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おじさんにモテるアラ男です。

タイトルの通りである。
ただ、ただ、おじさんにモテる。
いろいろとマズイとは思ってる。
他の記事は全て過去の話なのに、
これだけは現在進行形なことが悲しい。

先に断っておくが、アッー、な展開はない。
さすがにない。まだそこまで追い込まれてない。
(世のBL好きのみなさん、申し訳ないです。)

アラ男は、本当によくおじさまにモテる。

創作かと思われるかもしれないが、
居酒屋の席でナンパ?されたことも、
ゲイバーで襲われかけたこともある。
本人は嘘であって欲しいくらいだ。

モテはじめたのは大学になってからだ。

初めて声をかけられたのは銀座だ。
何の気無しにふらっと出かけた日のことである。

「アノ、チョットスミマセン。」

外国の方だった。
とにかくデカイ。
身長は190cmくらい、体重は100kgはあった。
デブではなく、ゴリッゴリのマッチョだった。
年齢はぱっと見20代後半だったが、
後で聞いたら40歳だった。
当時にして実に20歳差である。オーマイガ。

「どうしました?」

「ワタシハ、ジョン(仮称)トイイマス。Floridaカラキマシタ。チョットジカンアリマスカ?」

アラ男は海外が好きだ。そして外国人も好きだ。
当時日本しか知らなかった、しかもほとんどの時間を閉鎖的な田舎で育ったアラ男にとって、彼らの存在は憧れだった。

「大丈夫ですよ。道に迷いましたか?」

「チガウ。ミチハワカリマス。」

「それならどうされたんですか?記念撮影?」

「No、アナタトハナシタイデス」

アナタトハナシタイ。。?

一瞬戸惑いはしたが、まぁ別に話すことくらいどうってことない。

休日の銀座は歩行者天国があり、
ホコ天中の道路には簡易的なベンチが並ぶ。
2人はそこに腰掛けて話を始めた。

今日は何をしに銀座にきたのか、普段どんなことしてるのか、好きな食べ物、好きなカルチャーなど、はじめこそ他愛のない話題だった。

ジョンはとても日本語が上手で、時折英単語が混ざるくらいだった。
こちらの言っていることも理解していた。

すごいな、と純粋に思った。
ここまで流暢に話せるようになるためどのくらいかかったのだろう。

会話のリズムが良く、あっという間に30分が経っていた。

別に予定があった訳でもないが、
流石にこれ以上話すこともない。
そろそろお暇しようかとジョンに声をかけた。

するとどうだろう。
急にジョンがモジモジしだす。
ゴリマッチョが下を向いてモジモジしている。

おいどうした。
獅子が急に猫に変貌した。

ジョンが話しだす。

「隠して置けないから正直に言うよ。実は・・・・・自分はゲイなんだ。君のことが気になって、それで声をかけたんだ。」

・・・・・・・・・・・・。

はい????急に背筋が伸びる。
アラ男は別にゲイとかレズに偏見はない。
が、自分が対象になってもいいということでもない。

かいたことのない汗が身体中から吹き出す。
そして、いろいろ考えた。

まず、下手な返事をしたら、この大男に何されるかわからない。場合によっては一生座れなくなる可能性だってある。

次に、ジョンを傷つけたくない。

・・・なんだこの気持ち。
あまりに意外すぎる感情に戸惑った。
こんなこと考えたの生まれて初めてだ。
もしかして本当はそっちの気が、、、?
あってたまるか。良心の問題だ。

どうする?嘘でもつくか?でもどんな嘘を?
いや、待て。嘘ついてどうするんだ。
余計にジョンを傷つけるだけだ。

・・・・・なんなんだこの気持ちは。

思い返せば、今ならわかる気がする。
体育祭という大舞台で男子に告白され、その場はOKするも実は好きではなかった女子たちの気持ちが。
彼女たちは相手のメンツも、自分のメンツも護るべく苦渋の決断をしていたのだ。

今回も同様だ。告白を受けるまでは楽しく過ごしていた。

それがどうだ?

自分の都合の悪い事実が降りかかってきた瞬間逃げ出すなんて卑怯ではないか。

そうだ。ただ本当のことを言えば良い。
ジョンはわかってくれるさ。

それにこんな真っ昼間だ。
何かされたら大声で助けを呼べば良い。

決心した。

「ごめんなさい、ジョン。僕は女性にしか興味がないんだ。」

思いの外、簡単に言えた。
女が男を振る時ってこんな感じなんだろうな。
慣れてしまえば簡単かもしれない。

明らかにしょんぼりするジョン。
先程まで楽しんでくれていた分、見るのがしんどい。

少し顔を背けた。

「そもそも僕のどこがそんなに気に入ったの?かっこいい人は他にたくさんいる訳だし。」

少しの静寂の後、話出すジョン。

「まず、君のその唇が最高だね。次にその目元。切長の目で、いかにもアジア人、って感じがたまらないぜ。体型にしてみても君は程よく締まっているだろう?それに話してみてわかったが、君は内面も素晴らしい。ほら、君に惹かれるのに他に何がいるんだい?」

ベタ褒めだった。圧倒された。
人生でこれまでにないくらいベタ褒めされた。
正直ちょっと照れた。

その後、ジョンから飲みに行かないかと誘われた。
が、受ける意味はない。丁重にお断りした。

ジョンはとても悲しそうではあったが承諾してくれた。
あのままジョンが癇癪を起こしていたら、今頃アラ男は色々な意味で目覚めていたかも知れない。

別れ際に東京のおすすめの場所を聞かれた。

少し考えたが、あそこしかない。
安直かもしれないが思いつくのは新宿だ。

「ジョン、いいか、心して聞いてくれ。」

姿勢が良くなるジョン。

「TOKYOのSHINJUKUにはHeavenがあるんだ。」
「男の園と書いてHeavenと読むんだ。そこには屈強な猛者がいる。ジョンの相手が務まる相手も必ずや見つかるよ。」

ジョンの目は輝いていた。
今すぐにでも行きたいようだ。
ソワソワしだすジョン。
どんだけ正直なんだ。かわいい奴め。

軽く道案内をしてやって、2丁目でも有名なゲイバーを教えた。

アラ男は獲物を前に野生をむき出しにする獰猛な獅子を解き放ったのだ。

悪く思うなよ。いやむしろ感謝してほしい。

そう思いながら、銀座を後にした。
10月の銀座の空は黄金色に染まっていた。

あとがき

この後からアラ男、怒涛のモテ道、が始まりました。

ジョンは間違いなくこれまでで一番いい男でした。
あとはもう目も当てられません。
ゲイバーで中肉中背、磨きかかった頭のおじさまに太もも触られた時の衝撃はいまだに忘れられません。(行く方が悪い。)

写真はジョンのイメージです。