2020年のふりかえり

先日、会社で忘年会が行われた。時節柄、オンラインでの開催だ。事前に会社からは、チーズやら生ハムやらの詰め合わせが届いていた。さらに有名ショコラティエの焼き菓子も付いている。毎年の集まりで食費をケチらない上司を、私は心から尊敬している。

「今年はどんな年でしたか?」
順繰りにまわってくるグルーミング的マイク。頭からっぽで生ハムをたしなんでいた私はうっかり「ちょー楽しい一年でした」と答えていた。

四十を過ぎて迎えた2020年。数年前から、この区切りのいい年が来たら、これからの人生を考え直したいと思っていた。なんか学校に通ったりとか…。よくあると言えばその通りで、この歳になって思うけど、20代で始めたことがこんなに続くとか、自分が一番びっくりしてるから。ここらで振り返りを入れたいって思っていた。

それが年明けからの思わぬニュース。直前に洋行を決行したこともあり、緊急事態宣言前からの自粛生活。その後、仕事も完全リモートに。
特に4月の頃は環境が整っておらず、通勤電車なしで誰とも会わない、高校以来の引きこもり生活となった。
暇だった。貴重な大人の休日だったと思う。私は「タイBLドラマ沼」にハマった。

そもそも私は「あの名作マンガが実写化!」に、苦虫を噛み潰す方だった。BLドラマも同様でそこまでの期待もなく、自粛期間でなければYouTubeを開かなかったと思う。当時のバズツイで紹介されたドラマを見始めると、そこから止められなくなった。
さらに衝撃だったのは、俳優がSNSでもカップルイメージを維持していたこと。日々アップデートされるリアルとドラマの境界をくすぐる演出を追いかけることに夢中になった。

思えば、初めて自分だけのPCでインターネットに接続したのが1999年。iMac・タンジェリンの画面から広がる世界に、毎晩友だちとチャットをつなぎ騒いでいた。
あれから20年が過ぎて。いま、毎日インターネットにときめいている。Google翻訳頼りに垣間見るTLには、さまざまな年代、国に住むファンがコメントし、時たま監督や俳優が返信し、また盛り上がる。
結局、年末にいたるまでフルリモートで働くこととなった私にとって、TwitterやYouTubeは情報収集ツール以上の存在になった。

デジタルツールによる変化は仕事にもあった。オンライン会議だ。
ところで、オンライン上で同時に複数人で会話するって、めちゃくちゃ難易度高くないですか?例えるなら、突然シロウトがひな壇に放り込まれたみたいな。今日のMCとは全然アイコンタクトとれないな〜(涙)とか。
けれどよかった面も一応あって、それは自分の立ち位置を意識せずに、意見が言えるようになったこと。

職場では年齢的に中堅とはいえ、女だから、立ち場が違うから、空気読まなきゃ…と、言わずに済ませていた事がたくさんあったんだと気づいた。
これまで職場に不満はなかったけれど、いかに自分が社会人の着ぐるみの中にこもって息してたのかと思った。

20代の頃の自分は本当に常識がなくて、あれをモロだしに生きるのはハードモードだったと思う。そこから15年、着ぐるみでつちかった経験を信じて、オンラインではヘソくらいまで出してみよう、といまは思っている。

2020年、肉体的にはだいぶだいぶ運動不足だったけれど、意識のアップデートの兆しは感じられた一年だった。これといった確信もなく生きてきた私にとって、自分の意識が変化していくのは面倒くさくて、ちょー楽しい。

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