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カナガワの鱒釣り

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ブローティガンの『アメリカの鱒釣り』の翻訳っぽい文体で思い出を語る遊び場。
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2023年7月の記事一覧

ムテキングとスパイダーマン 『カナガワの鱒釣り』14

 80年代うまれの友人について。朝、僕たちが眼を覚ますころ、父や兄たちはもう出かけていた。…

モジゃもん
10か月前
3

コンビニエンス 『カナガワの鱒釣り』13

 あまりにも、あまりにも可愛らしいあまりに、毎日タバコを買ってしまうようなコンビニ娘のレ…

モジゃもん
11か月前
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ツーコン・マイク 『カナガワの鱒釣り』12

 いよいよ老いさらばえた、相棒よ。つうこんのいちげきとは、長らくおまえの名前にちなんだも…

モジゃもん
11か月前
3

ミニ四駆・ジャパンカップ 『カナガワの鱒釣り』11

 スタートの瞬間にリヤステーを中指で弾くように押しだす技術は兄が考案した。ジャパンカップ…

モジゃもん
11か月前
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墨田区八広の大黒湯 『カナガワの鱒釣り』10

 墨田区八広の大黒湯はおばあちゃんちのすぐ近く、風情だなんて、それで当然だった。  チン…

モジゃもん
11か月前
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横浜夢の国 『カナガワの鱒釣り』9

 かつて夢の国は戸塚にあった。戸塚にあるのに横浜と冠されたのは、千葉にあるのに東京と冠さ…

モジゃもん
11か月前
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ハヤトの芝生のオオカマキリ 『カナガワの鱒釣り』7

 ある夏の終わり、僕は高架橋をこえて、新幹線の向こう側の畑に沿って歩いていた。更に畑の向こう側、野球場ほどの芝生が広がっていた。  ハヤトの芝生は広くて、空は青く高く、陽射しがまぶしかった。足を踏み入れると、キチキチが陽に照らされた草むらに向かって飛び込んでいく。  芝生の片側はコンクリ擁壁が30メートルほど続いて、そのすぐ下のあたりは背の高いススキやネコジャラシが群生していた。中に入ると形の綺麗なショウリョウバッタのメスやオオカマキリにチョウセンがすぐにとれた。  僕

運動会 『カナガワの鱒釣り』8

 青々とした空に白い舟が浮かんでいた。眺めていると、じんわりと輪郭をくずして、雲は次第に…

モジゃもん
11か月前
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PCエンジンDuoかメガCDか 『カナガワの鱒釣り』6

 平成はミニ四駆のハイパーダッシュモーターのスピードで、ゲーム好きと、金曜よる7時のドラ…

モジゃもん
11か月前
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ビックリマン・シール 『カナガワの鱒釣り』5

 大体のシールが揃っていて、僕の持っていないヘッドはもちろん、見たことのないものですら、…

モジゃもん
11か月前
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ラーメン屋 『カナガワの鱒釣り』4

 そのラーメン屋に初めていったとき、ラーメンにはほうれん草ひとつかみ、ネギ少々、もやし少…

モジゃもん
11か月前
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砂糖水とパン 『カナガワの鱒釣り』3

 まだ朝食について考えなしのころ、朝寝坊のために同じものばかりを食べている時分があった。…

モジゃもん
11か月前