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正義の味方

私もご多分にもれず いじめられた経験はもちろんある。身体に強い反応がでるほどだった。ある日歩けなくなって1ヵ月学校を休み、その間家ではハイハイで移動して暮らした。その後2年「別の靴」を学校では履いていた。
よくあることだ(よね?)。

友達がいじめられたり、には別の意味で「気付かない」振りをしてその人を誘った。そこにはKYセンスというのが必要。

でも別に「私はいつも正義の味方だった」なんて言わない。いじめるつもりはなかったけれど結果的に「意地悪」になってしまったことだってある。相手と距離感が違ったのだ。(私はそういうのが嫌いだ、とはっきり言えればよかった。言えなくて、意地悪になってしまってごめんね。)

人間関係の相談をよく受けた。アドバイスはほとんどしない。出来ないし、したって仕方ないから。でも大抵、最後に言う言葉(そしてこれはアドバイスじゃない。採用するもしないも本人次第だから)はある。

「距離感、ちがうんじゃないの」

そう、距離を保てばケンカにならない。心の怒りも気のせい、になる。逆に言えば適切な距離を保てば地雷を踏むことなく人間関係では大抵安全に過ごせる。(言っておくが、これはcleverな手法だが正しくはない)

多くの自認「コミュ障」は、その距離感がわからない’天然’か、「敢えて」距離感を読まないひとだ。
で、つい先日、Youtube配信で日本の(というか世界の)話題となったひとは「僕コミュ障なんですよ」と昔から言う。だが断言する。あなたは確信犯で敢えて距離を縮め地雷を踏むよね。
ほんっと、コミュ障という言葉が隠れ蓑になる時代で良かったよねぇ。

彼は空気を読まないのだ。いや、わざとそうする、と決断して「空気を読まない」。
彼のそこを、私は本気で尊敬している。


初期研修が始まったばかりの時期(3日目だったか?)、そのときの彼は結構へこんでいた。その夜にでも医者を辞めそうな勢いで落ち込んでいた。他科レジデント(つまり関係無い人)だった私は彼を連れ出さねば、と思った。

「いいから着替えて。ごはんに行くよ」

ごはんをつつきながらコトの次第を聞く。そのときの相手は「地雷を踏みに行くつもりもなかったのに爆弾をなげつけてきた」と聞いて(申し訳ないが)大笑いした。
その人は、一緒に仕事をするには事前準備(知識?)が必要だったというだけで、彼のせいじゃないのだ。
今はきっと彼も笑い話にしているだろうが、本物のコミュ障ってあの先生じゃないかと思う(エライ先生とっ捕まえて、私も相当なことを言うなぁ)。装備なくイキナリ爆弾投げつけられたら、そりゃ傷つくわ。

その後 彼の昔からのエピソード、経歴を聞いていた。考えが深く、またいろんなものと(頭が良いばかりに)比較して疑問を持ち、つい地雷を踏みに行くひとだった。面白いね、すごいじゃない、そんなふうに世界を見てきて。そんなことを(そう思ったからだけれど)伝えた気がする。
関係無い人(=私)に話してごはんを食べて、彼は自分で「吹っ飛ばされたけど、自分が周りを見渡す元気が一瞬なくなってるだけだ」と思い出したんだと思う。ちゃんと立ち直っていった。
そしてそのバイタリティでいつのまにか大物になっている。

彼は本当に「バカ正直」だ。「理不尽を受け入れない」のだ。ギモンはきちんと(というかワザと?)口にする。そんなことをすれば地雷コースだろうよ、と周りみんなが思うところに突っ込む(もちろん、わかって突っ込んでいる)。真っ当な勇気がある、ともいう。私には出来ない。

もともと言葉の使い方がすごく上手なひとだ。アリの入り込むスキマもなさそうな文字通り理詰めな説明も出来るが、そこに沢山の「やわらかあたま」的比喩もいれられる。
だが、一度(ひとたび)「不寛容や理不尽」を目の前にすると いきなりアイアンマンよろしく超合金の鎧をつけて、なんだったら背中のジェットエンジンを吹かせて、空中から火炎放射をかけてくる。そこには本当に何も残らないくらい・・・空中に逃げていた彼以外は。
ああ、最近は大分人間まるくなってるし、ぐっとこらえて嫌味くらいで終わってるのを見かけるけれど。
・・・いや、きっと現場では理不尽さに対しては周りの人が青くなるほどの勢いで突っ込んでいく「正義の味方」ぶりを披露しているんだろう。


ここに内容と本文一部が紹介されているけれど、きっと今の
インターネットがあるのが当たり前の世界で言葉の暴力を受けたり、
HSPとくくられる、いろいろ敏感で人間社会を生きづらいところと思っているひとたちに、沢山の「実際的な」自分の守り方、戦い方が描いてあるのでは、と思う。
まだ読んでないけど(うちのオット宛でいいからそのうち送ってくれるといいな♪)きっと沢山の「これからを生きて世界を変える」ヒントがちりばめられているんじゃないかと思う。


お医者さんの書いた本だから 医療的なんじゃないの?と思っているひとがいるかもしれない。
いやいや、多分(というかきっと)、いわけんという白衣も着ない正義の味方の生き様が書かれてると思うんだよ。そして、誰しもが「そのひとであること」で正義の味方になって世界を変えられる、って思うものなんだろうと、遠い昔の彼を見てた一主婦は思うのです。


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ヘッダー画像はみんなのフォトギャラリーより、オクヒロユキさんの作品をお借りしました。オクヒロユキさんは動画やweb配信方面のプロ。。。。なんだけど、こういう力の抜けたマンガも描くことができちゃってて面白いです。


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