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【決定版】文庫本300冊調べて分かった、安い文庫・高い文庫④

値段分析 バックナンバー

こんにちは、卯月です。

文庫本の値段分析、第4回です。
今回は新潮文庫編です。


調査対象

角川文庫・講談社文庫・集英社文庫・新潮文庫・文春文庫から、2023年4月から2024年3月に発売された300冊(2024年3月は、発売予定を含む)。
内訳は、1ヶ月につき5冊×12冊×5レーベルの計300冊。

調査方法

各レーベルの検索エンジンで発売日を任意の1ヶ月間に指定し、表示された中の上から5冊を抜粋しました。
ただし、講談社文庫は検索エンジンがないため、一件ずつ確認しました。
抜粋した書籍でリストを作成し、レーベルごとに60冊の平均価格を算出・比較しました。
以下は、リスト作成に使用したウェブページ・作成したリストです。

角川文庫 書籍検索

講談社文庫 書籍一覧

集英社文庫 詳細検索

新潮文庫 検索

文春文庫 既刊リスト(タブから発売月切り替え可能)

リスト
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1Czx_i6tHUplsmpbbVFUtLyyZMxKPKWuHWATGca426UM/edit?usp=drivesdk

予想

本題に入る前に、私の予想を書いておきます。

・新潮文庫は安い
→持っている本を見る限り、値段が安めな気がするから。

・相場は700円代〜800円代
→文庫本のカバーに印刷されている値段が、そのくらいであることが多いから。

・講談社文庫は高い
→持っている講談社文庫だと、値段が高めのものが多いから。

結果

本項に表記した本のデータは全て、順不同・敬称略とします。()内は定価です。

2024年3月28日発売予定
・織田作之助「放浪・雪の夜―織田作之助傑作集―」(693円)
・本橋信宏「上野アンダーグラウンド」(990円)
・高井浩章「おカネの教室 ―僕らがおかしなクラブで学んだ秘密―」(693円)
・松下隆一「羅城門に啼く」(605円)
・早野龍五「「科学的」は武器になる ―世界を生き抜くための思考法―」(649円)

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1冊だけ990円の本がありますが、それ以外は600円台で安価な本が集まりました。
そのため、平均価格は726円でした。

2024年2月28日発売
・松嶋智左「巡査たちに敬礼を」(781円)
・寺地はるな「希望のゆくえ」(693円)
・安部公房「飛ぶ男」(649円)
・長江俊和「出版禁止 ろろるの村滞在記」(781円)
・花房観音「果ての海」(737円)

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こちらは全ての本が600円台から700円台と、安価な本ばかりでした。
そのため、平均価格はほとんど上がらず、728.2円となりました。

2024年1月29日発売
・千葉雅也「オーバーヒート」(649円)
・燃え殻「夢に迷ってタクシーを呼んだ」(649円)
・池田理代子「フランス革命の女たち ―激動の時代を生きた11人の物語―」(825円)
・山舩晃太郎「沈没船博士、海の底で歴史の謎を追う」(649円)
・梶よう子「広重ぶるう」(935円)

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こちらは「フランス革命の女たち ―激動の時代を生きた11人の物語―」「広重ぶるう」と、比較的高価な本が含まれました。
しかし、それ以外の3冊が649円と安価であるため、平均価格は741.4円となりました。

2023年12月25日発売
・武内涼「阿修羅草紙」(1,100円)
・清水克行「室町は今日もハードボイルド ―日本中世のアナーキーな世界―」(781円)
・加藤秀俊「九十歳のラブレター」(605円)
・南綾子「婚活1000本ノック」(693円)
・宇能鴻一郎「アルマジロの手 ―宇能鴻一郎傑作短編集―」(693円)

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こちらは1,000円を超える本が含まれていますが、5冊のうち3冊が600円台と安価であるため、平均価格は774.4円となりました。

2023年11月29日発売
・朱野帰子「わたし、定時で帰ります。3 ―仁義なき賃上げ闘争編―」(880円)
・門井慶喜「地中の星―東京初の地下鉄走る―」(935円)
・川添愛「聖者のかけら」(1,155円)
・ふかわりょう「世の中と足並みがそろわない」(649円)
・望月諒子「大絵画展」(990円)

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こちらは定価が1,000円以上の本が1冊、800円台が1冊、900円台が2冊と高価な本が含まれています。
唯一「世の中と足並みがそろわない」だけ600円台ですが、他が高いため平均価格は921.8円に跳ね上がりました。

2023年10月30日発売
・カレー沢薫「モテの壁」(693円)
・小津夜景「いつかたこぶねになる日」(693円)
・泉鏡花「外科室・天守物語」(649円)
・長江俊和「掲載禁止 撮影現場」(781円)
・坂口恭平「躁鬱大学 ―気分の波で悩んでいるのは、あなただけではありません―」(693円)

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こちらは打って変わって、4冊が600円台と安価な本が集まりました。
「掲載禁止 撮影現場」だけ700円台ですが、他が安かったため、平均価格は701.8円に下がりました。

2023年9月28日発売
・藤ノ木優「あしたの名医 ―伊豆中周産期センター―」(880円)
・佐藤賢一「日蓮」(880円)
・角田光代「月夜の散歩」(693円)
・大貫卓也「マイブック ―2024年の記録―」(473円)
・梶よう子「江戸の空、水面の風 ―みとや・お瑛仕入帖―」(737円)

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こちらは様々な価格帯の本が集まりました。
「マイブック ―2024年の記録―」が473円ととても安いため、平均価格は732.6円となりました。

2023年8月29日発売
・山田詠美「血も涙もある」(649円)
・塩野七生「ギリシア人の物語2 ―民主政の成熟と崩壊―」(1,320円)
・彩瀬まる「草原のサーカス」(737円)
・津村記久子「サキの忘れ物」(649円)
・帚木蓬生「沙林 偽りの王国〔上〕」(825円)

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比較的高価な本が多く集まりました。
定価が1,000円以上の本が1冊含まれたため、平均価格は上がって836円でした。

2023年7月28日発売
・尾崎世界観「母影」(605円)
・神長幹雄「山は輝いていた ―登る表現者たち十三人の断章―」(737円)
・仁志耕一郎「凜と咲け―家康の愛した女たち―」(737円)
・志川節子「芽吹長屋仕合せ帖 日日是好日」(781円)
・塩野七生「ギリシア人の物語1―民主政のはじまり―」(1,210円)

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こちらも1,000円以上の本が1冊含まれています。
しかし、「母影」が605円と安価であるため、平均価格はむしろ下がって814円でした。

2023年6月26日発売
・加藤シゲアキ「オルタネート」(990円)
・住野よる「この気持ちもいつか忘れる」(990円)
・町田そのこ「ぎょらん」(935円)
・川上和人「そもそも島に進化あり」(880円)
・小川糸「とわの庭」(693円)

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平均価格が高めの本が集まりました。
900円台の本が3冊含まれたため、平均価格は897.6円に上がりました。

2023年5月29日発売
・三好昌子「室町妖異伝―あやかしの絵師奇譚―」(781円)
・村上春樹「村上T―僕の愛したTシャツたち―」(1,045円)
・織守きょうや「リーガルーキーズ! ―半熟法律家の事件簿―」(825円)
・伊与原新「八月の銀の雪」(737円)
・はらだみずき「やがて訪れる春のために」(737円)

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定価が1,000円以上の本が含まれていますが、他が比較的安価なため、平均価格は825円に下がりました。

2023年4月26日発売
・前川裕「号泣」(781円)
・石川直樹「地上に星座をつくる」(880円)
・柳瀬博一「国道16号線―「日本」を創った道―」(693円)
・奥野克巳「ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと」(935円)
・石井光太「こどもホスピスの奇跡」(737円)

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こちらは最も高いものでも935円と、比較的安価な本が集まりました。
そのため、平均価格はさらに下がって805.2円でした。

終わりに

この記事で取り上げた60冊の平均価格を算出したところ、731.5円となりました。

60冊の平均価格で比較すると、
・角川文庫(883.7円)
・講談社文庫(838.4円)
・集英社文庫(788.5円)
・新潮文庫(731.5円)
と、現状は新潮文庫が最安値となっています。

このまま新潮文庫が最安値をキープするかどうかは、次回調査する文春文庫の結果次第です。
しかし、個人的には新潮文庫が最安値になるような気がしています。
恐らく、これ以下の値段は出てこないでしょう。

次回は最終回です。
最後は文春文庫を調査し、調査の総まとめをします。

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