北の伏魔殿 ケースⅠ-③

○いつもアンテナを張る事が重要
 
 日常業務が始まり、団体事務所から県の担当課のB主査のところに出掛け、連絡事項を伝え終わると、課長がわざわざ自席からその場に来て、
「Kさん、8月に知事訪問団が現地に行くんだけど、一緒に行かないかい」と誘ってくれた。
 団体予算上、年1回現地視察の旅費が措置されており、前任者からは、旅費執行に当たり、当該課の課長、団体の専務理事、現地の所長の了解を得ることと引継ぎを受けており、課長補佐、団体の専務理事からは早めに行ってくるようにと言われていた。
 わざわざ課長が主査に気を使ってくれたことが嬉しく「よろしくお願いします。」と言ったあと、雑談して団体の事務所に戻った。B主査は忙しそうに事務をこなしていたが、彼女のすぐ横で会話していたので、当然、課長が

私を知事訪問団に誘ったことは承知していると思っていた。

○気遣いが人間関係を良好にする

 海外からB主査の後任のM主査が帰県し、私の現地視察について、「忙しいので11月にしてください。」と言われた。別の機会に帰県した所長からも「M主査の言うとおりにしてほしい。」と言われ、受け入れ先の現地事務所が忙しいということであれば、それはやむを得ないと思った。
 しかも、B主査からも「現地視察は11月にしろ。」と言われた。
 私としては別に11月でもかまわないのであるが、課長が私に気遣って知事訪問団に誘ったことを断ったとなると彼らの立場がないだろうと(現地の所長の位階でも課長より下で課長の部下)「課長から8月の知事訪問団に同行するよう誘われているんだけど」と話したが、B主査は「それでも11月にしろ。」と言うので、現地で対応できないということであれば、了承した。
 ただ、B主査の判断がよくわからず、私ならというか大方の職員なら違法行為でない限り、自分の上司の意思に従おうとするものだけど、彼女は上司より自分の判断が優先するようだ。

 私は、彼らの立場を考えて教えたのだが、そのため周囲には彼らから断られたとはそれ以降、誰にも言ってはいない。


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