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陰謀論と「じゃぁ、あなたは何をする?」

人間はどうも、他人の中に悪意を見出して自分が善意のヒーローになりたい願望があるらしい。子供のためのヒーローもの、ハリウッド映画でのヒーローものも、言ってみたらそんなものだ。

それを悪いとも思わないし、実際巨悪に立ち向かうヒーローの話は面白いしカッコ良い。ストーリーの中では。

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ただ、現実世界で自分が何が出来る訳では無いのにこんな巨悪が、と後先考えず伝えたり糾弾したりするのは どんなだろうとはおもう。「何も出来ないから多くの人に伝えるんだ」・・・でも、その伝えていることの信憑性は?相対するほうに正義は本当にないのか?

アメリカでは(もしかしたら日本でも)数年前からQアノン(QAnon)というグループが密かに支持を集めている。(↑の動画、フルで日本語訳ついてます。BBCから)

★Qという(政治的に)とても力を持った人がいる。Qは「世の真実」へ人々を導く。Qはトランプ大統領だ。
★世界は巨万の富を有するごく少数の人々によってコントロールされているのだが、その人たちは悪魔崇拝の人達で小児性加害者(子供を不老長寿のクスリとして食べたりする)だ。トランプ大統領は彼らと戦う人なのだ。

そしてQアノンの支持者は世論調査なんかには出てこない草の根レベルでスゴイ数いるという。

Qアノンは「インターネットの5Gというのは洗脳のために準備されたものであり、これを使う事で殆どのひとが奴隷状態になる」「新型コロナウイルスはその世界を牛耳る金持ちたちの仕組んだものだ。ワクチンにはナノサイズ(ミリメートルは0.001m, ナノは0.000001m)の人間を操るコントローラーが仕込まれていて、これを受けたひとは5Gの影響を受ける範囲では奴隷になる」「イルミナティと戦うのはQアノンだけだ」等などの主張をしている。

最近では「新型コロナのワクチン製造が遅れているのは金持ちたちからの陰謀」「治験が途中で中止されたのはQアノンリーダーであるトランプ大統領側に情報が漏れたから」というものまである。

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関連は定かでは無いが「COVID-19なんて病気はなくて、選挙に勝つために民主党がでっち上げた病気だ」というウワサを流したのもQアノンだという人も居る。ちなみにその「でっち上げウイルス説」を信じて亡くなっている人だって沢山いる。


さてと。

個人的にはどんな世界も自らの暮らす世界を中心に「見方」が存在していて、真実は1つでも立ち位置で事実は色んな姿を晒すと思っている。
現状の資本主義を完璧なんて思わないけれど、技術の進歩や世界に国境の壁を低くさせていったこと、社会の考え方を変えてきたこと、それは資本主義が変えた世の中ではある。

そして、完璧ではない世界で、今も他者の足許に倒れた人達、倒れている人達、立ち上がろうと頑張る人達がいることも事実だ。


でも、だからといって現在巨万の富を有するひと全てがダメだ、とは思っていない。お金は確かに人間を狂わすものだ。歴史をみればお金に狂わされた人達やそれを覆そうとした人達が沢山いた。昔は支配者のもとに、高額な税金をとられても文句が言えなかったり、力が強いというだけで他者を引き連れ土地を奪う、がフツウだったのだから。

お金の力が世界を動かす中心なので どうやっても「悪役」と称されるひとたちは消えない。けれど、その悪役を押しつけられている人達にだって正義も愛もあるんだ。相手の靴の中に足を入れて立ってみたら、きっと世界は違って見える。

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Qアノンが本当だ、と伝え知らしめていること。それはそれでいい。実際それらの陰謀とされることはあるのかもしれないし、さもありなんと思う事は多い。

ただ、それがそのままアメリカの選挙戦に、それぞれの党と絡んでるとさせてるところがいやらしくて信じられない。
実際の所、共和党(現政権)・民主党(今バイデン氏を押し上げようとしているほう)ともに、一部の政策はどうしたって「金持ちのために動いている」ことを理解した方がいいんじゃないか。

共和党は古代エネルギー、つまり石炭・石油といったものに巨大な利益を得ている会社やそのファミリーの後押しをうけている。つまりそちらに有利な政策を採る。京都議定書を破棄したのは共和党だ。(金融系だってこっちに肩入れしてるひとたちはいる)

民主党はIT系とか金融の巨大ファミリーのサポーターが多い。情報系のサポーターが多いので共和党からは「情報操作している」「洗脳してる」と揶揄される。

どれがどういう意味で真実だろうか。いつも書いているが事実は1つだ。けれど真実は見る立場や背景で全く違うものになる。(事実は嘘偽りのない実際におこった事柄、真実は事実に対する嘘偽りのない解釈のこと)


だから私は大事にすることが2つある。

ひとつは自分が関わる(賛成する)事で自分がいるレベル=草の根レベルで実際に社会にインパクトを与えられるか。
もうひとつは言葉の使い方が適切か。


Qアノンの伝える「金持ち連中がウイルスを使って気に入らない奴らを抹殺しようとしている」こと。本当だとしたらそれを止める手立てはトランプ氏を擁護することなのか?トランプ氏をサポートしたら、今保険がなくて病院に行けない人達が助かるのか?それならむしろ、国民皆保険の実現をねらったオバマケアのほうが「実際に」助けになるのではないか?(現実として、沢山のCOVID-19を患いつつも病院にかかれない人達は沢山居る)

Qアノンが「一部の金持ちが贅沢をするために多くの人の生活を踏みにじり、下層階級のひとを意のままにうごかそうとしている」のだとしたら、その金持ちというのが古代エネルギー産業で巨万の富を得ている人達ではないという確たる証拠はなんだ?あるいはその情報が本当だとして、政府がそれを取り締まれると思っているのか?(ここに関しては本当だとしても私は政府が出来ることは少ないと思っている)

Qアノンと今のアメリカの政治を結びつけるところが その情報自体嘘じゃないか、と思わせるのだが?

そして「情報を流す」目的が「大衆の目を開かせ数での行動を起こさせる」ことなら。。。情報の真偽やその吟味の仕方、自分のできる事を考えるということに慣れていない人達は低きに流れるものだ。それが生み出すのは混沌だ。

ここに至って、私はQアノンの真の目的は世界に混乱と混沌を生み出したいということではないか、と思ってしまうのだ。自分達が何が出来るか、を分かり易く「共和党をサポートしろ」と言っているのかもしれないが、先ほど書いたように全く実際のレベルで解決になる、あるいはなっているとは思えない。

Wake up... 確かに何がおきているか、自分でしっかり考えて行くのは大事だ。で、もっと大事なのは次に自分が何が出来るか、だ。

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(気候変動が起きている、私達だって変わらなきゃ。)

次に言葉のこと。

noteみたいなところで言葉と向き合っている人達は「自分の生活レベルで」言葉の使い方がクリティカル(致命的)だと知っている。だが多くの人はそうではない。「だからこそ」曖昧な言葉や悪く受け取られる言葉を使うリーダーを私は容認できない。

「あいつは肌が黄色いから(黒いから、赤いから、どれでもいい)信用出来ない」そういつも言っている人が 日本に来て日本の会社と共同事業をしよう、と言ったら全員喜んで受け入れるか?

正直だから信じられる?
「うちの息子はバカだから体罰で教えなきゃダメなんだ」と言ってる父親は、「本当は良い人だから」何を言っても全部信じられる? そんなわけないじゃないか。

言葉は 意思と思想を伝えるもの。不断の心がけがみえるもの。「あ、つい言っちゃっただけ」そんなヘラヘラした言い訳は小学生までにしておけ、と思う。(現大統領に関しては、70才越えてそれ言い続けてるって、単なるレイシストっていわれても仕方ないでしょうと思う)

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選挙のとき私が政策目標を知ろうと思うのは「自分が問題だとおもっていることが、このひとを選ぶことでどれくらい自分達レベルで実際の変化を起こせるか」知りたいからだ。国レベルのことなら実現率は低いかもしれないが、そのひとがどれくらい他の議員にインパクトを与えられるかも考える。

そしてやっぱり、普段からの言動はよくみる。男女関係のスキャンダルはまぁ、どうでもいいのだが(恋に落ちるなら仕方ないじゃない、とも思う)普段から「オンナは家に居ればいいのだ」とか「組織の上に立とうとかしないでもいいんだ(=やんわり否定してる)」みたいなこと言ってたら私のなかではアウトだ。そういうところにこそ、本音がでるから。


アメリカの大統領選挙(郵送投票)はもうすぐ締め切られる。そこで世の中の意見を聞き、各候補者の言葉を見聞きしているが、私のこの2つの譲れない点は以前から変わらない。

Qアノン、そのうち日本の政治にも絡んで出てくるかもしれませんよ・・・ね?



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