Tweet-4 July 5, 2014

2014年2月26日、BABYMETALは、1stアルバム 『BABYMETAL』をリリース。続いて3月1日と2日、武道館で単独ライブ。平均年齢14.7歳は女性最年少記録だった。2日目が終わると、キツネ様よりお告げ、なんと拠点をヨーロッパに移すというのだ。やっと国内の人気が出てきたところなのに、アミューズのKOBAMETAL氏はヨーロッパツアーを準備していたのだ。

すでにシンガポールと台湾での経験はあるものの、アイドルがメタルをバックに歌って踊っているという認識で済む世界じゃない、本物のメタルヘッズの世界に飛び込もうというのだ。60から80年代の全盛期は過ぎロックはマイナーになっており、さらにそのロックファンの一部がメタルファンという状況。しかしYouTube時代を迎え世界のメタルファンを合計して市場にできれば十分に勝算があると本場へ打って出たわけだ。

毎年6月から8月に、ヨーロッパ数カ所で大規模なロックミュージックのフェスとして運営されている伝統のSonisphia。2014年UKでは、Iron Maiden、Metallicaがヘッドライナーだった。まったく無名のBABYMETAL は、3日目夕方、小さなBohemia tentでの演奏が予定されていた。しかしプロモーターは「ギミチョコ」のYouTubeでの反応を見て、急遽変更。フェス2日目メイン会場Apollo stageへ移動したのだ。

2014年7月5日土曜日、この日はメタル史上永遠に語り継がれるステージとなる。メタルが生まれたUK、そこでのフェスということで、神バンドは意気込んでいたはずだ。
メタル+ダンスユニットなんて聞いたこともないし、Cute Metalなんて冒涜だと怒りを顕にする聴衆と、とりあえずモッシュして楽しもうみたいな聴衆の前に、いつものごとくFox Godに選ばれ地球に遣わされた三人という設定動画が流れる。なんだそれ？と多くの聴衆は思ったことだろう。当のBABYMETALはフェスの規模も影響力もよくわからずステージへと歩き出す。そこには5万5千人(推定)の聴衆が広がっていた。

この時、SU-METAL16歳、 YUIMETAL15歳、MOAMETALは前日に15歳になったばかり。SU-METALの眼からは、女王になることを覚悟したプリンセスのような気品が放たれている。セットリストは、
BABYMETAL DEATH
Gimme Chocolate!!
Catch Me If You Can.
Megitsune
Ijime, Dame, Zettai

「We want more!」の大歓声の中、ステージから下がるBABYMETAL、完璧な演奏の神バンド、ダンスというより演舞、ノンビブラートで飛んでくる日本語、まったく初めての体験に聴衆は確かに魅了されてしまっている。たった5曲の演奏が歴史の始まりとなった。こんな光景を生きている間に見れるとは、当時60歳の僕は本当に感動したのだった。全容はファンカムを組み合わせて編集された動画で確認できる。

当時アミューズの大里会長にSonisphiaの動画を見て感動したと伝えたところ、「やりたいというからやらせてみたんだけど、まさかこんなことが起こるとは、現地の反応は、日本に伝わっているどころじゃないんだよ」と教えて頂いた。

あれから10年、海外を中心に確実な歩みを続けるBABYMETAL。今やロックミュージックのレジェンドバンドだ。2023年はなんと97公演もしたとのこと。そして2024年5月、ドイツのElectricCallboyとの「RATATATA」が世界でヒット。6月18日、米ビルボードのHard Rock Digital SalesとHot Hard Rock Songs部門で#1となり、この夏の多くのフェスで盛り上がっている。

SU-METALは、まだ26歳、欧米なら下積みが実ってメジャーデビューできれば凄いぐらいの年齢だ。あの日から10年、地道なライブで世界に構築したファンダムを基盤に、さらなる飛躍を祈りたい。