気づけば2020年も下半期に突入していた。
190.ウィズ・コロナでまたしてもぼくらは「分断」を生きるのか?
いまにして思えば、3月4月のころはまだ平和だった。すくなくとも、ひとは新型コロナウイルスという未知の相手を前に、いわば「ウイルスvs人類」という体で一丸となっていた。
ところがいまはどうだろう。「ウィズ・コロナ」の時代とはすなわち、この(相変わらず)未知のウイルスに対する異なる価値観を持った人間同士が無理やり共存を強いられる時代となった。
敵はもはやウイルスではなく、自分とは明らかに相容れない考えの持ち主へと変わった。自分は罹らない、たとえ罹ったとしても重症にはならないからと平気で街を出歩くようなひと、反対に、マスクをせずに外出しているひとを忌々しげに、それこそバイ菌でも見るかのように扱うひと、それぞれがそれぞれにとっての「敵」となった。
この風景はどこかで見覚えがある。そうだ、3.11のときにもまったく同じことが起こったのだった。放射能という「見えない相手」を前にいつしか人と人とがいがみあうような分断を生み、なんら修復されないまま現在に至っている。
日本人は、わずか10年も経たないうちにまた同じことを繰り返すのか。分断が、はたしてこの国によいことをもたらしたか、よくよく考えてみればいい。情けないことだなあ。知恵という道具を捨てた人間は、もはやただの動物にすぎない。
科学的にはともかく、人間は精神的には進化しない生きものなのかもしれない。そうなれば、そろそろ「ノアの箱舟」の出番だろう。
191.注文の多い美術館
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