寄り添うひとたち
少し前に自分にとっての死ということを考えてみました。
死は、誰しもが間違いなく向かっているところ。
死の裏側には いかに佳く生きるかということがあると思っていること。
それを書いていたとき、私自身が経験した葬儀屋さんの深いお心遣いを思い出しました。そしてつい最近当地でも、全く思いがけない、ある意味とても残念なことではあったのですがこちらの葬儀屋さんとのご縁を戴くことがありました。
正直、日本人の私には全く分からないことだらけ。
ただ、当事者になるご家族には手続き始めいろいろなことを考える余裕が無いことはよく分かっています。ご縁をいただいたご家族ではあったので、出来るだけのことはして差し上げたい。分からないことは聞くのみ、ということで友人数人と手分けして いろいろな準備を始めたのです。
冬場以外高温多湿な日本ではできるだけ早く火葬、というのが当たり前ですが、今回はじめて学ばせて頂いたことが沢山あります。
アメリカでは亡くなった方にはエンバーミングという「ご遺体の保存処置」が行われます。9割以上のご遺体になされることのようで、全く知識が無かった私はこのあたりからいろいろ調べ始めました。たまたま、オットが持っていた本(オットは私の5倍、下手すると10倍の勢いで本を読んでいるので追いつきません)のなかにこんなものがあり、急いで読んでみました。
(値段はKindle版、ハードカバーは1650円だそうです)
2012年の開高健ノンフィクション賞受賞作品です。
エンバーミング、日本語では「遺体衛生保全」というらしいです。言葉の由来は古代ミイラ作成のために使われたEmbalmエンバーム(防腐剤)の単語かららしいのですが、アメリカの南北戦争時 たくさんの兵士の遺体をできるだけご家族のもとへ、というところから始まった技術のようです。ですので、当然アメリカがエンバーミング先進国。
ご遺体を綺麗にしたのち、血管内に保存液をいれて、傷などの処置もしていくのだそうです。保存液には揮発成分もあるということで、体内の余分な水分を内側から減らす役割をもつとのこと。この処置後、いわゆる死後硬直は解除され、関節も柔らかく動かせるので着物の着脱もできるようになるのだそうです(日本式では難しい場合もありますよね)。
エンバーマーと呼ばれる資格をもったエンバーミングをする人、アメリカでは神父さんに並ぶ聖職とされるそうです。日本での現在のエンバーマー数は簡単には分かりませんでしたが、先にご紹介した本が書かれたころは全国に160人ほど、と記されていたかと思います。エンバーマーのお仕事、参考までにリンクを貼ります。
今回このエンバーミングについて知れたこと、またアメリカでも「葬儀社・そこに関わる方々の想い」に触れて打たれたことは沢山あり、また私のなかで今までばらばらだった考えや想いをつなぎ合わせるものでもありました。
命に真摯に向き合うこと。それは昔わたしが関わった世界となんら代わりはなく、むしろ死後のことに関わる皆さんの想いの方が ずっと故人によりそい、ご家族を深く想っているなぁとおもいました。どっちがよくてどちらがだめ、と言う話では無いのです。多分それは「時間的制約」があるかないか、でもあるのでしょう。
けれど、尊厳、とか、故人を悼むひとたちに寄り添う、とか、人間なら本来きっと持っている美しいモノを見せて頂いています。
ご紹介した本は私共海外在住者には「いつか訪れるからこそ絶対に知らねばならないこと」でもあるかと思いました。そしてまた、簡単に海外に出かけられる今日、もっと多くの方に知って頂きたいことだなぁと。
お仕事としては楽ではないと思います。それでも尊いお仕事だと、実感として思いました。
まだ手伝いの身で言葉をまとめて文にするほどではありませんが、この素晴らしいお仕事をされていらっしゃる方達に国境がないこと、人間としての思いがこんなに届くお仕事だということだけ、お伝えしたいなぁと思って今日の話題にさせて頂きました。
後ほど加筆修正するかも知れませんが、少しでも多くの方のお役にたてますように・・・
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