見出し画像

同人原稿備忘録(漫画)

※この記事には二次創作・BL・同人等の要素が含まれます。また、該当する部分は掲載していませんがおおむね年齢制限付きの同人原稿ですので閲覧の際はご注意ください。

同人活動を本格的に始めたのが2017年1月なのですが、2021年5月時点で主催したアンソロジーを含め39冊同人誌を出しました。今も原稿をしています。フォロワーさんからも「原稿が終わるとどうなる?知らんのか原稿が始まる状態ですよね」と言われるくらいずっと原稿してる気がします。
ここまで一切振り返りをせずに走ってきてしまったので、自分がどんな手順で同人誌を作っているのか一度備忘録を取っておこうと思いこの記事を作成しました。ド素人なので技術的に有益な情報はほとんどないと思いますが、同じド素人ながらも本を出したい!!という気持ちの方がいたらよければ参考にしてもらえるといいな、という感じです。

はじめに

原稿をしてる人
・20代 在宅勤務の会社員
・一日の作業時間は4~6時間くらい 休日は用事がなければ~8時間
・Win10と液タブ(ワコム13HD)
・クリスタEXがメイン デザイン等にフォトショイラレ使用

おおまかなスケジュール
プロット→表紙→ネーム→枠線・写植→ペン入れ→ベタ~仕上げまで
20~32p程度で1~2週間/40~50p程度で3~4週間

印刷所

先にお世話になっている推し印刷所さんを紹介します。マジで最高です。もうほぼ下記のいずれかのところで刷っていただいてます。

▼サングループさん
http://www.sungroup.co.jp/
早割が他社の通常〆切くらいで割増だとギリギリまで刷ってくれます。なのでよゆう入稿の人と極道入稿の人の両極端な層に人気な印象。
〆切や価格もなんですがそれ以上に「広域G2印刷」という印刷が基本仕様で選べて、RGBカラー表紙の発色がものすごく綺麗です。特に赤・青系が鮮やかに出る気がします。ここが最推しポイント!!
オフセットは50部刻み、オンデマンドは10部刻みなのでジャンルによって部数の桁が変わっても安心。
あとこれは好き嫌い分かれると思いますが、基本的にフォームで発注・入稿後に個別の連絡(発送しましたとか)がなく、気づけば本が届いてます。最小限の連絡で済むので私は好きですが、作業ステータスを逐一確認したい方は不向きかも。

▼サンライズパブリケーションさん
オフセット https://www.sunrisep.co.jp/
オンデマンド https://www.sunrise-os.com/
カラー、本文ともに印刷が綺麗でオプションや箔の種類が豊富です。なんでもできます。あと季節ごとの限定セットが可愛いのにお値打ちです。直近ではかき氷セットを使いました。セット商品は通常だとちょっとお高めですが早割が効けばかなりお安くなります。よゆう入稿頑張ろう。
いつも入稿後に優しい担当者さんがお電話くれます。トンボが抜けてたり文字が切れてたりする私のヤバ原稿を丁寧にチェックしてくださるので頭が上がりません……。

▼丸正インキさん
https://www.marusho-ink.co.jp/
とにかく安い…安い!オフセットで100部ほど刷れるのであれば最安ではないでしょうか。(それ以下だとオンデマンドの方がお安いかもしれない)印刷も綺麗だと思います。標準で選べるコミック紙(b7バルギー)が白すぎずクリームすぎずで好みです。
ずっと発注書記入式だったのですが最近?ここ一年くらい?でマイページからフォーム発注できるようになりました。クレカ決済もできます。クレカ決済ができるかどうかは印刷所選びにおいて地味にかなり重要視してます。

▼STARBOOKSさん
https://www.starbooks.jp/index.php
少部数でいいからちょっと豪華な本にしたいなって時はほぼ100%スタブさんです。特殊紙や箔の種類がとんでもない。私は金インク印刷をよくお願いします。箔の使用例や特殊紙のレビューがあったり、マイページでは他のユーザーさんの表紙デザインを見れたりと楽しいです。同人してる~!って思います。
割引は一日刻みで価格変動するので、無理なく自分に合ったスケジュールが作れるのも魅力です。

ほか使ったことがあるのは栄光さん、日光企画さん、あかつき印刷さんなど。やりたい仕様と価格とスケジュールによって最適なところが変わるので、余裕がある時は比較表作ったりします。余裕ない時は脳死でいつものとこ(大体サングループさん)にお願いします。

1.プロット

私はEvernoteでやります。アナログのメモ帳の人やスマホのアプリ等いろいろあると思いますが、Evernoteにしているのは「PC・スマホどちらでもどこからでも加筆修正して同期できる」ことが最大の理由です。(でも年々UIが使いづらくなってる気がするのでGoogleドライブのドキュメントとかでもいいのかもしれない…)

基本は「思いついたところから書く」というスタイルです。だいたいこういうセリフ・シーンが書きたい、から始まって文脈を肉付けします。40p~の時はストーリーを考えますが、20pくらいの時はもう自分の描きたいところだけ描いた!!!!みたいなやつです。徹頭徹尾エロとか。同人誌なのでなんでもオッケー。推しCPのコレ描きたい!!!だけが重要(個人の見解)

プロットはプロットやるぞ!というよりは普段から思いついた時にアプリ開いてポチポチする感じです。何回も見直して追加したり修正したりします。お風呂とか電車移動時とかご飯食べてる時とかに見るクセがついてる。だいたいネタは一週間以上寝かせてるので、ここは原稿時間には含めていません(同人誌用のネタをweb用にしたりその逆もあるので)

2.表紙

厳密には「クリスタEXでcmcファイルを作る」という作業が頭に入ります。ページ数決まってないので適当に28とか44くらいでファイルを新規作成します。いわゆる原稿マンション。

画像1

設定画面はこんな感じ。

画像2

出来上がりはこう。「対するページを見開きにする」で作って作業するとなんとなく2pを1pと錯覚して効率が上がります。

ここまでやったら先に表紙を描きます。仕上げまで。表紙のタイミングはかなり個人差あると思いますが、私は表紙を先に仕上げてtwitterに上げないとモチベが出ないタイプなので先にやる。ただページ数によって背表紙の幅がかわるので、表1-4が繋がってる絵の時は気を付けます。
表紙はクリスタにイラレとかで作ったロゴを持ってきてバーンのことが多いです。だいたい1~2日で仕上げます。

画像3

こんな感じです。たまに同人誌のデザインをしてるデザイナーさんにお願いすることもあります。

3.ネーム

いちばんつらい。
ひたすらEvernoteのプロットを見ながらコマを割っていきます。ほぼ感覚です。一応ここが推しポイント!!という見せゴマはデカくしたりとかそういうくらいの気持ち。

手順としては最初に素材登録をしている原稿用のフォルダセットを置いて、ネームというレイヤーにひたすら描きます。

画像4

こういうの。

画像5

ネームはこんなんです。自分がわかればいいのでとりあえずコマだけ割っておく。これはちゃんと書いてるけど写植のところは空白の方が多い(プロットにキメの台詞だけ書いてあって、あとは写植やる時に細かいセリフ考える)
これを話が終わるまでやります。がんばれ!!ページ数は足りなかったら追加して余ったら削除します。

4.枠線・写植

終わったら枠線ツールでコマ割りします。ひたすら長方形コマと折れ線コマを作っていきます。一通り終えたらストーリーエディタを開いて、全ページにセリフを打っていきます。

画像6

こういう感じで作業してるページの横に縦長に表示すると楽です。ひたすら打ってふきだしペンで囲っていきます。基本フォントは源瑛アンチック詰でサイズは8~10ptくらいです。
上でも書きましたがライブ感で原稿をしているタイプの同人オタクなので、細かいセリフは写植しながら考えます。というか後からでもガンガン直します。後述しますが何回も途中で最初から見直しをするので、この時点では後々流れにそってセリフの加筆修正をするためのたたき台みたいなものです。

5.ペン入れ

ページごとに簡単に下書きをしながらペン入れしていきます。下書き全部やってからペン入れ全部、よりは個別にやっていく方が自分には向いてました。人による。

画像7

写植とペン入れが終わってこんな感じです。
ペンはジャンルによって変えていたんですが、最近はフリー素材のペン入れ汎用ブラシを使っています。大体11ptくらい。
https://assets.clip-studio.com/ja-jp/detail?id=1774432

ひたすら描きます。特に順番とかはないんですが、推しのかわいいコマから描くとモチベが保たれる気がします。キャラはペン入れレイヤー、机や背景は背景レイヤー(ベクター)に描いていきます。

ペン入れは1日1枚以上は描くようにします。私は習慣づけたほうが続くタイプなので、とりあえず毎日原稿はします。調子が良ければ4~6pくらい描けることもあります。
平日だから1pとか休日だから6pとかではなく、その時の気分とモチベ次第なので、とりあえず1pという最低ラインさえクリアできればあとはボーナスタイム!みたいな気持ちです。キッチリ決めすぎず楽しく描きます。

6.ベタ~仕上げ

ベタとトーンを分けないで仕上げまで全部一気にやります。1ページごとに完成させていくイメージです。最初は分けてたんですが「塗る作業」なのでもう一緒の方がいいかなっていう…

ベタはベタレイヤーに。髪のツヤベタはジャンルによるので、

画像8

①みたいに完全にベタにしてから主線を白で抜いたり、②みたいにツヤベタの下にトーン貼ったり色々です。キャラに合いそうな方でやります。

トーンもやり方色々あるんですが、私は「グレースケールのレイヤーをフォルダごとトーン化」という方法をとっています。フォルダ内で乗算したりして肌や服の影をつけるのに便利だからです。

イラスト2

ジャンルごとにこのサブビュー用のパレットを作ってスポイトして塗ります。めっちゃ時短です。ここにない色も適当にカラーサークルから取ったりします。

トーン用銃理

↑これは今やってる原稿のサブビュー用パレット。一応HSVスライダーでV20とか50とかキリのいい数字にしているので、普通のトーンだと60線濃度20%とかそんなんだと思います。

あとは効果音描いたりベタフラしたり素材のトーンを貼ったりします。背景は撮ってきた写真を取り込んだり、やっぱり素材から持って来たり、頑張って描いたり色々です。

イラスト4

これで完成です。これをページ分やります。ちなみにこの本は表紙込み66pでした。
ベタ~仕上げ工程は大体6P~10pくらいを一日でやります。〆切がヤバい時はだいたいトーンが雑になります。ベタは頑張る。

7.製本プレビュー

クリスタEXの機能に製本3Dプレビューというのがあるんですが、これを1日の作業終わりに毎日開きます。

イラスト5

こういうのです。製本された仕上がりイメージを電子書籍みたいな感じで確認することができます。
ペン入れだけでもベタ~仕上げ中でも、とにかく毎日(というか2p分ほど終わる度)に開いて頭から読みなおします。ここ効果音足した方がいいな~とか作画気に入らないな~とか、ここの台詞の流れ変えようかな~とかが出てくるので都度調整します。
それでも作画ミスったり誤字してたりアッ…ていう部分はあるんですが(つらい)これをやることで本になるまでのイメトレができるので、ワクワクするし心の準備もできて一石二鳥です。オススメ。

原稿中のあれそれ

色々あるんですが、基本的には「頑張りすぎない」ことに尽きます。原稿、めっちゃつらい気持ちになることもありますが、そもそも推しや推しCPを描く(二次創作する)のはまごうことなき趣味で、趣味は楽しくてこそなので、つらすぎて推しを描くのが嫌にならない程度に活動するようにしています。でも大体アドレナリンがドバドバ出てることが多いので常に原稿してます。
その他具体的なこととかを箇条書き。

▼身体を動かす
これは原稿というより在宅勤務を始めてからですが、とにかくデスクワークなので身体が死にます。身体動かさないと後に響きそうなので、私は
・夕方頃にラジオ体操+有酸素運動(簡単なダンス)20分
・夜に骨盤ストレッチ15分+筋トレ3分
を日課にしました。1週間くらい続けばその後は日課になるので、結果1年くらい毎日やってます。ちなみに簡単なダンスというのはyoutubeにある某ニチアサの戦隊OPダンス動画(公式)とか、ラ〇ザップが出してる夜に駆ける踊ってみた動画みたいなやつです。一時期は恋ダンスしてたこともあります。ダンスにしてるのは好きな曲の方がなんとなく楽しくできるからで、フラフープでも縄跳びでも、とにかく自分が好きなやつやるのが一番だと思います。

▼飲み物常備する
脱水になりかねないので、デカいマグとかタンブラーを常においておきます。穀物系のお茶などを淹れると健康にいい気がします。コーヒーはなるべく朝昼のみ。エナジードリンクもなるべく控えますが、栄養ドリンクは結構飲む。ショコラBBが好きです(味が)
週一で舌をやけどする貧弱口なのですが、猫舌専科のタンブラーに出会って人生が変わりました。猫舌の人本当におすすめです。

▼ご飯食べる
1日一食でもいいのでちゃんとしたご飯食べると全然違います。原稿中おろそかにしがちだと思うんですが、朝昼はヨーグルトとかスープでも夜はサラダとカレー食べるとか、そんな感じで人間生活を保っておくと原稿で疲れなくなる気がします。

▼作業通話
mocriとかスペースとか色々あると思うんですが、私個人は話してると作業スピード落ちてしまうタイプです。でもやっぱり人と話すと気分転換になるので(在宅勤務+仕事全部メールの今の環境では特に)作業速度落としてでも時々友達とかフォロワさんと作業通話します。孤独だと本当に無意識のうちにストレス溜め込みます。ツイッターは会話じゃなくて独り言なんだなってめっちゃ実感します…

色々書きましたがこんな感じで…とりあえず2021年5月現在の同人備忘録でした。今も推しCPの同人誌を描いています。7月合わせの新刊のネーム中です。
別に本の形じゃなくても今はpixivなりtwitterなりで描いたものを発表できますし、実際らくがきとか短い漫画は私もwebに投げてますが、それでも本を出すのはなんでかっていうとやっぱり楽しいからです。具体的には
①自CPの本が一冊でもこの世に増えると嬉しい→増えてほしいから先ず隗より始めている
②描いた話に表紙付けて装丁考えてパッケージ化するのが楽しい
③まとまった長さの漫画読む(描く)ときは紙の方が好き
④不特定多数に内容を拡散されないので濃い目の描写も安心して描ける
こんなところです。あとイベントにサークル参加するのが楽しいから新刊を出しているところもあります。早くイベント行きたいな~!七月無事開催されますように。

私はジャンルが続いたり続かなかったり並走したりで不安定なオタクなんですが、原稿に限って言うと、その時に一番描きたいもの描く精神でいたいな~と常々思っています。というかその方が圧倒的に筆が進むし楽しいです。上でも書いてますが趣味だし、アンソロとか合同誌でなければ全部自分のためにやってるものなので、とにかく楽しくやれればいいなという…まあ今はSNSとか色々あって難しいなと思うこともありますが…。

大好きな作品の名言に「みんな瞬間瞬間を必死に生きているんだ」というセリフがあって、詳しい文脈は検索すると出てくると思うのですがこの言葉のおかげで本当にそうやって生きよう…そういうマインドでオタクしよう…と思えたおかげで毎回その瞬間最大限の好きをぶち込んだ本ができてるので、皆さん劇場版仮面ライダージオウ Over Quartzerを観てください。あとついでに主題歌の「P.A.R.T.Y.~ユニーバス・フェスティバル~」を聴いてください。原稿と人生が辛い時におすすめです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?