見出し画像

『アカデミックハラスメント』ある女性研究者の手記と対話から AINO(著)

『アカデミックハラスメント』という本を手にとった。著者はAINOさん。

著者が実際に体験したハラスメント、主にアカデミックハラスメントについて書かれている。

はて?アカデミックハラスメントってなんや?それが最初の感想だった。基本的に僕はなんでもかんでもハラスメントという風潮に嫌気がさしている。
セクハラ、パワハラ。まあ理解できたのはこれくらいだ。それをモラハラだのなんとかハラだの言いだした頃についていけなくなった。

モラハラってなんや?全くイメージができない。かといってハラスメントを否定するわけでもない。僕自身、おそらく多くのハラスメントを受けてきたし、多分してきた。
多分というのは自覚が無いのだ。他人から「それアウト」と言われて初めて気が付く。だが、僕はそれは言われたことが無い。言われたことが無いのは別にやっていないわけでは無く、言ってくれる人がいなかっただけだろうと思う。

ところでアカデミックハラスメントとは何なのか?
どうやら教育機関におけるハラスメントのようだ。著者は女性研究者であり大学院なので研究をし学会などで論文の発表を行うという現場において、自信が受けてきたさまざまなハラスメントについて書かれている。
それこそおそらく強姦されたであろうことも。それを思い出しながら書くことがどれだけ辛いことか、想像しただけで吐き気がする。

僕らから見ればたいそう権威のある立派な教育機関ですらハラスメントに対してその程度の認識だったのだ。だからと言って一般社会のハラスメントが大したことが無いとか、しょうが無かったとかというわけでは無くて。

アカデミックハラスメントについては、この本によると2006年に東大でアカデミックハラスメント防止宣言がなされたと書かれている。確かに僕がちょうどハラスメントという言葉を聞き始めた頃かも知れない。いや、もっとあとだろうか。どちらにせよ、そうやって社会問題化され出したのはつい最近の事である。

ハラスメントという言葉使われ始めた以降でも、それがハラスメントであるということなど、全く気付かなかった問題も本当にたくさんある。

この本に「もしかしたら、戦争がなくならないのと同様に、ハラスメントもなくなることはないのかもしれない。」と書かれている。
それでも生き残るためにはどうすれば良いのか?それを3章以降で『あの人と和解するー仲直りの心理学』(集英社新書)の著者で臨床心理学者、カウンセラーでもある井上孝代との対談という形式でハラスメントという大きな問題解決に向けての取り組みが書かれている。

ハラスメント問題に限らず、いろいろな事が勉強になった一冊だった。
一読の価値はある。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?