見出し画像

【小説】パン屋の彼女(超短編)

朝7時、スマホのアラームでぱっちり目が覚めた。
スヌーズ機能に頼らず起きれるようになったのは、最近自宅で"筋トレ"を始めたおかげかもしれない。
彼女はベッドから出ると、いつものルーティンでいそいそと身支度を始めた。

彼女は大学に通うかたわら、パン屋で働いている。
家の近くの大きなスーパーの一角に設けられた、地域住民に愛されたパン屋だ。
お客さんはパンやコーヒーをテイクアウトすることもできるし、イートインコーナーで食事もできる。

お店の更衣室に着くと、髪の毛を一つ結びにして、マスクをして、エプロンをつける。
今日は土曜日なので、朝8時から昼の1時まで、客対応や品出しに精を出すスケジュールだ。

平日の朝はサラリーマンの男性や女性の通勤買いで忙しいが、休日にはそれがないので助かる。
その代わり、主婦やお年寄りが多くて気疲れする、と思う。
例えば最近は自動レジ機が導入されたけれど、使い方の分からないお年寄りに説明したりして、それはそれで大変なのだ。

土曜日の午前中は"お局さん"がいる。
40代の女性で、ハキハキと歯に衣着せぬ物言いでバイトを牛耳るボスだ。
衝突を避けるべく、神経をすり減らすのが週末のお決まりだ。

仕事が終わると、少し遅い昼食を取る。
お店のパン(特に甘いやつ)を自分で買って食べたりする。
立ち仕事でカロリーを消費しているから、甘いパンでも太らない。(と思い込んでいる。)

そうして、スーパーに入っている代理店や本屋で、旅行雑誌を見る。
少し気分が良くなって、好きな音楽を聴きながら歩いて帰るのだ。

終わり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?