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髭ルンバはまだか

296.髭を剃る

めんどうくさい。髭を剃るのは、まったくもってめんどうくさい。

そう言ったなら、女性は女性でメイクするのがめんどうくさい、そんな答えが返ってきそうだ。いや、まったくもってそうなのだろう。尊敬します。

とはいえ、一方でメイクには「変身する」という楽しさ、意外さもまたあるのではないか。たしかに髭だって、一週間くらい剃らずに放置した末にカミソリをあてればそれ相応に「変身した」という感覚は得られるだろう。

だが、正確にいえば、それは「変身した」わけではなく「元に戻った」にすぎない。怠惰な自分からようやく抜け出て「更生した」、そんな感じなのである。

他人から褒められることはもちろん、自己満足をおぼえることもない。ただただタスクをこなしただけである。だから、めんどうくさい。

その意味でゆくと、髭を剃るよりも「髭を生やす」、「髭を整える」行為はむしろメイクに近いかもしれない。似合う似合わない以前に、想像するだけでただもうひたすらにめんどうくさい。

よくは知らないが、そういうひとはやはり剃刀を使って手で髭を剃るのだろう。シェービングクリームを泡立てたり、剃刀を律儀に皮で研いだりするのだろう。

その点ぼくは一環して「電気カミソリ派」である。

一度、火をおこすにもいっさい固形燃料には頼らないというこだわり派の知り合いにキャンプに連れていってもらったことがある。

朝、鬱蒼とした森の中でめずらしく気分よく携帯用のシェーバーで髭を剃っていたらその知人から大笑いされたことを苦々しく思い出す。たしかに、その知人からすれば無粋の極みと映ったにちがいない。そういえば、その知人は髭を生やしていた。生まれつきめんどうくさいことを愛している、そういうタイプなのだ。

じつは、最近ルンバを手に入れた。いわゆる「お掃除ロボット」である。

想像以上によくはたらくので驚いた。掃除機を手に2、30分かけて床の掃除をする手間を思えば、それなりの騒音も気にならない。そのあいだに仕事ができるのだ。最高じゃないか。

一方で、お掃除ロボットの仕事ぶりを完璧ではないというひとがいるのも知っている。たしかに、障害物の関係で目につくゴミが吸い込まれずに残っていることもある。

でも、その程度なら目についたときに拾うなりササッと掃くなりすればいいだけではないか。「BOBIくん」は、ルンバの中では機能的には下の方のランクに位置するが、それでもめんどくさがりやの自分にくらべればよほど几帳面といえる。ちなみに「BOBIくん」とは我が家のお掃除ロボットの名前である。

だれか、髭ルンバも開発してくれ。

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さて、フィンランド好きのためのサークル「nuotio|takibi」、いよいよ11月1日より本格的に始動しました。じわじわとメンバーも増えています。

参加メンバーには、最初に自己紹介がてらフィンランドの好きなものを書き込んでいただくようお願いをしているのですが、このあいだは早速メンバーのおひとりから「フィンランドを好きなひとが好き」というとても素敵なフレーズが飛び出していました。

最近では、SNSというと刺々しいことばが飛び交う場所、癒やしよりはむしろ消耗する場所というイメージに変わりつつありますが、本来の、「好き」でつながることによって「たき火」にあたるようにぬくぬくと過ごせる場所というのが、このサークルのコンセプトです。

もちろん、非公開設定にして情報収集にあたるというのもOKですが、ちょっとした質問や気になったことを書き込んだり、レスしたりしてみるとより楽しくなると思います。

10日ごろからは、今月の深堀り企画としてライターの萩原健太郎さんによる投稿もスタートします。外はだんだん寒くなっていきますが、せめて気持ちだけでもぬくぬく過ごしたい。そんなみなさんの参加をお待ちしております。

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297.抜け道

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