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社会からは優しい人間から脱落していく

数ヶ月前、私が普段通り勤務先の病院で某診療科の受付として働いていたときのことだ。

入社1年目の別の科の受付をしていた同期の子が、腹痛により遅刻した。

その後、遅刻の頻度が上がっていき、最初は遅刻の旨を連絡していたみたいだがだんだん連絡も無くなっていったそうだ。(診療科が違うのであまり詳しいことは知らない。)
また、勤務中に頭痛を訴えて突っ伏したりすることも多かったそうだ。

ある日、その子が激しい腹痛か何かで近くの病院に救急車で運ばれて職場を休んだ。
その日は無事だったとのこと。

そして後日、なぜかその子が近所でもないにもかかわらず勤務先の病院に救急車で運ばれてきた。
その日中にしばらく休職することが決まった。
詳細は分からないが、精神的な苦痛もあったそうで、診断書も出ていたそうだ。

無断遅刻の頻度が上がったり、勤務中の体調不良を訴えるようになってから、他の科の受付や看護師などがその子のことを話している様子をよく耳にするようになった。

最初は心配の声が多かったが、だんだんと愚痴が増えて行った。
内容は勤務態度だけでなく、その子の人柄に関する内容もあった。

私はその様子がすごく苦痛だった。

もちろん遅刻してしまうのであれば連絡はすべきだとは思うし、急に休まれたら予定が働いている側の人間が狂ってパニックになるのも分かる。

でも私は病んでしまう側の人間なので、連絡もできない程苦しかったんだろうなとか、仕事そのものなのか人間関係なのかは分からないが辛いことがあったんだろうな、追い込まれると正しい行動が出来なくなるよねとも思ってしまう。

その子への共感だけではなく、悪口が蔓延する環境もしんどかった。

マイナスな言葉が飛び交っているとそれだけで強い負のオーラを感じるし、自分も悪口を言われているんだろうなとも思ってしまうし、私も悪口に共感しないと輪についていけないのかなとか、でも悪口に共感するのは私の正義感が許さないし、など。
私に話が回ってきたときは悪口を肯定しないように適当な言葉を返していた。

悪口の蔓延だけで私の心が圧迫され、居心地が悪くなる。

思えば中学校を不登校になったのもそんな感じだったと思う。
自分自身もいじめを受けていたこともあったけれど、他のクラスメイトの陰口を言っている子が居たり、他の子を対象としたいじめがあったり、そんな空気がすごく苦しかった。

大学生の妹にこれを話したら、そんなん気にしなければ良い、自分は自分、他人は他人だよ。みたいなニュアンスの言葉を返され、あまり共感はされなかった。
妹は本当に強くて、私なんかとは全然違って社会で生きていきやすいんだろうなあと。

社会は私みたいな感受性が豊かで優しい人間から耐えられなくなって脱落していく。
精神的に強い人間や意地悪になることができる人間だけが残っていく。

優しい人間でも働きやすい職場、或いは働かなくても生きていける環境は無いのだろうか。
いつになったら優しい人間も生きやすくなるのだろうか。

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