自分をねぎらう
筆者は、年を重ねても「そこそこほどほどに、機嫌よく、生きていられること」(同書)を目標とする。それは当たり前のようだが難しいことで、そのためには人間関係、健康、経済状態などすべてを淡々とメンテナンスして、「自分は、そこそこがんばっている」「ほどほどの人生が送れている」と思えるくらいにするのがちょうどいい、と説く。
たしかに「ほめるに値する」日を365日続けることなどできないし、「並みの日」あっての「上出来の日」である。毎日上出来、なんてサビしかない歌のようなもので、息切れしてしまうに違いない。ところが実際には、「今日も一日よくがんばった」や「ああ疲れた」の代わりに「自分をほめる」手合いが多いようで、だからこそ筆者も「やりすぎ」と苦言を呈しているのだと思われる。もし本当に、毎日がごほうびが必要なほどハードなのだとしたら、生活を考え直した方がいいかもしれない。 (2016.10)