「当たり前」はあんまり当たり前ではない

今日は冬の雨、だったのでほとんど出かけないでぐうたらしてました。
というか、ずっと外を見ていました・・・ なんだろうなぁ、この「日本の雨」って私の中では特別な感じがあります。


これまでも何度か書いた覚えがあるのだけれど、日本という国は水に恵まれ水に苦しめられ水とともに生きてきたんだなぁといつも思うのです。形を変え優しくも恐ろしい力をも見せつける水、岩をも穿つのに全てのものを洗い流すこともしてみせる水。
全てを包み込むこともするし、「揺蕩(たゆた)う」を肌の感覚で教えてくれるのも水。

それらの様々な形の水を恐れ尊び共に生きることを学んできた日本人にある「水とともに生きる」智慧と技術は、実は世界から見るとものすごく貴重なものなんです。

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人間には「強み」というものがあります。ただ自分の強みって自分からは結構見えるようで実は全く見えない。自分の特性を探し出す「ストレングスファインダー」という有名な本もありますが、そんなの使わなくても周りの人からは結構明らかに「あの人、○○なところがすごいよねぇ」ってのは見えています。

で、面白いのは世の中的にものすごく重宝がられる強みって 大抵その本人が指摘されても「え?そのどこが特別なの?」って思ってたり、もっとひどいと「それ、自分ではすごく嫌いな部分なんだけど」とか言っちゃったりする部分です。そこを使えばお金だって入るのに、って周りの人には見えていても、当の本人は「私がそういう特性があるってことを指摘されることすら嫌だ」とか言うので、真の強みは使われずにいたりします。

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さて、水の話と「強み」の話。
日本は資源がないから・・・とかなんとか、それこそ中学校の地理の授業あたりからずっと教わってきているけれど、別の発想をしたら日本の資源って水なのかもしれないのです。

「そんなの、どこにでもあるでしょう?」

水はどこにでもあります。でもこの気候や日本で当たり前に手に入る水が軟水だということや、雨の多い場所でも快適に暮らす智慧だとか、そういう小さなコトは同じであることは殆どありません。

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これは他国にある程度長く住まないと分からないことかも知れませんが、日本の水そのものと、気候と、水にまつわる智慧というのは 他の地域に住む人達からすると羨ましく素晴らしいコトばかりなのです。皆さんは外国で「肌や髪にいいから」としてわざわざ「軟水化器water softner」を使ったりしていることをご存知ですか? 住宅に水のトラブルがないことが奇蹟と思われるような現状をご存知ですか?

ある程度の時間(10年とかね)耐えるものは作れても、それ以上は「水にまつわることはトラブルが起きても仕方ない」と思われているのは、今の日本の技術ではそうそう考えられない事ではないでしょうか。


地球上のほとんどの生命体は人間に限らず、水と空気を必要としています。その「水」に関して日本という国が「量的に恵まれている」だけではなく、その量をも生活のまわりに「適量」に保つとか上手に使うとか、それらの智慧をどれだけ持っていることか。その智慧は様々な分野で共有され大前提としてもつ知識として用いられているのだと最近つくづく感じます。

ときどき日本に帰る度に、この水にまつわる様々な知識・智慧・技術が日本を日本たらしめているのかなと感じていて、同時にこれらが外へ提供されない理由が分からずにいました。そして気付いたのは「強みは 持っている本人にはそれとして理解されにくい」ということでした。

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日本が日本として世界に貢献したり技術を広めるのは こんな「当たり前」にあることかもしれないのです。当たり前過ぎて日本人には「え、これのどこが特別なの?」ということ。諸外国のひとには「そんなの、解決のしようがないから仕方ないよ」と諦められていること。特に日常生活レベルの小さめのことに、そこの智慧の「スタンダードの差」は大きいと感じています。

どんなエリアにも「スタンダードの差・違い」ってあって、それは結構当たり前過ぎて見えません。在る特定のお仕事のひとには当たり前なことが別業種からみたらとんちんかん過ぎて話も始められないというのは結構あります。

よく言われていることではあるんですけれどね。これからの時代、イノベーションの種ってこういう《スタンダードがもともとスタンダードではない》ということに気付くのが大事だよねと、灰色の雲から降り続く雨をみながら考えていたのでした。


さぁて、明日はアメリカに戻ります・・・・って、戻れるのかなぁ、私 笑 戻って来たらまぁ、また日本レポートを書けばいいんだけどねw

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