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本当は書きたくなかった太宰のこと


実は、太宰の小説を読むと嫌な気分になる。

津軽生まれの自分にとって太宰は、
評判の悪い親戚のようなもの。

はずかしいが、同質なものを感じてしまう。

同じ津軽出身の宗像志功がいる。
太宰とは正反対の田舎者そのもの。
よくいえば、原始的でパワフル。

太宰はそんな人々を嫌っていたと思う。
都会的体裁の物語を書いて成功するが、
津軽の地霊は彼にとりついて離れない。

危うい綱渡りをしていたのかもしれない。

昔、新聞社主催の青森出身の著名人を集めた会が
あったそうだ。
太宰が自己紹介をしていると、宗像志功に声が小さいと
大声で言われたらしい。

すでに、宗像は世界的な評価を受けていた。
デリカシーのない人間に言われるのは、
さぞかし、プライドを傷つけられたことだろう。


弘前のライブハウスによく「森田童子」という
歌手が来ていた。
彼女の歌もだめになった人にやさしい。

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