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文学_芥川龍之介『藪の中』のあらすじ

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面白さ

『藪の中』はサスペンスです。

殺人事件が起き犯人を捜していく物語ですが、

実は真相が分からず、犯人は不明に終わってしまいます。


一人ひとりの目撃情報などを聞き出していくのですが、矛盾があり真相は藪の中となります。

ちなみに、真相は藪の中という言葉もこの作品が由来です。

あらすじ

7人の証言をもとに構成されている物語です。

一人ひとりの証言をまとめてましたが、真相は分からずに物語は終わります。

木こりの証言

山に杉の木を切りに来た時に、藪の中の死体を発見しました。
胸元に刺された傷があり、が落ちていて、周囲は荒れていました。
刀や馬はありませんでした。

旅の僧の証言

昨日の昼頃、殺害された男とすれ違いました。
馬に女を乗せて一緒に歩いてました。女の顔は見えませんでしたけど。
男は刀と弓を持っていました。


警察官(放免)の証言

昨日の晩に、名高い泥棒の多襄丸を捕まえました。
殺害された男の弓や馬と全く同じ特徴のモノを持っていました。
しかも、多襄丸は女好きで有名です。馬に乗っていた女も多襄丸が手にかけたのでしょう。

女の母(媼)の証言

殺害された男は娘の夫でした。優しい良い夫だったのに、こうなってしまって残念です。行方不明の娘が心配でなりません…。

ここから事件の当事者の証言となります。

多襄丸の白状

あの男を殺したのは私です。しかし、女の行方は知りません。
昨日の昼ごろ、女の顔を見て一目惚れしました。
隣にいる男を殺してでも、女を奪いたいと思いました。
そこで藪の中におびき出し、不意打ちをして男を縛り上げました。
女も抵抗してきましたが押さえつけて、男を殺さず女を手に入れることができました。

しかし、女が、決闘で勝った方の妻になると言い出しました。
そこで、縄をほどき男と正々堂々と決闘をし、結果は私が男の胸を貫き勝ちました。
女を妻にできると思ったのですが、もう女はそこにはおらず、逃げ去っていました。

清水寺での女の懺悔

男(多襄丸)は私を手ごめにして、縛られた夫を見て嘲笑いました。
夫からは冷たい視線を私に向けられました。その冷たい視線にショックを受け、そのまま私は気を失ってしまいました。

気がつくと、そこには男(多襄丸)はいませんでした。
手ごめにされては一緒には居れません。一緒に死にましょうと夫に伝えました。
夫はずっと冷たい視線で私を見ていました。
笹の落ち葉が口いっぱいに詰まっているので声は聞こえませんが、私に殺してくれと言ったに違いありませんでした。
そこで、私は夫の胸に小刀を突き刺しました。
その後、私も死のうとしましたが、死にきれませんでした。

殺害された男の霊を降霊させた巫女

泥棒(多襄丸)は妻を手ごめにすると、口説きはじめました。
妻には口を聞くなと目配せを何度もしましたが、妻はどこへでも連れてってくださいと言ったんです。
そして、妻が夫を殺してほしいと泥棒(多襄丸)に頼んだのです。
これには泥棒(多襄丸)もびっくりして、おれに女を殺すか助けるか?と尋ねてくれました。
その隙に妻は逃げていきました。

また、泥棒(多襄丸)もおれの縄を切り、逃げていきました。
妻の小刀が落ちていたので、それで自分の胸を刺しました。

その後、誰かが胸に刺さった小刀を抜いて、立ち去っていきました。

考察

結局、犯人は分かりませんが、特に食い違っている点をまとめました。

・女が逃げたタイミング
・男を殺害した人物

女が逃げたタイミング

多襄丸は決闘をしている間に逃げられたと。
女は夫を殺してから自分も死ぬために逃げたと。
男は多襄丸と会話している時に逃げたと。

男を殺害した人物

多襄丸は自分が殺したと。
女は夫の頼みで自分が殺したと。
男は自害したと。

まず、自分自身が殺害したと主張するのは疑問ですよね。

自分をよく見せたいのでしょうか?主人公気取りでしょうか?

芥川龍之介は真相を伝えたいようなサスペンスを描きたかったのではなく、人間の嫌なところを伝えたかったのかなと思いました。

各々自分がよく見られたいと思い、事実を盛って話しているのではないでしょうか?

今でもありますよね、話を盛ること…。


その上で、証言として怪しいのは女だと思いました。

すべて女の被害妄想?で殺害にまで至っているという辻褄があいづらいからです。

口の中に笹を詰められて話せない夫に対して、笹を取らずに殺せと言われた気がしたから殺すでしょうか?

また冷ややかな目で見られただけで気を失うって…。

多襄丸は女好きだったことは事実でしょうから、気を失った女をそのまま放置して立ち去るでしょうか?

一番信憑性が欠けると思いました。

つまり、もっと悪いことや、みっともないことをしていたのですが、

仏様に言い訳をしたくて清水寺で懺悔をしていたのでしょう。



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