イスラエル ネタニヤフ首相は政治的に終わった 8

書こう書こうと思いつつ時間だけが過ぎ、十分な時間を見つけようとすればそんな時はこないというパーキンソンの法則を思い出し、取り急ぎ。

ネタニヤフに乞われて戦時内閣に入閣したベニー・ガンツだが、そもそもネタニヤフ首相とベニー・ガンツの間に信頼関係はないはずだ。ベニー・ガンツがイスラエル国防軍参謀総長時代に、国民から大変な人気があり、政界転出を狙っていたが、そのとき高位公務員は退職後5年間は国会議員に立候補できないという法律を急いで作り、売り時だったガンツの政治家への道を塞いだのがネタニヤフだからだ。貴重な5年間をつぶされたガンツは、今も恨んでいるはずだ。なのでガンツはネタニヤフ政権の終わりを加速させることに何の抵抗もないだろう。今、ネタニヤフ政権にガンツを切る政治的体力はない。それを見越してガンツは訪米した。

イスラエル軍と諜報機関とネタニヤフ首相の間でこの戦争の終わらせ方をめぐって意見が対立している。だから、イスラエルはエジプトに代表団を派遣できなかった。対立点は想像がつく。イスラエル軍および諜報機関が考える戦争の終わらせ方はイスラエル国家にとっては良くても、ネタニヤフにとっては大変な不都合があるということだ。

ネタニヤフの考える戦争の終わらせ方は、ネタニヤフの支持層をある程度満足させることが出来ても、イスラエル国家の対外的な信用を大きく毀損し、今までイスラエル寄りの姿勢をとってきた欧州の国々がイスラエル寄りの姿勢を維持することが難しくさせるものになるからだ。(ユダヤ陰謀論者の仲間入りをしたくないが、ユダヤ人に「強姦」されている国家であるアメリカ合衆国だけは、何があってもイスラエルの味方だ。)

ネタニヤフが恐れているのは、自らのレガシーの崩壊と今後確実に開かれるであろう調査委員会でいろいろなことが明るみに出されることだろう。この戦争中に軍、諜報機関とネタニヤフの間に意見対立があったこと、いわゆる「汚職」問題や、サラ夫人が人事介入していたということも表に出るのではないか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?