ということもあるかもしれない。加えて日の呼吸の主な使い手はあの縁壱なので、それこそ鬼になってでも喰らい付きたいメンタリティでもなければ比べることすら煩わしくなってしまうだろう。そんな縁壱でさえ単独で殺し切れなかった鬼舞辻無惨のことを聞けば自信も喪失するというもの。だって確実に自分の代では倒せないもん。
剣技とは別の話になるが、痣の話の時に「痣が出ないことをたいそう気に病んだ者がいた」と言われていたのを覚えているでしょうか。縁壱に十三番目の型の話を聞いたあの先祖の炎柱に痣はあっただろうか?あまね様の回想でかつての痣者たちが描かれている中に特徴的な焔色の髪を見たか?伊黒さんのように見えない部分に出ている可能性も否めないが、戦国のあの代以降は痣者はいなかったようだし、一つの家系で一つの技を継承し続けるのに痣のタイムリミットはあまりに手痛いと思う。つまりはそういうことなのではないか。仮にそうなら、先祖の炎柱の自信喪失を後押しする要因の一つになってしまったかもしれない。

それでも縁壱について極端に誇張された話や、逆に悪意的に捉えられた話などはきっと書かれていない、と、思う。それなりに自信喪失に基づく自己卑下フィルターがかかった状態で、それでも本人の知るありのままを綴ったものではないか。なんせ何ひとつ誇張しなくても激ヤバエピソードのオンパレードなのが継国縁壱という男なのだから。本人は素朴な善人なんですけどねぇ……
だがそんな縁壱の人柄など数百年後の子孫の知るところではない。後に残されたのは日の呼吸の剣士という選ばれし猛者と、そうでない我らの話だ。これも結局は憶測で語るしかないが、槇寿郎パッパはあの伊黒さんの家で起きた事件のようにどうしようもない現実や自分の力不足に幾度となく打ちのめされてきたのだと思う。それでも愛する妻子がいるから耐えてこられたが最愛の妻が病死、支えを失って底辺まで落ち込んだところであの手記がひとつの契機になり落ちぶれてしまったのではないだろうか。自分は所詮選ばれし者ではないのだと現実を諦め、人を救う鬼殺の剣士としての情熱を無くし、飲んだくれていたのではないか。個人的にはそういう認識でいる。あと煉獄さんの読切を見るに、愛する妻に死なれたからこそ我が子には死んでほしくないという気持ちも多少なりあったらいいなぁと思うし、何より煉獄さんが「そうかもしれない」と考えていたのが良かったなと思います。今はああでも、愛されていたことに確信があるということなので。これもう呼吸の話じゃないですよね?

恋の呼吸
強いて言うなら、というかんじで厳密には派生と言えるものではないようだが、一応派生として言及しておく。
恋の呼吸の真髄は甘露寺の体の柔さを駆使したバネのような動きですが、ここに炎の呼吸で培った力強い瞬発力が活かされているような気がする。初恋のわななきなんか特に不知火を彷彿とさせる型だよね。炎の情熱を背景に、彼女らしいしなやかさを極めた型と言える。甘露寺はかわいいな。しかし何度見てもスゲー刀ですねこれ。

水の呼吸

技が剣術の基礎に沿っているため初心者にやさしい、らしい。当然使い手も多く、応用が効くためか派生も多い。日の呼吸や月の呼吸を除けば最も多くの技を持つ呼吸のひとつ。それが炭治郎が最初に学んだ水の呼吸である。
炎柱が煉獄さんの代まで絶えなかったのは煉獄家という一族単位で継承し続けていたためでしたが、水柱が絶えないのは上記の性質によるものなんでしょうね。使い手の分母が増えるほどに技を極めるに至る人間が出る可能性も上がるということだろう。

呼吸は組み合わせによってコンボが繋がるようになっているとは既に書いたが、水の呼吸は特にその幅が広い。水中戦や足場の悪い場所での戦いに適応した技があるのも特徴のひとつと言えるかも。炎の呼吸とは対照的に、あらゆる戦局に対応できる柔軟性に特化した呼吸と言える。炭治郎がまだまだ未熟な時からヒノカミ神楽を本人なりに扱うことができたのも、水の呼吸という土台があったからに相違ない。派生の流派もそうやって増えていったのだろうなぁ〜。
反面、おそらく他と比較して火力に乏しい側面があるんじゃないかな?とも察せられるんですよね、まあこれも結局は個人の膂力や俊敏性に依るところになるけども。そういう力不足を補うために生まれたのが特性を全て攻撃に振った生生流転ドラゴンくんなのかもしれない。
生生流転ドラゴンくんが火力面での最終奥義とするなら、水の呼吸という流派に通底する技の方向性の極致とも言える最終到達点こそが拾壱ノ型・凪でしょう。全ての技を受け流し、躱し切り、反撃を叩き込む姿はまさに明鏡止水の境地といったところ。これを編み出した冨岡義勇さんは本人曰く水柱ではないらしいです。お前は何を言っているんだ。
もう一つ、水の呼吸の特異性を表す技に干天の慈雨が挙げられると思う。死を望む鬼を安らかに眠らせるための唯一の技。過去に鬼という悲しい生き物に思いを寄せた人間が他にも存在したことの証左であると同時に、これが技の一つとして受け入れられ組み込まれていることに水の呼吸という流派の在り方を感じるような気がする。こういう部分からも炭治郎が最初に出会い、学ぶに相応しい呼吸だったと感じますよね。

花の呼吸
花の名を冠するとおり、何とも華やかで嬋媛な技が多い呼吸。水の呼吸の派生であることがわかりやすい流派だけど、水よりも連撃や身体のしなりを駆使した技が多いように感じる。作中の使い手が二人しかいないので断言はできないが、女性隊士ばかりが集う蝶屋敷に初代の使い手が植えた桜が現存しているあたり男性よりも非力な女性隊士向けにカスタマイズされた流派なんじゃないかな。甘露寺レベルの膂力がないと水派生以外は厳しいのかもしれませんね、女性というだけで隊士としては相当なハンデであるわけだし。

蟲の呼吸
いちおう花の呼吸の派生らしいが、突きが主体なので雫波紋突きからの流れを感じる。花の呼吸には描写されている限り突き技はないはずだけど、いくつか抜けがあるのでその中に存在するのかもしれない。
頚を落とすことを前提にしていない唯一の呼吸なので判断が難しいところなんですが、蝶ノ舞などは確かに花の呼吸の名残を感じさせる流麗さがある一方で蜈蚣ノ舞まで行くと橋が割れるほどの鋭い踏み込みを見せている。これはむしろ炎や雷に近いのではないか。確実に相手に毒を叩き込むための型を構築するうち、曲線よりも直線的な速度と瞬発力を極めるに至り、結果的に派生元の花の呼吸よりも其方側に近づいたのではないかと推測するが、如何か。如何かと言われても……

蛇の呼吸
伊黒さんにこの呼吸を充てがうのひどいのでは?と思わないでもないけど鏑丸がいるのでセーフ!
水の呼吸の曲線の動きを更に突き詰めた結果生まれた呼吸という印象を受ける。伊黒さんはパワーファイターではないので、水の呼吸から更にトリッキーさ方面を極めたこの呼吸の習得に至ったのかもしれませぬ。あのフランベルジュのような日輪刀の効果はいまいちよく分からないのだが(何せ鬼はすぐ傷が塞がるのでフランベルジュの利点が活かせなくないか)、本人が非力かつ技がえげつない軌道を描くのであの形状にすることでノコギリに近い効果を生み出し、より頚を落としやすくなっているのかもしれない。もしくはああいう形状にすることで軌道が更に複雑になる、だとか。知らんけど。教えてフランベルジュ識者。

岩の呼吸

わかんねえよ……
いや本当にわからん。なーんもわからん。強いことしかわからん。何これ?
初代(推定)岩柱が鉄球ではなく(歴代の柱が全員鉄球持ってたらビビるわ)槍だか棍だか薙刀だかそういう長物を使っていたので、何らかの事情で刀を握れない者のためにカスタマイズされた可変の型ではないかと思う。元々が可変である上に特殊なので描写されている限り派生が存在しないのではないだろうか。玄弥が門戸を叩いたのもそういう経緯なのかもしれぬ(彼は呼吸そのものが使えないから武器の問題というわけではないのだが)。これが基本五型に加えられ今なお存続しているのは、鬼殺隊に入る人間の層の厚さを感じずにはいられない事実でしょうね。しかしまさか後世でトゲ付き鉄球に適用されるとは初代も思うまいて。

分からないなりに強いて言うならば、岩のように硬く、重い技である。重いということは遅いということではない。あの質量が鬼殺隊屈指の速度を伴って襲ってくるというのがどういうことか、多少なり物理法則を識る者なら推して知るべしである。ヘラクレスかな?悲鳴嶼さんは強いね。
とは言っても使い手が縁壱ほどではないにせよぶっちぎりの力を持っている鬼殺隊最強の岩柱・悲鳴嶼さんなので、岩の呼吸そのものが高い破壊力を誇っているのか悲鳴嶼さんが使っているからああいうことになっているのかというのはイマイチ分からない。まあ、槍にせよ何にせよ刀と比べ一点突破力の高い武器なので多分そこを極めているんだろう。きっと。たぶん。恐らく。

武器のリーチが長いのでシンプルながら技の範囲に応用が効いたり、通常の刀の場合は面の防御になりがちなところを自身の周囲全体の空間に使える技があったりと言及すべきところは幾つかあるが、すべて武器がトゲ付き鎖鉄球with斧という部分に起因しているので結局岩の呼吸って何だよ!!???という混乱を来たすため言及はここまでに留める。確かな事実として語れるのは、悲鳴嶼さんはマジですごいということだけである。

風の呼吸

技の攻撃性の高さを見るにこれまでに言及した中では水よりも炎に系統が近いと思われるが、炎が威勢の強さとするならば此方は荒々しさと鋭さ、だろうか。一撃の重さ、力強さよりも技全体の速度を重視しているように思う。また、炎の呼吸は面を削ぐ一撃だが、風は三次元的な斬撃という印象だ。地を舐める炎と吹き荒ぶ風ということなのだろうな。速度と機動力に長けた呼吸に見えますね。

もう一つ、風の呼吸の特徴を語る上で外せない話がある。勘違いか気のせいかと思い何度も読み返したのだが、爪々・科戸風あたりはどう見ても物理的に斬撃が飛んでいるんですよ。無惨戦の韋駄天台風とかもう言い逃れ不可能なレベルで飛んでる。あと本人も低めのビルくらい跳んでる。これが柱かぁたまげたなぁ。
しかし呼吸のエフェクトはただ「そう見える」というだけで水や炎が出ているわけではないはずなんですよね。これは一体どうしたことだろうか。この謎を解明するため調査班はアマゾンに飛んだが帰ってこなかったので素直に該当言及箇所を確認してみた。

【注】剣士たちは水などを出しているのではなく、見ている人がそう感じる、そう見えるというだけです。(単行本17巻より抜粋)

お気付きだろうか。そう、水などを出しているわけではないと書いているが斬撃が飛ばないとは一言も書いていないのである!水や炎と違って風なら物理的に発生させることが可能だぜ!という理屈なのかもしれぬ。そうかな……そうかも……
他にも岩の呼吸の技と同時に繰り出した際に悲鳴嶼さんの武器に風のエフェクトが付与されていたことがあったりしたので(岩の呼吸には見る限り固有エフェクトがない)(鉄球そのものがほぼ岩やし……)、なんかそういうことができる呼吸なのかもしれない。あれに関しては単純に柱稽古で培った息の合ったコンビネーションという表現であり、他の呼吸でも似たようなことができるのかもしれないが。分かんねえよ岩の呼吸のこと……

ところで完全に推しの欲目なんですけど俺は風の呼吸が一番好きです。荒々しさと涼やかな美しさとある種の厳かさが同居してて……ウフ……エヘヘ……君、韋駄天台風って言うの?きれいだね……

霞の呼吸
技のしなやかさは水の呼吸を思わせるが、機動重視で放たれる無数の範囲斬撃は確かに風の呼吸が原型であることを確信させる。風に水の柔軟性を併せた、というのが近いだろうか。霞だしね。
技自体の攪乱性能が高い呼吸でもある。作中の使い手である無一郎の隊服もそういった効果があるそうなので、年少故のハンディをそういった形で補っていた面もあるのかもしれない。そういう意味では凪と同じく、無一郎が編み出した朧もある種の集大成的な技だったのではないだろうか。やはり天才か……
ところで朧には"月"が含まれ、他の技のひとつにも"月"の霞消があるというのは無一郎の血筋を考えるだに皮肉めいた事実だと思いますね。は?時透無一郎くんは幸せになるために生まれてきたのだが?(感情)

獣の呼吸
こちらも恋のように正式な派生ではなくたまたま近い系統が風だったというだけだが、一応言及する。
恋の呼吸は曲がりなりにも煉獄さんの継子だった甘露寺の生み出した技なのでまだ繋がりを見出しやすい(気がする)が、こちらは完全にたまたま近いのが風だった程度だろう。しかし、伊之助の柔軟な機動性と二刀による荒々しい連撃は確かに風に近いと言わざるをえない。伊之助は山育ちなので本人の気性も合わせて自然と荒々しさ方面に寄ったんでしょうね。本人の空間知覚が優れているからというのもあるかもしれない。正規の型らしい型がないからか、攻撃のための技と空間識覚のような補助系にきっぱりと分かれているのも面白いよね。甘露寺にとっての恋の呼吸と同じく、他の誰にも使えない伊之助だけの型。欠けた刀の二刀流っていうのも野生的で面白い、鉄穴森さんはキレています。

月の呼吸

この型については語る前に前提を確認しておかねばなるまい。

始まりの呼吸の使い手の一人であるかつての継国巌勝、現上弦の壱・黒死牟の扱う呼吸である。長年に渡り研鑚されたためか、型の総数が描写されているだけでも拾陸までと他の技よりも格段に多い。通常の斬撃の周囲に不規則に動く細かな刃が付いているという他にはない特徴を持ち、振りなしで斬撃を出すなどという異次元の芸当もこなしているが、元々そういったことのできる呼吸法なのか鬼になったことで得た血鬼術の力なのかは不明である(個人的には風の斬撃の前例があるので、元々そういった特徴を持ってはおり、鬼化によって本来人間の及ばない領域まで押し上げることを可能にしたのではないか?などと思う)(振り無しの斬撃はチョトワカラナイ、あそこまで行くと流石に血鬼術の領域じゃないかな……)。
なので、これを語るにあたっては使用者が鬼であること、鬼として研鑚を積んだ時期が随分と長いこと、当然使用者が戦う相手は鬼ではなく人であることなどを考慮する必要があると考える。

基本五型のうち、類別が難しい岩の呼吸を除いた四型の壱ノ型には雑にざっくり分けると二通りのパターンが存在すると思う。ひとつは炎、風、雷の相手との距離を詰める突進技。もう一つは水の呼吸のシンプルな横薙ぎ。このことから、壱ノ型が横薙ぎだった月の呼吸は水の呼吸に近い系統の流派ではないかと。
この仮説に対する論拠はもう一つあって、水の呼吸が剣術の基本に沿った型であるという話を覚えているでしょうか?実際あの横薙ぎは牽制技として実在する剣技から生まれている。継国巌勝はかつては武家の嫡子→棟梁だった男であり、当然剣術も基礎から学んでいるはずなんですよね。実際に稽古つけられてたし。呼吸法とは本来自らに合った型に呼吸を上乗せするものであるため、同じ剣術の基礎から生まれた型ならば似通ってくるのも然もありなんじゃん?というわけ。弐ノ型、参ノ型なども型だけ見るなら基礎に忠実な技であるように見える。型だけ見るなら。

しかし壱ノ型ですらあの無一郎にも完全に対応するのが不可能な程の範囲、速度、威力を誇り、技の後半に至っては刀の長さから来るリーチも加わって難易度調整ミスったシューティングゲームといった様相を呈している。岩柱と風柱がこの後めちゃくちゃグレイズした。
このシューティングゲーム要素、鬼狩りとして必要な要素ではないとは断言できないけれども、どちらかと言えば鬼相手よりも無数の人間を殺すために発達した技ではないか。実際、獪岳が命乞いをしている周囲には無数の隊士たちの死体が散らばっていたし。おそらく一太刀のうちにみんな死んでしまったのだろう。獪岳はよく生き残ったものですね。それが彼にとって不幸か幸いかはだいぶ微妙な話になるけど。
そして、そういった傾向は型番(?)が上がるごとに顕著になっていく。鬼になってから殺す対象は鬼ではなく自分に群がる無数の剣士たちなので、剣技にしろ術にしろ対多数の方向に研磨されていくのは自然ではなかろうか。どんどん本来焦がれたあの縁壱の剣技とはかけ離れたものになっていくわけです。皮肉なもんだよ。というか兄上は刀がべらぼうに伸びたり身体から雨後の筍よろしくニョキニョキ生えてきた時点で「これ侍じゃないかもしれないな……」とか思わなかったんだろうか。刀使って呼吸で戦ってるならオッケー!そうかな……

これは余談になりますが、作中の呼吸には時折り○○・○○といったような技名が登場しますね。水流飛沫・乱や爪々・科戸風、蛇紋岩・双極といったような。月の呼吸は他の呼吸に比べこういった技名の割合が多い。
仮説というか妄想に近い話なのだが、これらの技は本来あった型に何かしらのアレンジが加わっているのではないだろうか。作中で実際に使われていたねじれ渦・流流や雫波紋突き・曲のように、他型と複合ないし状況に応じて変化した技がそのまま残った、或いは使い手の個人がアレンジしたものを本人にとってのデフォルトの技として使っている、ということがあるのかもしれない。例えば本来の水流飛沫はもう少し足場のいい場所から放つ技だとか、科戸風で放つ斬撃は一つだけだとか、蛇紋岩は本来槍などのための技なので二つの同時投擲は不可能だとか。仮にそういうことがあったとして、全てがそうであるとは断言できないが。だって蛇紋岩とかそれもうただの岩石の名称じゃんね。
まあそれは置いといて、月の呼吸は使い手が鬼になってから独自の進化を遂げた技なわけですよね。少なくとも人間だった頃の壱ノ型はあんな開幕クソシューティングゲームではなかっただろう、東方ルナティックじゃねえんだからよ。変貌の過程で技の名称も変化したと考えてもおかしくはない、かもしれない。余談でした。

しかし猗窩座殿なんかにも言えるのだが、鬼という生物になってしまった時点で武人として筋を通すのはだいぶ無茶なんですよね(猗窩座もとい狛治さんは別に武の道を志してたとかではなく結果的にそういうキャラになっちゃったに過ぎないけど)。そして、そういう生物と理解しながら兄上はそれを選んでしまったわけだ。鬼になれば時間が手に入るよ!やったね!も大概悪質な詐欺だと思うんだけども。本人が納得してるからいっか。良くねえ。赤子でも死なぬ……じゃないんだよ鬼のフィジカルと血鬼術に任せてクソ長ソードで無双図り始めた時点で正直かなり侍を志していた者としてはダセェぞ(暴言)
しかし加害性を理解しながらその手をとった思い切りの良さや意志の強さ、地獄に堕ちてもなお手を伸ばし続ける屈強さ、そうやって手を伸ばした先でかつて望んだ姿とはまるでかけ離れた醜い己をあの瞬間まで客観視できていなかった愚かしさなんかは兄上の魅力のひとつですよね。これも呼吸の話じゃねえんだよなあ


雷の呼吸

クッソ長い前置きはここまでにしまして、やっと本題に入らせていただきます。
ここまで語ったことで重要と思われるのは二点。

・呼吸は全てコンボで繋げることが前提になっている。
・雷の呼吸は初動で距離を詰める攻撃的な型である。

この二つくらいでしょうか。
もう一つ、雷の呼吸についてモブ隊士が「雷の呼吸は壱ノ型が全ての型の基本」という旨のことを語っています。この発言に関してですが、技そのものはシンプルな居合抜刀と踏み込みである霹靂一閃と違って獪岳の使っていた弐〜陸ノ型はかなりテクニカルな技のオンパレードでしたよね。このことから、「壱ノ型からその他全てが派生している」というよりも「雷の呼吸は壱ノ型を中心に構築されたデッキである」と理解したほうが通りがいいのではないか。つまりは壱ノ型で始動し、弐〜陸ノ型で相手を牽制し、力を削ぎ、壱ノ型で決める、という。言い換えれば必殺技ポジションであるところの壱ノ型しか使えない善逸は(本来ならば)柔軟性に乏しく、壱ノ型だけ使えない獪岳は決定打に欠ける部分がある、といったところかな。

ところで獪岳の登場で個人的にかなり腑に落ちた部分があるんですよ。雷の派生と言われている音の呼吸のことです。
音の呼吸、見た目こそ巨大な二刀やら仕込み爆薬やらで派手派手だが実態はかなり堅実でテクニカルな技なんですよね。使い手の宇髄天元がそうであるように。霹靂一閃との共通点なんてそれこそスゲー爆音がする程度じゃないか?なので、音が雷の派生って要素自体は分かるけども……と首を傾げていたわけです。それが獪岳の登場で、というか弐ノ型以降を見て得心がいった。たぶん音の呼吸、雷の呼吸の中でも弐〜陸までのエッセンスの流用なんだろうな、と。
何が言いたいかといいますと、おそらく雷の呼吸って壱ノ型が使えなくてもかなり戦えるんですよね。なので獪岳は雷の呼吸に向いていなかったのだ、ということは無いと個人的に思ってます。決定打に欠けるといっても使い手の技量によるだろうし、まず霹靂一閃の初速が異常とも言えるし。善逸はもちろん、その善逸が努力と研鑽を知り兄弟子として尊敬していた獪岳も極めて優れた雷の呼吸の剣士だったのだろうし、爺ちゃんもそのように認めていたのだろう。そんな二人が並び立ち戦う姿が爺ちゃんの夢だったわけなのだなあ。叶いませんでしたがね!ガッハッハ!悲し……


閑話休題。善逸と霹靂一閃の話に移ります。

先述のとおり、あの初速や負荷を鑑みるに霹靂一閃とは本来は必殺技と言えるポジションの型だと思われます。当然ですが必殺技とはここぞで放つから意味があるのであり、連発できるもんじゃありません。本来ならば。

霹靂一閃の唯一最大の弱点って累の兄戦で何度も初動から崩されたように、居合抜刀であるが故に技の前後に隙が生じるということだと思うんですよ。だから本来なら霹靂一閃だけでは厳しいはずなんですよね、あれ一つだけならそれこそ序盤に出てきたこちらをナメ腐ってる鬼くらいしか殺せないかもしれん。恐らくは元々その隙を補うために生まれたのが弐〜陸ノ型なんだろう。相手を攪乱する目的であろうと思われる技や距離を取るための技が散見されますし。

じゃあその隙を補うためにはどうしたらいい?答えは簡単、相手に体勢を立て直す隙も与えずに連発したらいいんですよ!な、何だってー!?

言うは易しな話だがこの我妻善逸という男、超速の踏み込み抜刀居合とかいうよくわからん必殺技をデフォルトで六連射できるのである!!!実際こうやって文字に起こすたび「ええ……」ってなるんだけど真実(マジ)なんだよな……しかも話が進むと最大八連射になる。ほんとに?

この六連や八連は連射という本来存在しなかった運用法ですけど、霹靂一閃の一撃必殺としての性能を極めた先にあるのが神速であり、漆ノ型である火雷神だろう。六連射八連射でもどうにもならない強敵に当たったらど〜しよ!?相手を一撃の速度で上回って頚を斬ればよい。言うは易し(以下略)。
火雷神に関しては明言はされていないけれど、一撃放ってすぐに善逸が体力を使い切って獪岳ともども落下していったのを見るに神速の進化系と見てまず間違いないでしょうね。神鳴りの速さを極めた先にあるのが火と雷の名を冠する豊穣神なの、構図がバチバチにキマってて大好き。ひとつの技を極め抜いた善逸が辿り着いた極致として美しいと思う。爺ちゃんもそうだそうだと言っています(幻聴)


たいへん長らく関係ないことまで語り続けてしまいましたが、我妻善逸は霹靂一閃を極め霹靂一閃に愛された愛され稲妻ボーイであるという事実を存分に再確認できたことと思います。それでは最後に人気投票第一位の世間からも愛されボーイこと我妻善逸くんからコメントを頂きましょう!

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ギャオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

ありがとうございました。

こんなもん書いてる間に4日まであと30分になった。助けてくれ。


追記
23巻を読みました。ありがとう鬼滅の刃。ありがとうワニ先生。ありがとう鬼滅の刃23巻226ページ。ワニ先生健やかであってくれ。推しの笑顔がこの世で一番綺麗。

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