読書●指南役●相席お願いします
140.読書
喫茶店でぼんやり小一時間、好きな本でも読んで過ごしたいなあ。心から。
本は家でも読める。むしろ場合によっては家のほうが集中できるかもしれない。でも、そういうことじゃないんだなあ。うそじゃないです。
なぜなら、この本はあの喫茶店で読もう、あの本はあそこのカフェであれを食べながら読みたい、雨の日だったらあの席がいいな、そんなことを思案するのもまた大きな意味で本を読むという体験の一部だから。
本ならここにいまもある。にもかかわらず、新型コロナウイルスの感染拡大によりぼくらの読書体験は大きく欠けてしまったままだ。
ふらっと本屋に入ったり、図書館に行って本を選ぶという体験、友人とのなんてことない会話の折に最近読んで面白かった本を教えてもらう体験、そういう「本を読む」をかたちづくっていたさまざまがなくなって、手元にはただ紙に書かれた「文字を読む」ことだけが残された。それは、はたして「読書」なのか?
見えないウイルスの存在は、いままで気づかずにいたことを可視化する。
141.指南役
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