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韓国の不動産市場は今、本当に尋常でない。

韓国の不動産市場は今、本当に尋常でない。ソウルの江南地区とか有名な金持ちエリアは、多くの韓国ドラマに描かれている場所でもあり韓国で一番不動産価格が高い場所でもあるが、その不動産市場は急落している。

これは風向きを知れる意義がある。一時期、江南の一般的なアパートは20~30平方メートル程度だった。しかしそれはいくらで売れるのだろうか?人民元で1600~1700万円だ。でも今は?400万あるいは500万までも下るだろう。

江南区は風向計だ。韓国の住宅価格全体は、9ヶ月、いや10ヶ月の下落が続いている。ソウルでは、一部のアパートが30%あるいは40%引きで提供されている。それにもかかわらず販売数は70%以上減少している。そこで、韓国の不動産デベロッパーは今、家を買えば高級車が手に入るなどさまざまな仕掛けを用意している。

20~30平方メートルの家が1600万元とか1700万元で売られているが誰が買えるとういうのか?このような状況で多くの人が心配している。韓国メディアは、「不動産不況が来る」と言っている。2008年の金融危機よりひどくなる可能性があるとのコメントまである。国際通貨機構であるIMFも韓国の不動産バブルは崩壊まであと一歩のところまで来ていると言っている。

韓国の不動産バブル崩壊は2021年8月に始まったと言える。韓国中央銀行が利上げを開始した後韓国の不動産価格は崩壊モードに突入し、地主の夜逃げや借家の崩壊が出現した。しかし、不動産危機といっても決して不動産市場だけの問題ではなくあらゆる局面まで及ぶ。

昨年10月、韓国の金融当局は50兆ウォンの救済策を打ち出した。そして今年、不動産市場の規制を緩和するという、歴史上前例のない調整を行った。今の懸念は、韓国の不動産市場が30%の急落の後、無事に着地できるかどうかである。

実際、韓国の不動産価格は歯止めが利かなくなっている。調整されればされるほど上昇する。これには重要な要因がある。それは、韓国の全賃貸住宅制度である。つまり、借家人は家を借りるときに保証金しか払わない。その保証金は非常に高額で家の値段の50%から80%に相当する。例えば、価格が400万だとすると300万以上の手付金を支払う。そして、借りている数年は家賃を払わない。

2年か3年の賃貸契約期間が終了したとき大家はあなたに数百万をすべて返す。あなたから一切金を取らないという仕組みになっている。物件の値段が上がればつまり大家は借主の手付金を持ち去り、より多くの物件に投資する。レバレッジを効かせているのだ。

一方、賃借人は銀行ローンを利用して、家賃の全額を保証金として支払うことができる。毎月わずかな利息を支払うが、この利息は、通常の家賃の4分の1程度またはそれ以下にしかならない。両者のいいとこ取りのようではないか。

しかし、問題は先ほども言ったように多くの大家は、手付金を使ってレバレッジをかけ家を買い続けることだ。その結果、住宅価格を押し上げているのだ。では、入居者はどうか?銀行ローンに頼って家を買うためにお金を貯めようと思って、低金利で借りた結果、住宅価格の上昇についていけなくなった。だから、住宅ローンの金利が上がるとゲームはもう続けられない。

大家の住宅ローン返済負担はどんどん大きくなり借主の住宅ローンもどんどん負担が重くなり、入居期間が終了し敷金を返してほしくても、多くの大家はすでにお金を取ってレバレッジを効かせ連鎖的投機をしてしまっている。他の物件の頭金に充てるために使ってすぐには取り戻せない。敷金を返せないから家を売るという選択をする。

もし、どんどん家が売られたら住宅の価格は保てずバブルが崩壊する。韓国では昨年、すでに2,000件以上の賃貸保証金の併呑事案があり、7,000億ウォン以上に達しているという問題がある。多数の大家が資金連鎖を断たれ、入居者は敷金を取り戻すことができず高い金利で返済を続けなければならないのだ。

韓国の専門家はこのような賃貸モデルの損失は今年中に1兆8000億ウォンに達する可能性があると予測する。しかし、住宅価格の雪崩は恐ろしく、その勢いを止めるのは難しい。そして、この不動産危機の背後には、実は金融チェーン全体の崩壊そして一部の不動産会社の倒産があるのだ。

多額の借り入れをしていた一部の不動産デベロッパーも当然ながら困難に陥っている。韓国の大手建設会社30社のうち11社は負債比率が200%を超えている。韓国銀行が行った調査によると上場している不動産デベロッパーの約36%が営業利益で利子を返せないでいる。韓国の不動産セクター全体が流動性危機に陥っている。

韓国金融研究院の報告書によると金利が長期にわたって低水準で推移しているため、韓国の不動産シャドーファイナンスは750兆ウォンに達している。これは過去最高額である。不動産シャドーファイナンスとは銀行システムの外で利益を得るものであり健全な規制の対象にもなっていない。不動産ファンド、信託などあらゆるものが含まれる。不動産金融の投資商品もある。
これは、かつて韓国の不動産価格が高騰していたときに投資家たちが「金の卵を産むガチョウだ」と歓迎していたものだ。

しかし、今は潮目が変った。韓国銀行はシャドーファイナンスのリスクウインドウは総資産の約30%、100兆〜200兆ウォン程度であると述べている。さまざまな保険資産会社、証券会社、マーケティングファンドなどが関係している。

そして、これらの影の金融機関と銀行システムとの間には、橋渡し的な取引も多い。ひとたび問題が発生すれば金融システム全体に波及しやすくなる。だから韓国は対策を講じなければならなかった。韓国の金融当局は、市場を救済するため昨年10月に50兆ウォン、2600億人民元以上の資金を投入した。

流動性の供給を拡大するため、金融市場を安定させるため、そして、不動産に対する様々な規制を緩和するためである。今見るとこれらの刺激策の後、韓国における社債と国債の金利差が昨年初めの比較的低い水準に戻り、住宅価格は少し安定した。しかし、韓国人は、不動産市場の悪夢はまだ終わっていないと心配している。

第一に先に述べた不動産シャドーファイナンスが融資の連鎖を安定させることができるるのか?第二に、住宅を購入する人が必要である。住宅需要が回復するのか?今のところ、住宅の最終需要という点では韓国にはもう一つ問題がある。

それは、家計の負債が非常にレバレッジが高く、GDPの108%を占めるということだ。これは、中国やアメリカ、日本、ユーロ圏では60%から70%程度と言われていることからすればかなり高い。

韓国銀行によると過去3年間のパニック買いによって、多くの韓国の若者の家計ローンが劇的に増加した。これは将来の消費者需要にとって深刻なオーバーローンとなる。

そして、このような状況下で不動産市場を回復させてほしいというのは空虚な要求である。つまり、国民はオーバーレバレッジに陥っている。このままでは続くはずもなくいつかは清算しなければならない時が来る。韓国はどっちの道に進むのか。アメリカのようにサブプライムローン問題を通じてレバレッジをかけるのか。それとも輸出回復による所得増加でレバレッジを図るのか。その道も今ではうまくいかないように見える。

なぜなら韓国の輸出収入も激減しているからだ。もう一つの方法は、金融緩和で生き延びることだ。韓国の不動産危機は終わっていないと言える。今はそれを覆い隠そうとしているに過ぎない。しかし、その裏にはいくつかの問題がある。住民のレバレッジ、デベロッパーの問題、シャドーファイナンス、これらの問題がみな解決されていない。まるで爆竹に火がついたように今はまだ静かだが、いつ爆発するかわからないのだ。

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