事件番号 令和2年(ク)第993号
性同一性障害「特例法」の手術要件をめぐるレポート
関東弁護士会連合会の報告書には大きな矛盾がある。
①手術要件を「断種かつ不妊手術を迫る人権侵害」であると述べている。
②しかし別項では、不妊に繋がる医療(ホルモン投与等)を「幸福追求権」のひとつとして説明している。
③また、不可逆的かつ去勢効果を伴う薬剤「ホルモン製剤 GnRHa等」を未成年に推奨しているとも取れる記述がある。
(GnRHa=俗称:思春期ブロッカー/二次性徴抑制剤/ルプロン/リュープリン)
⚠️しかし2023年8月現在、この二次性徴抑制剤は、トランス先進国で未成年への使用が禁止され始めている。
現状説明:
④関東弁護士会連合会の報告書(全476頁)は、手術要件の撤廃を謳っているが、性別移行医療の必要性に関する説明に98頁の分量を割いている。
にも関わらず、同報告書は次のように述べている。
海外事情 ❶
性別の自己決定権を唱え、法的性別変更から手術要件を撤廃し、かつ、未成年者へのジェンダー肯定医療(医療的トランス)を推奨する風潮は、世界的に見られる現象。これを視覚化すると次のようになる。
前述のドラモンド氏は英国最大のLGBT団体であるストーンウォールの諮問委員かつ「トランス・レズビアン」を名乗っていたトランス女性(現在所在不明)。
対して、胸に大きな傷跡のある少女は「トランス男性」と成るべく乳房切除手術を受けた名も無き未成年の女の子。
法的性別変更条件から「手術要件の撤廃」を謳っていても、子供に対する性別変更医療を咎めるLGBT活動家がほぼいない点に留意されたい。
この社会的ムーブメントは常に危険かつ、大きな矛盾を孕んでいる。
海外事情 ❷
「ペニスある女性」の存在を法で承認した場合、筋骨に劣る生物学的女性の人権は守られない。
セルフIDとは、self-identification の略語で、
「性別自己申告制」や「ペニスある女性を認可した制度」を指す俗称でもある。
性自認(gender identity)を、性別(biological sex)と等価に扱う危険性
2021年、状況を憂えた英国人権平等委員会(Britain's human rights watchdog)委員長のフォークナー氏は声明を発表した。
「女性は虐待されたり、汚名を着せられたり、仕事を失う危険を冒したりすることなく、トランスジェンダーのアイデンティティに疑問を抱く権利を持たなければならない」
『ジェンダーイデオロギー』は「男性が女性だと言えば女性になれる」という過激な思想。世の中の50%を占める女性の身体性に基づいた権利と大きく衝突する思想でもある。イギリスでは2015年から女性スペースがジェンダーアイデンティティをベースに運用されレイプ事件などが多発した。2020年、2021年と、この思想を推した労働党は選挙で大敗し、2021年5月に、担当大臣が「オールジェンダートイレ」を「男女別トイレ」に戻す命令を出した。
また、トランスジェンダー文化を育んだ「ジェンダー・イデオロギー」は「哲学的信念」であり、これを信じない人の信念も同じく保護されると英国裁判所において判断されている。
日本国憲法第十九条
思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
つまり、ペニス付の人物を女性と認めない信念は、日本国憲法第19条の名において認められなければならない、日本国民固有の人権である。
我々日本女性にも、海外から輸入されたジェンダー・イデオロギーによる「性自認は性別と等価であり、男性器付きの女性も存在する」という科学的根拠の無いイデオロギーを拒否する権利があるはずだ。
性同一性障害に関する特例法は、自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思を有する者の、書類上の性別記載を変更するべく制定されたもの。あたかも法が手術を強制しているかのような誤読を誘うLGBT活動家の言説は、悪質であると言わざるを得ない。
手術を望まないトランスジェンダーには、別途の救済を用意すべきであり、その救済様式は、女性や子供の生存権を損なうものであってはならない。
このイデオロギー騒ぎを受けて、豪州ユダヤ人協会会長のアドラー博士は次のように述べている。(2023年6月)
「不愉快なイデオロギーから自分の権利を守ろうとする女性をナチスだと中傷することは、非常に恥ずべきことだ」
最後に、LGBT救済のためのジョグジャカルタ原則を起草したひとり、人権法の専門家ロバート・ウィンテミュート博士の言葉を添える。
ジョグジャカルタ原則は、キングス・カレッジ・ロンドンの人権法教授であるロバート・ウィンテミュート氏を含む、弁護士、人権専門家、トランスの権利活動家のグループによって起草され、署名された。同性愛者であるウィンテミュートは、「トランスジェンダーの人たちが苦しんでおり、これこそ彼らが必要とすると示しているものだ…という感覚がありました。2006年当時、手術をしないことやセルフIDの意味合いが、私たちには理解できませんでした。なので、私の記憶では、手付かずの性器を持ったままの男性が女性の空間にアクセスするとは、誰も考えておりませんでした」と認めた上で、「女性の意見に耳を傾けたことが、私の意見を変える重要な要因となった」と語る。
法律上の性別を変えるのではなく、法律上の性別と外見の違いによって引き起こされる被害から人々を保護することを、法律は単純に求めることができたはずだ、と彼は示唆する。「そうすれば、トランスの人々の出生時の性別を法的な性別として認めつつ、性役割に適合しない外見や行動に基づく差別からの保護を確保することができるため、現在の争いの多くを取り除くことができるでしょう」ロバート・ウィンテミュート
出典:
結論:
現在、英語圏で既に見直しが始まっている周回遅れのイデオロギーに膝を屈し、出産した女を「父」、ペニスある男を「母」と公称できるよう法を捻じ曲げれば、日本国最高裁判所の信頼と権威は地に堕ちていくだろうことは論を俟たない。
(2023年9月13日)
※この記事は、調査結果を部分的に友人から寄贈されて公表している。
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