見出し画像

UXデザイナーから見たリモートワークのあり方と課題。

こんばんは!二度寝大好き仙崎です。

コロナ渦の影響で、IT界隈は在宅勤務が定着してきましたね。弊社も3月終わり頃から「在宅勤務」推奨となりました。3ヶ月間のリモートワーク(以下、在宅勤務)を経て感じた自身の変化、UXデザイナーという職種の中で「在宅勤務で成果が為せるのか。仕事ができるのか?」を赤裸々に語りたいと思います。(※個人的見解が多く含まれることを前提に読んでいただけると幸いです。また働き方の内面にフォーカスした話であり、外的要素(運動不足〜)などは割愛しています。)

3ヶ月経験した、在宅勤務の結果

good experience :想像以上に快適で、自分の職能やミッション・求められているものと向き合う時間が増えた。通勤時間やまわりのノイズないことでストレスが軽減され、本当に必要なことだけを取捨選択できるようになった。
bad experience :他メンバーの稼働状況が可視化できないことによる相手に対する配慮や距離感の難しさや、オーバーワークになった結果、プロジェクト終盤でアウトバーン(燃え尽き)しかけた。

よかったこと①- 「こうあるべき」バイアスから抜け出せた

まず、自分が思っていた以上に「出社しなければいけない」という概念、バイアスに囚われていたなとハッとしました。「もっと個々が成果を出せる自由な働き方があっていいんだ」と。考え方が凝り固まっていたかもしれない、周りに流されすぎていたかもしれない、これが大きな気付きとなりました。弊社はコロナ渦前からテレワーク制度を導入していましたが、取得率は割と低め。打ち合わせがあるときは暗黙の了解で出社する流れでした。会社に所属しているのだから仕方ないことだと。

プロジェクトの繁忙期には、終電間際まで作業して次の日決まった時間に出舎しなければならない状況が多々発生します。言い方は大袈裟ですが、精神をすり減らしながら出社していた時期がありました。

自分をペルソナに見立てると「好きな職種で働けているけど、理想のワークスタイルではない」というペイン(課題)が常にあった中で、在宅勤務を経て180度激変。今では「好きな職種で、理想のワークスタイルで働けている」ことになりました。不謹慎ですが、今回の世界的情勢のピンチが自分のチャンスになるなんて...と青天の霹靂です。通勤にかかるストレスやノイズが減ったことで、より自分自身と向き合う時間が増えました。自分の出せる価値ってなんなんだ?と問いかけながら、目の前の業務に必死に食らいつきながら、ここ数ヶ月過ごしていました。正直、4〜6月は本当に忙しくて目が回ることが何回もあったのですが、割と精神は安定していたなと思います。これは絶対に、在宅勤務だったからだと振り返ってしみじみしています。弊社においては非常事態宣言が解除された今も「選択制ワークスタイル」という形で、自分の意思で出社したり、在宅に切り替えたりが柔軟に取れる状態になりました。解除されたら出社を義務付ける会社が多い中で、本当に有難いことだなと感謝しかないです。

よかったこと②- 最適なインプットがしやすい

部屋にある参考書籍をいつでも手にとることができることの素晴らしさ。情報設計時に「この階層構造って矛盾していないだろうか?」という答え合わせや知見をインプットしやすい、など副次的なメリットとなりました。自宅の本棚から、サッと調べたいことを調べられる環境はすごくよかったです。

画像1

余談ですが最近読んで身になった本。また追って書籍レビューしたいぐらいよかったです。

よかったこと③- 集中モードが続きやすくなった

在宅勤務前よりも、集中力が持続する結果となりました。性格的に周りの人が何しているのか?を敏感に気にするタイプのため、集中モードに入るまでに時間がかかることが多めでした。楽しそうにしてると話しかけたくなってしまうし、話したい。基本的にコミュニケーションのスタンスとして、「忙しいから話しかけないでください」という壁を作りたくないので、会話を優先させる余り自分の仕事に集中できないことも往々にありました。ただ、プロジェクトが本当に忙しい場合はそんなことも言ってられず、その狭間で思うように動けず悩むことも。在宅勤務後は、雑談系チャットは休憩時間に返すようにしたり、ここまでは集中すると決めてから、音楽を聞いたりして「意識的にモードを作る」ことを心がけ、効率も上がった気がします。在宅の方が気が緩んでしまう...という声も聞いたので、この辺りは人によりけりでしょうか。

よかったこと④- 新しいワークショップ手法よる価値提供

別のUXデザイナー陣が、miro やzoomを使ってリモートワークショップをクライアントと実践していました。普通ワークショップといえば、対面で行うものという概念が強かったですよね。でも今回の状況下で、工夫次第ではオンラインでワークショップができてしまうことが実証されました。UXデザイナー観点からみたら、挑戦でもあり、工夫次第では遠方のクライアントとも気軽にワークをできるという利点があると感じました。

例えオンラインであってもアイスブレイクを挟んだり、ファシリテーターの声かけなど、対面以上に手腕が問われそうだという所感です。新しい手法とを確立できたなら、「オンラインを通じたワークショップ体験の設計が得意です」と言うことだってできてしまう。この辺りの知見は、私自身も非常に興味があり、他のオンラインワークショップに参加しながら学んでいきたい所存です。「新しい体験を作る」という行動こそ、まさにUXデザインの本領域なので、対面ではないからやりにくいではなく、「どうしたらできるだろうか」に焦点をあてていくことを大切にしたいと感じる、良いきっかけになりました。

改善したいこと①周りが何をしているのかを知りにくい

社内にいれば色んな話が飛び交うので、今こんなことやっているよという話を気軽なコミュニケーションの中で受け取ることができ、そこから派生して次の仕事につながったりすることもありました。在宅勤務だと、自分から積極的に稼働している内容や、どんなプロジェクトが進んでいるのか?などを取りに行かないともらえない。もしかしたら、対面でのコミュニケーションよりもハードルが高いかもしれないと感じています。チャットやテレビ会議だと、どうしても相手の稼働時間を多めに奪ってしまうので、気軽に聞きにくいデメリットがあります。「そんなの気にしてない」と空気を読まずにつっこむのもアリなんですけど、反対に自分がそれ以上の何かを返せないと相手も自分もモヤッとしますよね。対面であればカジュアルに話せたちょっとしたことが、気軽に話にくいというのは課題のひとつ。

現在社内のコミュニケーションツールではChatworkを使っているのですが、それとは別に「感情がわかるツール」を導入できるといいんだろうなと考えています。ベイマックスみたいなケア・ロボット的なサービスがほしい。「いまこんな感情です」というのを、自分から聞きに行かなくても発せられるようなもの。これからますますリモートワークという働き方が進んでいく中では、自分の分身になってくれるようなAI、もしくはツールを介したサービス提供が進んでいくんじゃないかなあと考えています。

とはいえ、上記の解決策は話が壮大すぎて現状の解決にはならないので、チームを横断した気軽に案件共有や、日々の雑談を投下できる仕組み作りでカバーできたらいいなと考えています。別部署の運用チームは、在籍管理ツールでコミュニケーションをとっていて素敵でした。

改善したいこと②-オーバーワークで生活が侵食される

完全に反省案件なのですが、5〜6月の毎月の労働時間が45時間以上を越えてしまいました。食事やコーヒーブレイクを抜いても、常にタスクに追われ、プロジェクト終盤には燃え尽きていました。同じ状況であったデザイナの子と励まし合いながら、力技で乗り越えましたが、生産性の低い残念な働き方なので見直したい。これも課題のひとつです。

上記によるオーバーワーク理由は、「プロジェクト開始前の設計フェーズにおける見積もりが甘すぎたこと」「想定以上のFB対応を行うことで本来のタスクが行えなくなる」などでした。

私の場合は「通勤時間があったことで、オンオフの切り替えができていたのではないか」という仮説を立てます。常にPCを開けるので「明日できること」を今日やってしまおうかという気持ちに働いてしまうのを抑えられない。

UXデザイナーや情報設計者になると、「答えのない答え」を突き詰めていく作業が多く発生するので、タスクベースで進める業務よりも稼働が大幅にかかることが往々にしてあります。熟練UXデザイナーは、「自分なりに整理したインサイト」にたどり着くまでの時間が早いのですが、私のようにまだまだ「見つけたインサイトの深堀り」が浅い・甘い場合は問い続ける時間が多くなります。会社にいた頃は、シニアUXデザイナーに壁打ちしてもらい、精度の高いクリエイティブに近づけていくような手助けをしてもらえたのですが、在宅勤務になってからは「自分の中で問い続ける」ことが中心になりました。「インサイトにたどり着く」を速さを上げていけないと、オーバーワークは避けられないだろうなと実感しています。自由な働き方を手に入れるためにも、残り下半期で考えの質を高めていけるように頑張りたいところ。

改善したいこと③- 体験ハードルが上がっている

新しい体験や人の感情を知るためには現地調査や、実際に自分が体験することで得られる気付きが多いと感じています。コロナ渦の中、外出も控えめになりつつあり、在宅勤務で家から出ない日が増えてきたので、必然的に「外に出て何かを体験する」機会が非常に現象しました。リアルとデジタルの体験のアウトプットを行うための材料、「何かを体験する」は必須なので、それができないと結構大変だなぁと思っています。今後の課題です。

総括と今後に向けて

リモートワークで個人の動きが見えないからこそ、今まで以上にシビアに成果主義になるんだろうなと感じています。相手を信じ、自分も信じる。自分の職域を全うしながら、新しい体験を生み出していけるように、コロナに負けずに乗り切っていきたいです。

いろいろ書き連ねましたが、最後に一言。

「ハワイに、行きたい!」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?