【エヴァ考察第3章】後編:Qが分かれば全て分かるので謎を洗い出してみた
【!】2021/05/04 シンエヴァ考察書き終わりました!さっそく読む【!】
新劇場版最終章シン・エヴァンゲリオンの公開に向けて、難解だと言われているQを中心に、エヴァの世界設定や前提条件、残っている疑問点など大枠を理解するシリーズ第3章の後編です。
こちらは
【第1章】エヴァという物語とは?旧作から概要や設定を今一度理解する
【第2章】アニメ版(旧作)と比較して新劇場版の世界設定を理解する
【第3章】前編:空白の14年間についての考察
後編:Qのストーリーと世界についての解説
【第4章】次回作シン・エヴァンゲリオンはどうなる?今分かっていることから予想する
の4部作です。
よかったら第1章と2章も読んでくださるともっと楽しんで頂けるかと思います。
また、同時公開の【前編:空白の14年間編】を先に読んでからの方がこちらの記事は理解度が深まるかもしれません!
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前置き:まずなんで破とQの間にめちゃくちゃ間が開いているのか
メタ的な話ではありますが、
本来は序破で1部、Qとシンで2部という構成だったようですが、諸々の事情によりQとシンの間がすごく開いてしまいました。
次回作シン冒頭の0706作戦はQ終了直後の世界であることから、シンの物語全体もQ直後の時間軸でそのまま進行すると考えられます。
尺の関係で0706作戦をぶっ飛ばしてその続きからいきなり始まる可能性も大いにありますので、今のうちにぜひ観ておきましょうね!
(予想の斜め上をぶっ飛んでくる可能性も大いにあるので、シンはどんなストーリーになるか楽しみですね)
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Qの物語の大まかなストーリー
破から14年後の話がQ。空白の14年間編はこちら
来たるフォースインパクトを防ぐために、ミサトらヴィレはエヴァ初号機を動力源とした空中戦艦「ヴンダー」の運用計画を進め、アスカとマリはエヴァに乗り、宇宙の衛星軌道上に放たれていたエヴァ初号機を強奪するUS作戦を実行。
地上および宇宙空間には初号機を利用したエヴァMark4ネーメズィスシリーズがばら撒かれており、ヴィレを妨害する。
アスカはなんとかMark4を撃退し初号機を持ってヴンダーへ帰投しようとしたが、初号機が収められた棺の中に最後の一匹が残っており、ピンチとなる。
「なんとかしなさいよバカシンジ!」とアスカが叫ぶと突如初号機が呼応しレーザービームのようなものが出されMark4を殲滅する。
初号機を手に入れたヴンダーでは初号機のコックピット内で同化していたシンジがサルベージされる。
わけがわからないシンジに冷たい視線を送るヴィレの搭乗員たち。シンジの首には「罰の象徴」であるDSSチョーカーなるものが取り付けられている。それから初号機を動力とした戦艦ヴンダーの運用が始まり、ネーメズィスシリーズを叩くことに成功。
ミサトやリツコは外見がかなり変わってしまっているがアスカは眼帯以外全く変わっていない。シンジの質問にアスカは「あれから14年経ってるってことよ。」と返す。
破のラストで確かに助けたと思ったはずの綾波はもういないとすら言われ、さらにわけが分からなくなっているシンジに説明をする暇もなく、零号機に擬態したエヴァMark9がヴンダーへ急襲をかけ、シンジはMark9に乗ったアヤナミレイによって誘拐される。
そしてミサト達との別れ際、彼女らは「ヴィレ」というネルフ壊滅を目的とした組織であることを知らされる。
ネルフは様変わりしており、14年ぶりに会った父ゲンドウからは「時が来たらそこの少年と13号機に乗れ」とだけ伝えられる。
父からもロクな説明を受けないままもっとわけが分からなくなっているシンジの前にゼーレの少年渚カヲルが現れ、2人はピアノの連弾を通して親交を深める。
わけが分からなくて不安だと打ち明けたシンジにカヲルはサードインパクト後の外界を見せる。あまりの惨状にシンジは現実逃避する。
が、追い討ちをかけるように冬月から綾波を助けられていなかったこと、綾波は母ユイのクローンであることを告げられ、シンジは自暴自棄になる。
ついに13号機に乗る命令が下されるがシンジは何を信じていいのか分からない。「でも、僕は信じてほしい」と神経が衰弱し切ってしまったシンジの信用を得るためにカヲルはチョーカーを自分の首につけた。
カヲルは2本の槍と13号機を使えば世界を作り替えられるとシンジに伝え、2人はダブルエントリーシステムの13号機に乗ってリリスに刺さったロンギヌスの槍とカシウスの槍を抜きに行く。そこにヴィレのアスカとマリも妨害に現れる。
でも実際にセントラルドグマについたら、槍は両方ともロンギヌスの槍だった。カヲルはそのことを怪しみシンジに撤退を提案するがシンジは世界をやり直すためにロンギヌスの槍を引き抜く。しかしそれはゼーレとゲンドウの罠でフォースインパクトが発動。
カヲルが13号機に2本のロンギヌスの槍を刺してそれを阻止。カヲルはDSSチョーカーにフォースインパクトのトリガーと判断され死亡。
でもカヲルが自死を選んでもなぜかガフの扉は閉じず、フォースインパクトは止まらなかった。
ガフの扉が閉じない理由がシンジにあることに気づいたマリが13号機からシンジのエントリープラグを引き抜いてなんとかフォースインパクトを防ぐことに成功する。
フォースインパクトは阻止したものの、世界はめちゃくちゃになってしまい、アスカに保護されたシンジは悲しみに打ちひしがれたまま次回作【シン・エヴァンゲリオン】へ続く。
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US作戦(初号機奪還作戦)とネーメズィスシリーズ
空白の14年間の間にゼーレとヴィレ避けのためにゲンドウによって初号機は宇宙空間に放出されています。
サードインパクト時にゼーレからヴンダーを奪ったヴィレですが、メインエンジンまで奪うことは出来ず、この時点では有り合わせの技術で間に合わせながら稼働させており、ヴンダーが持つ本来の能力を全く活かせておりません。
そのため初号機をメインエンジンに組み込むための作戦を立案。
宇宙空間でネーメズィスシリーズの妨害を受けながらもなんとか倒し切って初号機のテセラックの元まで辿り着け、帰投しようとしたところパターン青で使徒がまだいると表示され中からコード4Bが出てきますがこの場合は「Blood Type≒BLUE」とニアリーイコールでの表示となっているため正確にはコイツは使徒ではありません。擬似S2機関を持った使徒モドキです。使徒認定されるためには本物のS2機関を持ってなきゃいけないので。
アスカの声に反応した初号機がネーメズィスシリーズを殲滅しています。
エヴァ4号機とMark4の関係は?
破でエヴァ4号機の建造を行なっていたネルフ北米支部がエヴァと支部丸ごと原因不明の消滅をしてしまいます。
この時4号機は試作開発研究のデータ収集を目的として建造していたようですが、実際は疑似的なS2機関の搭載実験をしていたそう。そのデータがMark4ネーメズィスシリーズへ利用されている可能性があります。
ただQで登場したMark4シリーズは機体色が紫であることから初号機由来で作られた存在、衛星状態となった初号機がネーメズィスシリーズを操る衛星兵器になっていたと推測される。
Q冒頭でネーメズィスシリーズに散々妨害を受けていたヴィレは初号機をヴンダーの動力源とすると同時に衛星操作装置となっているから奪還したのではないか?と思います。
実際、初号機を奪取してからは0706作戦までの間、ネーメズィスシリーズによる妨害を受けていません。(Q中盤はシンジとカヲルにフォーカスされていてヴィレは空気だったのでその間も戦っているかもしれないけど)
先行公開された次回作シンの冒頭10分の0706作戦では形を変えて復活しており、機体色が薄いグリーンであることから新たな製造操作元(由来となっている機体もしくは装置)があるはずです。それにもしかしたら消えたはずのエヴァ4号機が使われているのかもしれませんね。
コアブロックというものが擬似的S2機関を持っており、活動時間に制限がない。
コード4A・4BはヴンダーのエンジンになっていたN2リアクターそっくりさん。
N2リアクターはN2爆雷と同じく、No Nucler、非核発電装置です。
カラーリングが違うだけで全く同じ形をしています。
金型転用か…?それともN2リアクターと擬似S2機関を融合させて作ったのか?
余談ですがネーメズィスとはネメシス「Nemesis」(神の怒りと罰)という意味。
シンジがサルベージされた理由
ヴンダーに組み込まれた初号機からはシンジがサルベージされる。が、破のラストで一緒に初号機の中にいたはずの綾波レイは再現されなかった。
旧作とは違い、今回シンジがサルベージされるのはシンジが必要なのではなく、初号機をヴンダーの動力源とするために必要なことだからである。(ゼーレとゲンドウは逆にシンジの方が必要)
初号機は破での3号機事件で使徒のコア(S2機関)を取り込み、対ゼルエル戦では活動限界がなくなったことが発覚。覚醒したことで使徒特有の飛行能力も手にしているため、これを動力に使えると目をつけられた。
しかし破ラストで同じくシン化してしまったシンジが初号機の中にセットでいると暴走やインパクトのトリガーとしてまた利用されてしまう可能性があるためサルベージで取り出しておくしかなかった。ヴンダーの中に保護さえしておけば安全なので。
とはいえヴィレにとって最も安全なのは「サルベージしたシンジを目覚めさせないこと」だったんでしょうね。
ちゃんと説明したらわかってもらえると思っていたから面会した。本当はミサトもシンジのことを信じていたかったんだと分かります。しかしあまりにタイミングが悪すぎた。
シンジは眠っている間にサードインパクトのトリガーにされ、エヴァMark4ネーメズィスシリーズをばら撒く原因となってしまっているためそれにより過去につらい体験をしたであろうヴィレのメンバーからはかなり敵意を向けられている。中には同情を示す者もいる。
けど安全だと思っていたヴンダーはアヤナミレイの乗ったMark9によっていとも簡単にぶっ壊されシンジはネルフに鹵獲されてしまう。(シンジを騙すために零号機に擬態してカラーリングまで合わせてるところがセコイ)
シンジを眠らせたままにしておけばアヤナミレイの言葉にシンジが呼応することもなかったかもしれないのに…。
シンジがネルフに行くということはエヴァに乗せられてインパクトのトリガーにされてしまうということ。
「彼を初号機より優先して奪取とは、まだトリガーとしての可能性があるということよ!ミサト!DSSチョーカーを!」とリツコが言っていますが、ゲンドウは本当は初号機も欲しいしゼーレはヴンダーも取り返したいけどそれよりも先に13号機覚醒とフォースインパクトを起こすためにシンジを使いたいから優先的に鹵獲した。(エヴァを使ってガフの扉さえ開けてしまえばヴンダーも初号機もセットでノコノコやってきてくれるので)だからサクラは念押しのように「エヴァにだけは乗らんといてくださいね!」と言った。
しかしこの時ミサトは情によりDSSチョーカーを作動させることができませんでした。
指揮官としてものすごい失態ですが、リツコもミサトのその心情を察してか、責めることは出来ませんでしたね。
綾波レイはなぜ戻ってこない?考えられること
破のラストで助けたはずの綾波がいないことを不思議に思うシンジに対しミサトは「レイはもういないのよ」とまるでもう死んでしまったような表現で言い聞かせます。なんとなく、戻ってこれない理由を知っていそうですよね。
空白の14年間の間に起こっていることなので推測でしかないのですが考えられることとしたら
仮説①初号機の中にいるユイの魂(オリジナル)に合体してしまった
初号機はリリスのコピーとして作られた旧作の設定が今作にもそのまま当てはまるならリリスの魂を入れていた綾波はリリスの体同然の初号機に完全帰化してしまっている。
仮説②シンジが眠っている間にレイだけが初号機から取り出され、サードインパクトに使われた→旧劇場版のようにリリスと合体し巨大レイになるが首が切り落とされたため実質死亡。だから「いない」と言われる。
私は【前編:空白の14年間編】で②と考察しております。
Q中盤で冬月が「君の知っている綾波レイはユイ君の複製体のひとつだ。その娘も君の母親同様、初号機の中に保存されている。全ては碇の計画だよ。」というセリフがあるのでサードインパクトに使われたリリス本体からなんらかの方法でまた魂だけを取り出して初号機に入れていると考えられます。
ユイの魂と同じ場所にレイの魂を保存するのはゲンドウの目的の一つですので。(詳しくは後述します)
①との複合もありえるなーとは思っています。
シンジがシンクロ率0%になってしまった理由
初号機に乗せてアスカを援護させてくださいと頼んだシンジですが、初号機との深層シンクロテストでは0%だと言われてしまいます。
この理由は3つ考えられ、
①一緒に入っていた綾波レイの方がシンクロしてしまっているため
②シンジが第11の使徒となったから
③ミサトとリツコが嘘をついている
が考えられますが、多分これは①かなぁと言ったところです。
②だとシンジが使徒になったというよりは初号機が使徒になっているのですが、
使徒になったらエヴァに乗れなくなるとしたらじゃあ使徒に侵食されたアスカや元々使徒のカヲル君はなんでエヴァ乗れるんだよという話になるので。
破のラスト、ゼルエル戦で零号機に乗った綾波が「碇君がもう、エヴァに乗らなくていいようにする」と言って特攻していたので、初号機に自分がシンクロすることでそれを実践しているのではないかと思います。
トウジは生きているのか?加持は?
Qではトウジの妹サクラがヴィレの搭乗員として登場。
トウジはというと未登場。でもネルフでシンジの着替えにトウジのシャツが出てくることでシンジは戦慄する。
トウジは死んだのか?(死んだというよりインフィニティになってしまった?)
兄がシンジの起こしたサードインパクトで死んでしまっているのだとしたらサクラはもっとシンジを恨んだり冷たく当たりそうな気もするのでもしかしたら…?
加持さんはどうなんでしょうね。
ミサトにヴィレ加入の決断を迫る時、ゼーレとゲンドウの目的について暴露しているはずなのでもしかしたら処分されてしまっているかもしれないけど…
Qで一切の情報が出てきていないのでシンに期待しましょう。
ちなみにヴィレ搭乗員の戦闘配置ではイスが1席空いている。ここに座るのは加持さんなのかトウジなのか…
カヲルから分かるいろんなループ説
まず、序ラストの段階で月に9つの棺桶があり、5個目からカヲルは目覚めました。
この9つの棺桶には全てカヲルが入っていると公式記録全集には書かれています。
「また3番目とはね。変わらないな、君は。」とまだ会ったこともないはずのシンジを知っているような発言があったり、
(なんて言ってるけどあなたも目覚めた棺桶5個目だしパイロットとしても5番目(フィフスチルドレン)で変わっていないぞと思う。)
「今度こそ君だけは幸せにしてみせるよ。」このセリフからあらゆるカヲルループ説が浮上しました。
Qでピアノを上手く弾くために「反復練習だよ」「何度でも、自分が良いと思えるまで」のセリフが暗喩ではないかとも言われています。(旧世界は終わってしまっているので繰り返していないと仮定。)
なので各ループ説についても整理して考察します。
ループ説①
9体の渚カヲルを使って序破Q→序破Qと何度も繰り返しており、今回のQで5体目のカヲルではないかという「カヲル作中ループ説」
Qラスト「ごめん。これは君の望んだ幸せではなかった(カシウスの槍なかったごめん)」→また序で目覚め破のラストへループ、カシウスの槍を持って「今度こそ君だけは幸せにしてみせるよ」が根拠。
ループ説②
9体の渚カヲルが1体ずつ世界をやり直している「カヲル世界丸ごとループ説」
つまり作中に出てくる渚カヲルは1体のみである。1つの世界が毎度やっぱりインパクトによって終了してしまうこと前提で今回で5つ目の世界。つまり1つの世界で1体のカヲル。世界がやり直されるたびに月でカヲルは目覚め、この世界では必ずシンジを幸せにすると誓っているとする説。
ループ説③
空白の14年間に起こったサードインパクトの作業が世界を再構築する過程まで進んでしまい、この段階で1回世界は終わる。Qはそこから再構築された別の世界である「Qでの登場人物達は破とは全く別人説」
(まあ作画監督変更もあり髪型も違うしね別人に見えても仕方ない)
ループ説④
旧作の記憶を持っていても基本的にカヲルは作中でループはしていない。序破カヲルとQカヲルは同一人物でシンジの帰りを14年間健気に待っていた。「カヲルループしてない説」
思いつく限りだとだいたいこの4つでしょうか。(他にあれば教えていただけますと妄想が捗ります。)
ということでそれぞれ考えていきつつ、自身の考えを述べていこうかと。
①は冬月が世界に可逆性は無いと言っていることからなんとなくエヴァの世界に時間遡行の設定は無いように思う。
むしろカヲルの使徒能力にタイムリープがあったら最強すぎる。シンジに会う前にさっさとゲンドウ殺しに行ってるし最初からゼーレ裏切って不安要素を消してから会うって結論へ早々に至りそうなので。
あとは特報2でQと同じ時間軸のシンにサラッと次のカヲル君が映っていたことできっぱり否定されたと言ってもいい。
Qの副題「YOU CAN (NOT) REDO.」は槍で世界はやり直せないという意味と、過去には絶対に戻れないという意味のタイムリープを否定したダブルミーニングであると考えています。
たとえ過去に似た風景だとしてもそれは全く同じ世界のように再現されたまた別の世界なんですよ。エヴァという物語の世界では。
エヴァとはやり直しのきかない世界でシンジはどう選択していくのかを描いた物語であるとも私は思っております。
①も含め②はQでのカヲルが5体目なので残り4体しか残機がないとしたらもっと焦っていると思うしカヲルの棺がおいてある月はサードインパクトの影響を受けて綱々になったり大気っぽいものがあったりとめちゃくちゃ変化しているのでインパクトは地球規模だけではない。当然カヲルのいたエリアも変化しているはず。
あと①と同じ理由で次回作「シン・エヴァンゲリオン」の予告に次のカヲルが登場していることが②の説も否定していると思う。
しかし②とは少し違って、私は世界のやり直しは何度も行われているが、1つの世界にカヲルは1人だけではなく、今作でフォーカスされた世界にカヲルは9体存在していると考えている。でもカヲルとは言うものの、全てが人型として渚カヲルになれているわけでもないと思っています。(これはのちに考察)
③も無いなーと思っています。
私がQのストーリーの中で一番注目して見ているのが「人としての情」という部分でして、これのせいでどうしても別人説が考えられないんです。逆にそれがあるからQであんな結末になってしまったとも言えますが。
まずヴィレの各々がシンジが自暴自棄になることを恐れて本当のことが言えなかった。到底受け入れられるものではないですからね。
真実を話そうにもネーメズィスシリーズやMark9が襲ってきてそれどころではなくなってしまうので、本当にいろんなことが運悪く重なり合って、恐れていた「シンジの自暴自棄」は起こってしまいます。
ミサトも情が残ってなければ、過去の自分がどれだけシンジを信じていようと今やるべきことを優先させ、迷わずDSSチョーカーのスイッチを押せたはずです。
リツコもスイッチを押せなかったミサトを見て、ミサトの気持ちが分かるから責めなかった。
アスカも好きという気持ちが残っているからシンジを一目見に行ったし自分が助けてもらえなかったことに対して嫉妬した。
使徒であり人ではないカヲルがシンジに対して見せた執着心・全体的な人間っぽさと大人としての対応は14年間のうちに育っていったものと感じます。(そして何よりピアノの横にある木がそれを最も表していると思う。木って育つのにすごい時間がかかるから)
世界を変えたにしては人と人は情で繋がりすぎているのです。
それに後述しますがゼーレはインパクトの目的を終えておらず、まだこの世界に対する執着がありますのでそういった点も含めて世界の理も人も変わっていないと考えています。
あとはメタ的な見方になりますが、やはり「大人の精神になった周りの人達と子供のままのシンジ」という対比を浮き彫りにするのがQのストーリーの役目でもあると思います。
そこを世界設定丸ごと変えてリセットしてしまうとストーリーの意味がなくなってしまいます。
そういった意味で「ループ」という設定も、他の作品で使う分には良いと思うんですが、エヴァの世界で安易に扱いたくないのではないでしょうか?「世界ってそんなに簡単になんとかなるもんじゃないよ」と「絶望的な状況でも後悔しないために自分自身で考えて選択していかなきゃいけないんですよ」というのを観客である我々に教えようとしていると考えます。
まぁ私自身が物事をあまり複雑にせずシンプルな構造で考えたいタイプの人間なので、単純に製作側もそこまで複雑怪奇な設定にしてると矛盾点すごそうじゃん?と思っている節がありますけども。
ということで、
あれだけシンジに会えるのを楽しみにしてたのに一言も会話できない個体のカヲル君がいるとかかわいそうすぎるんで私は④の序破Q同個体のカヲルがシンジ君を空白の14年間ずっと待ってた説推しです。
もし9体全員渚カヲルになったとしたら頼むからどの個体にも1回ぐらいはシンジ君に会わせてやってほしい…彼はシンジ君と逢うために生まれてきてるって自分から言ってんだから(それに自分はシンジ君に会えない個体かもって思ったらどんな手を使っても抵抗しそうな感じある。)
なので④についての根拠と他のカヲルループ説をアダムスの使い道という点から考察してみたいと思います。
アダムスの使い道からカヲルループ説を考える
【第2章】では今作のアダムスは9体いて、カヲルは旧作の記憶を引き継いでいると書きました。
量産型エヴァがアダムスとなったから、ということまでは説明しましたね。
そして9つの棺桶には全部カヲルが入ってるんでしたよね。まぁ人型サイズの棺桶ですからその他の形のものが入ってるとも想像しづらいです。
カヲルは自身を第1使徒だと言いますのでアダムスである。これがまず前提。
旧作でダミープラグの中にはクローン体が入れられている設定のようなので、
今作でゼーレは石化した9体の量産機を回収→ダミープラグの中からカヲルのクローン達を回収→月の棺桶の中へ保管→機体の方はアダムスの肉体としてMarkシリーズへ使用したと一旦仮定します。
しかしそうなると、ゼーレはアダムスの肉体、カヲルの肉体、カヲルの魂、と3つをそれぞれ別々の方法で使えることになりその使い道の考察は困難をきわめるのですがちょっと頑張って思い出します。
9体中4体はアダムスの肉体と共にセカンドインパクトに使われている。
今作でのセカンドインパクトはアダムスが4体とロンギヌスの槍が4本でてきたこと以外全く情報が無い。
そのため旧作とは全く異なる理由でインパクトが引き起こされた可能性もあるし、インパクトを止めた方法も異なっているはず。
分かることと言えば、破で宇宙から南極のセカンドインパクト跡地を見た時に、爆心地に4本の十字架があること。
このことから4体のアダムスはロンギヌスの槍によって封印されたと考えることができる。
しかし、アダムスを使ったであろうエヴァやヴンダーの総機体数はアダムスの肉体が4体喪失した状態で数えると明らかに足りないし「アダムスの生き残り」というワードが出てきたりしていることから、封印されたのは魂の方だけなのではないか?肉体のみ回収されて「アダムスの生き残り」として機体に使用されたのではないか?とさらに仮説を立て、それをもとに一旦アダムスの使い道に反映する。
アダムス使用表
表埋まってないやんけ!
そうなんです。旧作量産機をアダムスの肉体とする条件だと真面目にこれ以外の使用用途を思い出すことができないんです。
(Mark11と12なんて作中に出てきたか?という疑問に関しては【前編:空白の14年間編】にて定義づけておりますのでぜひそちらも読んでいただけますととても嬉しい)
これだと仮にカヲルに人間体を与えたものが別行動してたとしても、どこで何してんのかさっぱり見当がつきません。(物語内ループ説で使われてんだよ!という説を実証しようには数が多すぎて非常に大変である。少なくとも埋まっていない3人分は物語内のどこに出てきたのやら)
それにカヲルは自身を第1使徒であると言っているってことは、カヲルの肉体も9体のアダムスのうちのひとつなんですよ。でも別の形になっているアダムス達もいますよね?そう、Markシリーズエヴァやヴンダーですね。
そうすると旧作量産機の機体をアダムスとしたらダミープラグに入ってたカヲルの体はアダムスじゃないんかい!っていう疑問が沸き起こるし、じゃぁ序破Qカヲルは量産機の肉体を人型に加工してカヲルにしたんか?となってしまう。
このことから旧作量産型の機体を肉体として使うには少々無理があることだけは分かりました。
つまりこれはアダムスは9体全部人型をしているわけではないという根拠にもなります。
そこからもう1つの仮説を思い立ちました。
「旧作で胎児状だったアダムの肉体がすなわち今作ではカヲルのクローン体そのものに置き換わっているんじゃないか。」
つまり旧作量産型エヴァが石化してしまったことで機体は使用不可に。ダミープラグの中からクローン体は取り出すことができたのでそれをアダムスとする。
9体のアダムスは9人のカヲルである。
しかし使い道は人型とは限らない。
9体の中から意思を持った渚カヲルになれたのは序破Qカヲルとシン・カヲルの2体のみである。(シン・カヲルはまだよくわかんないけど)
と結論づけてみました。
だって旧作でもカヲル=アダムだったので9体カヲルを集めればアダムス(複数形)になるのってなんか納得です。
(しかしここでアダムス達を渚カヲルと呼称すると碇シンジに会えない渚カヲルがいるなんてイヤアァァ!と叫ぶめんどくさいオタクの自分が目覚めるので、あくまで魂が目覚め、人型となったアダムスを渚カヲル、それ以外をクローン体カヲルとさせてください。)
多分そのまま放置すれば渚カヲルになるし、大きく育てればエヴァの素体にできる…的なね。
なのでこの仮説をもとに表を変更してみた。
Mark9とヴンダーの魂については後々考察します。
クローン5から作られた序破QカヲルはMark6にも13号機にも乗れていることから、クローン1から作られたエヴァに必ずクローン1の魂が入ってなきゃいけないということは無いと思います。魂の方はクローン1〜9の肉体に互換性があります。
どうやってカヲルクローン体を巨体のエヴァ素体にしてんだよ!というツッコミが来そうですけど、エヴァ一番の謎ってアダムスをどうやって巨人化させたり鍵にしたりしてるのかってとこだと思いますよ。
それと同時に旧作ネルフ製のエヴァだってどうやってバラバラになったアダムからコピー体生み出してるのか謎に包まれたままじゃないですか。
Mark6だって装甲つけられる前の姿はぶよぶよの巨体なのにエヴァ化して現れた時はシュッとしてるでしょう?どうやってダイエットさせてるのかは永遠の謎なんですよ。
このあたり一帯の謎技術を使えばクローン体をエヴァ素体にするぐらい楽勝ではないかと思います!(超理論)
このアダムスは1体ずつ“別の使徒“としても使うことができます。
【前編:空白の14年間編】を先に読んで下さった方にはもうピンとくるかと思いますが、Q後半のめちゃくちゃ重要なシーンで使われる設定ですので、覚えておきたいところです。
そしてこれでいくと肉体と魂を別々にして使ったとしても、肉体をエヴァにしていたりなどの場合、体を置いたまま魂だけ作中時間軸をループするのは中々難しいのではないでしょうか?
この点でも①の 「カヲル作中ループ説」は無さそうだなと思っています。
「何度も、自分が良いと思えるまで」
私は作中時間軸でのループは起こってないと思っている派ですが、大元の一番最初になったのは旧作として、旧作→今作の間に何度か世界は再構築され、毎度やっぱりインパクトが起こって終わっているのはまぁあり得るなぁと、そのたびにやっぱりシンジがトリガーとなってしまい選択を迫られるのですが、毎回後悔してしまいシンジが幸せとはいえない世界ができあがっているのでは?と思っています。
インパクトが完了してしまうと再構築された世界で人々は記憶を消されて新スタートすることになりますがゼーレは意図的に記憶を引き継いでいます。旧作カヲルの場合は事故的に今作へ記憶を引き継いだようなものなので、カヲルは自分から望んで何度もループをしているとは感じていません。ですが何度か終わった世界があったとしても毎回ゼーレ関係のなんらかの理由で彼の意思に関係なく記憶とシンジへの気持ちを引き継いできているのだろうと思っています。
ループを暗示してるんじゃないかと噂の次回作タイトルの反復記号:‖についての見解は次の【第4章】にて考察します。
3人のカヲルの原画
次回作シンで出てくるであろうと思われるシーンが描かれたアニメーター見本市「Until you come to me.」ではなぜか3人並んだカヲル君の絵もあり、これが序破カヲルとQカヲル、シンで登場するであろうカヲルを指していてやはり3体いるんじゃないか(作中内ループ説)の根拠とする意見もあります。
私の解釈としては旧世界カヲル・序破Qカヲル・シンで登場カヲルの3人なんじゃないかな〜と思っています。だって旧世界の記憶引き継いでるなら旧作カヲル君だって今作の登場人物の1人とも言えるんじゃないでしょうか?こじつけすぎるか。
なぜカヲルはシンジが好き?根本から考える
エヴァ最近見たばっかりだよ〜とかライトに楽しんでいらっしゃる方には特に、
「カヲルはシンジが好き」という設定が概念化しているのではないでしょうか?
まぁその設定だけ念頭に置いておけば今作はそのミステリアスな言動も楽しめますからね。
誰かを好きになるのに理由はいらん!と言われてしまえばそれまでなのですが、一応彼にもシンジを好きにな(りすぎ)る理由がちゃんと読み解けるようになっていますので、今作の彼がシンジを主軸として動く理由を知るためにもカヲルというキャラクターにフォーカスして解説していきます。
注意!めんどくさい渚オタクによる暑苦しい渚語りが始まります!
ここから先の渚語りの部分には背景色つけておきましたのでどーでもいいわ!という方は飛ばしてくださいませ。
旧作と今作のカヲルを比べてみて、明らかに違うのは行動原理が変わりすぎているというところです。
旧作のカヲルは最後の使者(第17使徒)で使徒としての責務を果たすために行動しています。(アダムの魂を入れた魂の器だが、アダムの肉体と分離されている以上厳密にいうとアダムではなく他の使徒と同じくアダムの本体と融合するべく行動しなきゃいけない)
ネルフに送り込まれた時から彼はシンジのことが好きだったわけではないんです。ゼーレの命令によりとっても興味を持っていた。それだけです。
公式設定でカヲルはもともとシンジ君以外の人に興味関心が無いのだとか…。
ゼーレはカヲルに「アダム(リリス)の元に還れ」という命令と同時に、サードインパクトに初号機を使うことになった時のために依り代となったシンジに決定権を与えられた際デストルドーを高めておくことで、「世界なんてもうどうでもいい」と思わせて無事に補完計画を完了するために、その理由をカヲルには伝えずシンジに近づけと命令していました。
その結果、ゼーレが想定した以上にカヲルはシンジを知りすぎてしまい、好きになっちゃったというのが簡潔に言う結論です。
旧作カヲルは自殺願望あり
ドグマに降下した際の「僕にとって生と死は等価値なんだ」というセリフからカヲルは自分は生きる(生まれてきた)意味が分からなかったんだと言っています。
ゼーレの命令を遂行するためだけに生き、仮にその使命を遂行しなかったとしても、生命の実を持つ自身は永遠に生き続けてしまう。知恵の実を持った人類のように何かを生産するでもなく。
シンジに出会ったばかりのカヲルはそういった虚無を抱えており死が安息となっています。(ボツ設定ではリスカ癖や自殺願望があったとのこと。リスカ設定はなくなったが自殺願望があるのは変わらないと思う。)
ですが、カヲルはシンジとのふれあいの中で自分の柱となるものを見つけました。
それを示しているのが「僕は君に会うために生まれてきたのかもしれない」のセリフです。
人一倍繊細な心で傷つくことを恐れながらも生きたいと願うシンジが持つ生への執着を見たカヲルにもリビドーが芽生えます。それは明確に「死んで欲しくない人ができた」ことも示しています。
ドグマのリリスを前にして「人を滅ぼしてまで…」このセリフが彼の心境の変化を表していると思います。人を滅ぼすことに疑問・躊躇が生まれているんですね。
「シンジに生きて幸せになってほしい。できるなら自分も一緒に生きたい」というのがそれからの彼の行動原理となるのです。
どうして今作カヲルはシンジ至上主義なのか
しかし今生の自分には生きる自由がない。与えられた自由は死の形を選べることだけ。だから「君は死すべき存在ではない。君たちには未来が必要だ。」と言い、「ゼーレを裏切ってシンジを生かす」という死に方(自由)を選んだ。
それでシンジが幸せになるかどうかはわからないけど、それでも生きていて欲しかったから
「(生まれてきた意味を教えてくれて)ありがとう。君に逢えて嬉しかったよ」と言った。
自分が死ぬしかシンジを生かす方法が無い+死んで安息(自由)を得たいというエゴの半々といったとこでしょうね。
旧作ではシンジに自分のエゴを叶えてもらったから、もし次に生を受けたらシンジのために生きよう(幸せにしよう)とするのだと思います。だから今作のカヲルはシンジの望むことならそれが厳しい現実を教えることになったとしても全て叶えてあげたいと思っています。
自由意思を司る天才「タブリス」なのに全然自由じゃなかった旧作のカヲル
シンジは自分が選べる死の形という絶対的自由を与えてくれた。最後の最後でやっと本当の「タブリス」にしてくれたシンジの存在ってもう神そのものなわけです。
どれだけ世界が変わっても自分の神を愛する気持ちは変わらないんじゃないでしょうか。
これは今作の世界で記憶が引き継がれてカヲルのスタンダードになっています。
その証拠に旧作で「僕は君に逢うために生まれてきたのかもしれない(仮定)」と言っていたのがなんとQでは「僕は君と逢うために生まれてきたんだね(確信)」と変わっています。
この微妙な違いは過去の記憶保持あってのことでしょう。
旧作24話は見せ方的にシンジの方がカヲルを好きになり、たくさん与えてもらっているように見えますが、シンジもちゃんとカヲルに与えることができているんですよ。
それでカヲルは生きる意味を見つけ、永劫にそれが彼の理念となるんですから。
前世の自分に自由を与えてくれた神を一目でいいから見たくて、一言でいいから言葉を交わしたくて14年間も待ち続けてたんですよ。今作のこの使徒は。
そういった点で、旧作カヲルは後天的シンジニスト、今作カヲルは先天的シンジニストといえます(シンジニスト?)
今作はアダムスのうちの1体なので、旧作とは違い第1使徒という扱いです。
他の使徒みたいにアダムに会うために行動しなくて良いのでシンジに注力できる状況。殲滅対象でもありませんので自分の意思でゼーレでもネルフでもなくヴィレでもない第4の勢力としてシンジのために動こうとしています。
ある程度の自由を手にしているはずの今作のカヲルがシンジの身代わりになる。それは自分から選んだことなんですよね。
今作の設定では使徒に天使名は無く、全員「第○の使徒」という呼称になっているためカヲルにも天使名はついていませんが、その行動は紛れもなく自由意志を司るタブリスなんです。
9体のカヲルは旧作の記憶を引き継いでいる
旧作でシンジはカヲルを殺してしまった絶望を利用され結果としてサードインパクトが起こってしまいました。
カヲルのダミープラグが入った量産機もインパクトの儀式の際、初号機と共鳴したことによりシンジのデストルドーを共有。シンジの幸せはカヲル自身が生きていることだったのだと記録されます。
シンジは最後他人のいる世界を望んだとはいえ、他人として生き残れたのはアスカだけ。みんなLCLになってしまった世界で自分の選択が本当に良かったのか、やはり後悔して泣きます。
そのため今作カヲルは旧作量産型のダミープラグに残っていた記憶からシンジが幸せでなかったこと、シンジを幸せにできなかった要因は自分の死が関係していることを理解しています。
それはおそらく次回作のシンのカヲルにも、もしろん人型の渚カヲルにならなかったクローン体達にもスタンダードとして引き継がれているかも…
カヲルの使徒としての能力
DSSチョーカーを外したり、旧作ではエヴァを遠隔操作したり視線をやるだけでロックを解除してたりしますから機械の遠隔操作がカヲルの能力なんでしょうかね?シンジ君のS−DAT直したのも触っただけで直せてそう。
今作Q終盤でも13号機の操作系をシンジ君に切られているはずなのに使徒様パワーで無理矢理動かして槍2本を13号機のコアに指しています。
カヲルの能力を持ってすればシンジに操作系を切られたぐらいでは屁でもないということ。その気になれば槍を抜こうとするシンジに対し13号機を動かなくすることぐらいたやすいはず。
でもそれをしなかった。カヲルはシンジのする行動を絶対に強く否定できないから。
これが惚れた弱みってやつなのでしょうか?(惚れてるかどうかは置いといてシンジのこと好きすぎるのは間違いない)
他人に否定され続けてきたシンジをカヲルは絶対に否定しない。槍を抜くのをやめようと言ったのも提案であり否定ではありません。旧作ではお仕事の関係でシンジを裏切ってしまった分、今作では絶対に裏切らない。自分が死ぬかもしれないとわかっているのにシンジを優先する。
推し(シンジ)のために筋を通した彼の生き様は推せます。さすがアダムス。
そう言えば今作のカヲル君は一度もATフィールドを出してないんですよね
チョーカーが発動しだした時、シンジはカヲルに触れようとするが透明の何かに遮られて触れられない。カヲルのアレはATフィールドなのか?
私は単純にエントリープラグの物理壁じゃないかと思っています。それにチョーカーには使徒封印呪詛文様も書かれているので多分ATフィールド展開できないと思う。(それでも使徒パワーで13号機は動かせたのでこの文様がどこまで機能するかは不明)
仮にATフィールドを展開できてたとしてもカヲルが死んだあと、ATフィールドは消滅するはずなのでシンジは壁にもたれることはできない。よってカヲルは作中で一度もATフィールドを展開していない。
旧作で最強レベルのATフィールドを使った使徒様の能力を今作でも拝んでみたかったのですが、ATフィールドは心の壁とも言っていたので、なんとなく「拒絶」のイメージがあるんですよね。
今作のカヲルは何があってもシンジの味方ですよっていう安定感がすごいのでシンジに対して心の壁は一切持ってませんよ!という気持ちのあらわれだったのかなぁとも思ったり。
「今度こそ君だけは幸せにしてみせるよ」のセリフ
物語全体で見るとシンジの幸せは「大切な人達が傷つかない世界」「エヴァに乗ること以外で誰かに認めてもらえる世界」なんですが、壊れてしまったQの世界では「ただ1人だけ自分の気持ちに寄り添い認めてくれたカヲルが死なずにそばにいてくれること」も追加されています。
カヲルはそれらを理解しているし、旧作でシンジに与えてもらったリビドーから自分も生きたいと思っている。
「シンジ君は安らぎと自分の場所を見つければいい。縁が君を導くだろう」のセリフから、これがQでカヲルがシンジに与えたものでありこの先もずっと与えたかったもので、それがカヲルが導き出したシンジを幸せにするということなんです。
でもそれができなくなったから「ごめん。これは君の望んだ幸せではなかった」と言っているんです。
なぜカヲルは死ぬことを選んだのか?それは旧作と同じく自分が死ななければシンジが幸せになる可能性が絶たれてしまう状況にまで追い込まれたから。
カヲルにとって一番許し難いことはシンジを幸せにできないことではなく、幸せになるべきシンジが死んでしまうことです。生きていれさえすれば少しでも幸せになる希望が残っているだろうから。
破のラストで「今度こそ君だけは幸せにしてみせるよ」と言っているので「自分と一緒に」ではないのです。カヲルは自分が犠牲になってでもシンジ君を幸せにしたいのが切ない。これ書いててつらくなってきた。
長々と渚語りについてきてくださってありがとうございます。これ以上書くと精神が持たないので次の考察に移ります。
アダムス関連で、
アダムス素体のエヴァは元々使徒なんだから覚醒しなくてもインパクトを起こせる。
しかしそうなるとフォースインパクトで覚醒させる必要があった13号機は、じゃぁアダムス使ってないんじゃないの?という疑問も生まれます。
アダムスであるはずの13号機はなんで“号機“表記?
アダムスの見分け方として、機体の頭上に光の輪が出現することや、S2機関のおかげで電源ユニットが必要ないことが挙げられます。
13号機には電源ユニットありませんね。それにトリガーになった瞬間に光の輪も2本出現します。
まずアダムスである証明はできていることになりますが、覚醒させる必要があったということは、まだ13号機はインパクトを起こせる状態ではなかったということになります。アダムスなのに?どうして?
考えられることは13号機は2体の素体を使って作られた。
ダブルエントリーシステムと腕が4本あることからなんとなくそんな気がしませんか?
そして素体のうち1体がアダムスだけどもう1体はコピー素体。
片方のコピー素体を覚醒させないと完全にはならなかったから。そのための儀式がフォースインパクト。と予想します。
なので頭上の光の輪2本のうち1本はアダムス由来、もう一本は覚醒しアダムベースの力を手に入れたコピー素体の方の輪となりますね。
覚醒前はコピー素体を使ったまだ不完全なエヴァであるなら、ゼーレ製のMark表記より号機表記なのはうなずけますね。まぁゲンドウが作ったのだからネルフ製って見方もできる。
アダムス素体なのに号機表記なことにずっとひっかかりがありましたが、片方コピー素体だと考えるとすとんと落ちました。
なんでダブルエントリーシステムにしなきゃいけなかったのか?
サードインパクトの際にリリスに槍が2本刺さってしまっている以上、2本とも抜かなきゃインパクトは起こせなくなっています。
これに対しカヲル君が「1つの魂につき槍は1本しか持てない」と答えてくれてますね。
ゼーレはアダムスのカヲルにインパクト起こしに行けって言うだけではもうどうにもできなくなっていて、槍を抜くためにもう1人のパイロット候補、シンジが必要なんです。(もう1つの理由はインパクトを中断させずに完遂するための保険・後に詳しく記載します)
それにカヲルにだって意思があるのでシンジ君のためにならないと思えば搭乗を拒否しちゃう。【前編:空白の14年間編】ではサードインパクト自体を参加拒否していると考察していますしね。
だから13号機と槍が2本あれば世界がやり直せるよ〜ってのを口実に搭乗させなきゃいけなくなっているんですね。
でもそれなら13号機の素体は2体ともアダムス使えば面倒な手順を飛ばせて楽勝では?という疑問も生まれます。
これは先ほどのアダムス使用表と照らし合わせるともうアダムスの肉体が足りていないからコピー体しか使えなかったなんて見方もできますし、どちらかというとゲンドウの都合が反映された結果であることの方が大きな理由かと。
ゲンドウは自分式インパクトを起こすために13号機が必要不可欠ですが、カヲルは邪魔なんです。カヲルがトリガーになるということはゼーレの思惑が叶うインパクトになってしまいますので。
エヴァの覚醒とガフの扉が開くこと、つまりインパクトが始まってしまうことはセットで起こると破のラスト、初号機が覚醒した際に証明されています。
なのでゲンドウは13号機を覚醒させたと同時に起こるインパクトでカヲルがトリガーになってもシンジのために自死を選んでガフの扉を閉じようとするだろうと見越して、覚醒が必要なコピー素体を13号機の片割れに選んだのです。
そう、シンジの強情で思い込んだら周りが見えなくなる性格とカヲルがシンジ至上主義であることまで把握した上で、2人の性格を利用してカヲルを排除するために。
シンジへの想いを利用されたからカヲルは死を悟った時すごく悔しそうな顔をするんですよね。
(息子の友達を利用して死に追い込むとか人の親がすることか?と人間性を疑いたくなります)
さてさてここまでアダムスの謎を考えてきましたが、残りはMark9ですね。
しかしMark9はQ終盤でフォーカスされるので、ストーリー側の解説を行なってからその流れでMark9にも言及していきます。
カヲルにとってのリリンはゲンドウ
リリスに刺さっている槍が2本ともロンギヌスである真意に気づいたカヲルは「そうか!そういうことか!リリン!」と言い、この時ゲンドウが映ります。
今までも散々言ってきたのですが、カヲルが指すリリンとは=ゲンドウなんですね。
なんならQラストでゲンドウを「リリンの王」とまで呼んでいますからね。(これについては少し後で説明します)
カヲルがなんで槍の種類を勘違いしていたかについても【前編:空白の14年間編】で考察しております。
「第1使徒の僕が、13番目の使徒に堕とされるとは…」の意味
ゲントウは序の段階で「いかなる手段を用いても我々はあと8体の使徒を倒さねばならん」と言っていますが、なぜかあと8体使徒が来ることを知っています。
これは、ゼーレに与えられた作業マニュアル「裏死海文書」に全部で10体倒すという工程を踏むことでリリスとの契約が完了し人為的なインパクトを行い人類補完計画が発動できる。とそう書いてあり、このセリフの段階では2体倒していたので残り8体ということです。
Qの時点で8体まで倒しており、Mark6の首を切って中から出てきた第12の使徒を13号機が噛み砕くことで殲滅。これにより9体。
ではその使徒の数について、またあの表を…
第11の使徒認定を受けている初号機はユイとリリス(レイ)の魂が入っているためゲンドウ式インパクトの要。リリスの契約を遂行するための最後の1体としての殲滅対象にはしたくない。
そこで第1使徒アダムスの1人で、本来殲滅対象では無いカヲルを残りの1体、無いはずの13番目の使徒として処分。よって裏死海文書にあった滅ぼすべき10体の使徒の数と一致させることで「堕とされた」ということになります。
なのでカヲルは「ハジマリ(第1使徒)とオワリ(最後の使者)は同じというわけか…」と言ったわけです。先述していたアダムスは1体ずつ“別の使徒“としても使うことができるという設定がここで利用されていますね。
ここまではそのセリフの意味の解説になりますが、実際どうやって13番目の使徒に堕としたのかは諸説あります。
説①ロンギヌスの槍と一緒に刺さっていた第12の使徒が槍を抜かれたことで復活。13号機の中に入り込みカヲルを侵食したことによってカヲルは使徒として覚醒し堕とされた説。第1使徒+第12の使徒で=第13の使徒という考え方。
説②第1使徒なので殲滅される必要はないが、使徒であるため元々パターン青。8体目まであと1体だから無理やり使っちゃう。DSSチョーカーはトリガーになった瞬間に発動している説
私は単純に②じゃないかなと思っています。①だと覚醒する前は使徒じゃなく過ごせる理由が分からないので…旧作のカヲル君は覚醒も何もしなくても人間体のまま使徒として活動できていたし。
第12の使徒は3号機に乗ったアスカを侵食した第9の使徒に鳴き声が似ているので侵食タイプの可能性もありますが使徒が使徒に侵食されるってあり得るんかね?まず使徒って合体できんの?という疑問が解決できないので①より②かな〜と思っています。
アヤナミレイに下されていた命令
13号機がまだ建造中だった時、綾波掘っ建て小屋でシンジが「いつもここで何してるの?」と聞いた時アヤナミレイ(仮称)は「命令を待ってる」と答えました。
そして13号機が槍を抜き、Mark6(第12の使徒)が復活した時にMark9の鎌でMark6の首を切り、「これが命令」と言います。(首を切った瞬間にMark6の中から光ファイバーみたいな第12の使徒が出てくる)
誰からの命令か、これはゲンドウからですね。
ゲンドウは「残り2体の使徒を倒すために、シンジが槍を抜いたタイミングでさっさと第12の使徒を始末しろ」と伝えていたんですね。
始末するついでに13号機に覚醒に必要なコア(S2機関)を第12の使徒を噛み砕くことで摂取させることも目的だったようです。
ゲンドウにとって、ゼーレでもなくネルフでもなくヴィレでもない独自の行動をしようとするカヲルの真意は見抜いており、13号機に乗せることでフォースインパクトのトリガーにさせ、カヲルがシンジを生かすために身代わりになって自死を選ばせることで処分させたということです。
カヲルにはドグマにある2本の槍はカシウスとロンギヌスの対になる2本の槍のままだと誤情報を伝えていたか、カヲルが誤認していたことを知っていたようです。
私の考察ではカヲルはゲンドウからの交渉でサードインパクトをボイコットしているので現場を見てもいなければ疑って確かめに行こうにもリリスの結界で14年間確かめられないという状況だったと思います。
カヲルと13という数字の関係(2020/08/31小ネタ集より移動追記)
Qでカヲルとシンジが乗ったのは13号機、第13の使徒に堕とされたカヲル、旧作24話で出てきたゲートも13番、旧作からも何かと13という数字に関わっていたカヲル。
13の数字が表すものとは?
キリスト教においてはサタンを13番目の天使であるとする設定があり、西洋における忌み数が13です。
13号機の場合はサタン(悪魔)の化身がしっくりきそうですね。
そのほかにキリストと13の数字に関係あるのは「イスカリオテのユダ」です。キリストの12人の弟子の1人でキリストをお金と引き換えに売った裏切り者の代名詞でもあるユダ。
裏切りといえば旧作でカヲルはシンジの気持ちを裏切っている。つまり裏切り者なのです。(最終的にはゼーレをも裏切るが)
ユダが「12人の弟子の1人」であるとは書かれていても、13番目の弟子とは決まっていません。ユダは12番目の使徒(弟子)であり、彼が裏切りの末死んだためにマティアが新しい12番目の使徒となったのであって、イスカリオテのユダは第13使徒ではない。
しかし13の数字にユダが当てはめられるのは聖書でキリストを裏切ったユダは最後の晩餐で13番目の席についていたとすることからや、最後の晩餐は弟子12人のためのものだったが、イエスを裏切ったユダが参加したことによって13人になったということ(これは北欧神話の方が由来)から繋がっている。
最後の晩餐時にユダの中にサタンが入ったからというのもある。
キリストを裏切ったユダはその後、自らの行いを悔いて、受け取った銀貨を神殿に投げ込み首を吊って自殺し罪を贖おうとした。そう、「首」
シンジを裏切るが最後にシンジを生かすことを選び(悔い改め)握り潰されることで首が落下した旧作のカヲル。
ずっとシンジの味方であり続けたが第13の使徒に堕とされたことでDSSチョーカーにより首が吹き飛んだ今作Qでのカヲル。
ユダの最期はカヲルが首にまつわる因縁が強いことに重なる。
(日本でも死刑は絞首刑。絞首台への階段の段数は13段。ここでも13の数字と首の関係がでてくるがこれは偶然か。)
ユダはイエスを十字架に架けキリストにする重要な役割を果たした人物であり、「神の使わした者」との考えもある。旧作カヲルの死がシンジのデストルドーに繋がり十字架状のサードインパクト発生の儀式に架けられたことが当てはまる。(旧作カヲルは第17使徒だけど)
旧作からカヲルはユダとしての立ち位置でシンジを裏切るが最終的には悔い改めている。今作においては自殺により過去の自分の罪を贖おうとすることは決まっていたのかもしれませんね。
しかしユダの運命を背負っているのはQカヲルのみであると思われる。
旧世界でシンジを裏切ってしまったカヲルの罪を懺悔しQカヲルは今作世界でその罪を贖った。
カヲルは死により自身に課せられた罪をゼロにした。同時にシンジが背負わされていた罪も贖った。Qは贖罪(カルマの浄化)がテーマの物語か。
逃れられない死の運命がカヲル、絶望の運命がシンジ、それがそれぞれの魂に与えられたものなら次のシン(:‖)はその運命を乗り越えること(脱却)がテーマかもしれませんね。
全てのチルドレンが、大人によって自身に仕組まれた運命(エヴァに乗ることで起こる悲しみ)からの脱却をするのかもしれない。
と考えると今作からエヴァに乗らなくて良くなったトウジはある意味勝ち組なのか…
カヲル=ルシファー?(2020/08/31小ネタ集より移動追記)
先ほど13号機の場合はサタン(悪魔)の化身がしっくりきそうと書いていますが、サタンは堕天使ルシファーが悪魔を率いた後の呼び名でもありますので、ルシファーに13という数字の関わりはありませんが、カヲルは堕天した元天使、ルシファーもしっくりくるなぁと思います。エヴァでは使徒側が天使という設定ですしね。
ルシファーは元々全天使の長、天使たちの中で最も美しい大天使。今作で第1使徒であったカヲルになんとなく合っていますね。(また神を褒め称える歌(賛美歌)を司る天使でもあったとも。歌好きのカヲルに合ってる)
カヲルが望んで堕天したというよりも、ゼーレとゲンドウによって堕天させられたと言った方がいいのでしょうけど。
なんでゲンドウはリリンの王なの?
ゲンドウの話に言及する前に、初号機とリリスの関係を説明しておかなければなりません。
初号機は破ラストの時点で元々リリスのコピー素体+綾波(リリスの魂)で非常に本物のリリスに近い状態になっています。
それにプラスで初号機は覚醒によりアダムベースの力を手に入れて第11の使徒認定を受けているわけですが、シンジがリリスの躯に刺さっていた槍を抜いた瞬間にリリスは形象崩壊してしまいます。本来のリリスは完全に死んでしまったということですね。
その瞬間にほぼリリスな上に第11の使徒になっている初号機が第2使徒へスライドし、その座を奪っていると考えられます。
ちょーっちややこしいのですが、
破ラストでリリスの魂を持つ綾波も手に入れた上に覚醒でアダムベースの使徒としての力を手に入れる。(状態:リリスのコピーでありながらアダムベースにもなれた)
この段階ではまだ初号機は完全体リリスではありません。リリスの肉体はまだドグマの中で健在だから初号機はまだリリスベースのコピー体のままです。
↓
空白の14年間、アダムベースの力を手に入れてしまったことで本当に第11の使徒と認定される。
(状態:まだリリスのコピーでありながらアダムベースの使徒になる)
↓
空白の14年間、サードインパクトが起こり首がなくなったリリスの肉体は死にかけているが槍の力でかろうじて躯のまま保たれている。(状態:初号機はまだリリスになってない)
↓
Qラスト、リリスの躯から槍を抜いたことで本物のリリスは形象崩壊。ここで本物の第2使徒リリスは死亡。リリスをコピーした肉体とリリスの魂を持つ綾波が入った第11の使徒初号機は自動的に第2使徒へとスライドし実質リリスと認定される。(状態:リリスでありながらアダムベースの使徒としての力両方を持つ)
なので初号機に入っているユイはリリンの母たる存在リリス(女王)となっている。
その夫のゲンドウはリリンの王、だからカヲルは「さすがリリンの王、シンジ君の父上だ。」と言ったんですね。
(私としては「さすが欲深いリリンの頂点に立つ者だね」という意味ですごくシンジ君に気を遣った皮肉かと思っていますが)
また、本来第1使徒であるはずのカヲルが13番目に堕とされたことによって空席になった第1使徒の座には覚醒した13号機が就いたということになるのでしょうね。(元々アダムスを素体にした13号機とアダムスの魂を持ったカヲル君のエントリープラグが残っている可能性を考えると13号機は完璧なアダムスになっているとも考えられる。)
なのでQラストの時点で第1使徒アダムスは13号機、第2使徒リリスは初号機となりました。
Q(フォースインパクト)におけるゲンドウの目的は
①序から言っていた8体の使徒のうち残り2体を殲滅すること。
②13号機を覚醒まで導き、ユイの入った初号機と同等の存在にすること。
③計画遂行の邪魔をしようとするカヲルを始末すること。
の3つで、これらを13号機にカヲルとシンジを乗せることで達成します。
これでゲンドウ式インパクトの準備が整ったことになります。
ゲンドウはユイに会うためと言っても、初号機のコアにはもうユイがダイレクトエントリーしちゃってるから人員過剰です。自分は初号機に入ることはできないので覚醒した初号機に釣り合う存在の13号機に自分がダイレクトエントリーするしか方法はありません。
ユイに会うためにはインパクトを起こさなければならないので、初号機(リリス)をインパクト作業者として、自身がダイレクトエントリーした13号機をトリガーにしようと考えました。
そのためには13号機を覚醒させておく必要があるので、その作業をシンジとカヲルにさせました。
ネブカドネザルの鍵はインパクトを起こすため、トリガーになるための力を手にする道具です。なのでこれからゲンドウが13号機と同化する用に使われるのだと思われます。
ゼーレの保険とは?
13号機がダブルエントリーシステムであることは
ゼーレにとっては「インパクトの開始に槍を2本抜く必要があるから」と、
ゲンドウは「カヲルの排除と13号機の覚醒のために必要なこと」だと分かりましたね。
ゼーレにはもう1つ理由があります。それがマリの「ガフの扉がまだ閉まらない!ワンコ君(シンジ)がゼーレの保険か!」のセリフからわかります。
フォースインパクトのトリガーとなったカヲルが自死を選び、ロンギヌスの槍を2本13号機に刺して活動停止させガフの扉(空に広がる赤い輪っか。これが開くとインパクトが始まる)を閉じようとしたが扉はまだ閉まらずインパクトが中断できない状況に対し、マリがその原因はシンジにあると気づきます。
13号機がダブルエントリーシステムなのはパイロット2人をトリガーとすることで、片方が止めようとしてももう片方が乗っている限りインパクトは中断しないから。
ゼーレはカヲルをトリガーにしても本人がシンジのために止めようとするだろうことを見越して、カヲルが死んでもシンジが乗っている限りインパクトは止められないよう保険をかけていたということです。
この他にも今作のゼーレはかなり用心深いので各所に保険をかけている様を見ることができますね。
カヲルはシンジ君に「君のせいじゃない。僕がフォースインパクトのトリガーとなってしまったからね。」と言っていますが、13号機は素体片割れが覚醒したことでガフの扉が開いているので本当はシンジも同じくトリガーだったはずなんです。
「2人ってすごいね。」と2人で何かをする素晴らしさをシンジに教えてくれたカヲルですが、最後はシンジを傷つけないために「自分だけがトリガーである」と嘘をつき、トリガーとなってしまったシンジの罪も引き受けてしまうんですね。
カヲルとシンジのプラグスーツの記号(2020/08/31小ネタ集より移動追記)
13号機に搭乗する際の2人のプラグスーツ記号は搭乗する機体の番号ではなく、大文字のAと小文字のa。
小文字のaの字体的におそらくアルファベットではなくギリシア文字の方のΑ(大文字のアルファ)とα(小文字のアルファ)に見えるので、わざわざ機体番号にせず別の記号を使ったことに何かしら意味があるだろうと思ってみました。
ギリシア文字はアルファベットの由来となっており、1字ごとに意味があります。
Α(アルファ)は始まり、Ω(オメガ)は終わりとかetc…
「始まり」というキーワードといえばカヲルの「ハジマリとオワリは同じということか…」のセリフが該当します。
第1使徒(始まり)→第13の使徒(最後の使徒=終わり)に堕とされたからのセリフですね。
カヲルは第1使徒でしたから「始まり」の意味を持つA(アルファ)がついているのは納得です。
ですが、シンジの記号も小文字のα(アルファ)で、2人のプラグスーツ記号はどちらもアルファ(始まり)なわけです。どういうこっちゃ?
ということでアルファに含まれる意味をもう少し調べてみると、「未知数」という意味と、「+α(プラスアルファ)する」という言葉にあるように「付け加える事ができる僅かな量」といった意味があるようです。
そこから、類義語にエトセトラ(etc=その他)やスペア(spare=予備)と言った言葉があり、アルファは「予備・念のため」といったニュアンスで使われることもあります。
ここで13号機に乗ったシンジの役割を改めて考えてみると、「ゼーレがカヲルをトリガーにしてフォースインパクトを起こす際、カヲルが自死を選んでもガフの扉が閉まらないように念のため用意しておいた保険(予備)」であることから、
大文字のAカヲル(始まりの使徒、アダムス)
小文字のαシンジ(カヲルの予備として用意された者)
プラグスーツにはその意味を持った記号がすでに付されていたということになるのではないでしょうか。
ゼーレとゲンドウの最後の挨拶
カヲルがトリガーになり始まったフォースインパクトの直後、ゲンドウがゼーレと最後の会話をします。
ゲンドウが難解なワードを並べているしゼーレはなんか満足したように消えてくしで傍目から見ると訳がわからない会話に聞こえますが、このシーンは「ゲンドウとゼーレの決裂」「ゼーレへの宣戦布告」「長い長いゼーレとの冷戦状態からの別れ」とも呼べるシーンです。大人だから周りくど〜く伝えているんですね。
ゲンドウとゼーレそれぞれの立場と思惑から読み解いていきます。
「死海文書の契約改定の時が来ました。これでお別れです。」
まずこの会話までの間のゲンドウとのゼーレの冷え切った関係を冬月は「ゼーレはまだ沈黙を守ったままか」と表してくれています。
ゼーレの目的、建前と本音のうちゲンドウにマニュアルとして渡してあるのは建前だけ。と割と何度か書いていますね。そしてゲンドウは自分に隠し事をされていることに破の序盤で気付いています。
【前編:空白の14年間編】では破のラスト時点で既にゲンドウとゼーレの関係は決裂しており、そしてサードインパクトはゼーレによって起こされてしまったわけですから、中断後に「なんでマニュアルに載って無かったことしたんですか?僕たち同じ目的を持った同志でしょ?本音があるなら教えてよ!」とメンヘラ彼女のごとく問い詰める出来事があったのだと予測しています。
ゼーレは本音を言うわけにはいきませんので(言ったらどんな妨害されるかわからないので)これを黙秘。そこからゲンドウとゼーレは一切の会話をしていない可能性大です。
でもゲンドウもゼーレの本音としての目的にはしっかり気付いています。ヴンダーの存在が動かぬ証拠ですから。
そしてその沈黙を破るのはゲンドウからでした。
この世界の神であるゼーレからもらった作業マニュアルを自分式に書き換えさせてもらう時が来ましたよ。と長い冷戦状態に終止符を打ちに出ます。
「あなた方も魂の形を変えたとはいえ、知恵の実を与えられた生命体だ」
「あなた方は我々に文明を与えてくれた」
のセリフからも、ゼーレはこの世界の人間とは魂の場所が違う別次元の存在だけど元々は人間だったのだろうと言っていますね。ゼーレが旧世界のインパクトで別次元に行ったことに気づいているようにも聞こえます。
「死を持ってあなた方の魂をあるべき場所へ還しましょう」
意味的には「あなた方との形骸化した協力関係はもう終わりです。私は私のやりたいインパクトを行いこれからあなた達を殺しに行きますからもう邪魔しないでくださいね。」と言った感じです。
これに対しゼーレの本音は「やるなって言われてるけど君のしようとしてるインパクトは我々が乗っ取っちゃうぞ〜!」なのですが、言うわけにはいかないので「良い。これで良い。」と返しています。
一応ゲンドウに渡していたマニュアル、建前で伝えていた「人類の魂を安らかに浄化(絶滅)させる」方はサードインパクトにより95%ぐらい叶っているので「我らの(建前としての)願いは全て叶った。」と強がるしかありません。
「諦観された神殺しは私が行いますので」
これはゲンドウが神(ゼーレ)殺しを行いますよ、の暗喩でもありますが、同時に「あなた方が本当に行いたかったのは魂の浄化なんかではなく神殺しですよね?知ってますよ?君らのこと全てお見通しですから〜!」といった意味も込められています。
サードインパクトを邪魔してきたのはゲンドウの方なのですから、やり返されて当然の気もしますけどね。
邪魔しておいて、自分のインパクトの時は邪魔してくんなって、自分勝手もいいとこですね。ゼーレさんもはらわた煮えくり返ってんじゃないでしょうか。すごく大人の対応をしたと思います。
ゼーレはインパクトが完了することを見届ける前に消えてしまいますが、ぶっちゃけもうゲンドウと言葉を交わす必要がなくなったから電源切られてもいいんです。
(強制的に冬月に電源を落とされているけどQ中盤でゲンドウに「時が来たらそのパイロットと13号機に乗れ」って言ってスポットライトが綾波からカヲル君に変わった時も裏で冬月が頑張って切り替えてんじゃないかと思ってしまう。)
ゲンドウはゼーレがいなくなり自由に思惑通りのインパクトを進めれることになった…と思いきや、ゼーレは物理的にゲンドウとの通信が途絶えたみたいなかんじなので死んだわけではなく、この世界への干渉能力は失われていません。
証拠にこの後しっかりとヴンダーへの執着を見せています。
これから先はゲンドウとゼーレが完全対立した戦局構造が展開されることを表したシーンですね。
お互い黙って足を引っ張り合いもっと関係が悪くなるぐらいなら、形だけでも「お別れの式」を執り行っておいた方がこれから先わだかまりなくやれるだろうという配慮なんでしょうね。
やっぱりゼーレは動き出す
ゼーレはゲンドウとの別れ話が終わったあと、あれだけ邪魔すんなと言われたのにMark9を使ってしれっと無言でヴンダーの乗っ取り作業を開始します。
ヴンダーを作ったのはヴィレではなくゼーレですしリツコが「Mark9はヴンダー本来の主」と言っていることから本来の動力源は全身がコアであるMark9であるとされます。
アダムスをベースに作られたMarkシリーズのエヴァはみんなS2機関をすでに備えていますからね。
しかしヴンダーがアダムスを素体にしているのなら、S2機関を元から備えているはずなのでわざわざ初号機を動力源にする必要もないような気がしますけど。
アダムス素体1体で戦艦を作るには電池が必要なぐらいパワーを使うんですかね。
ゼーレはヴンダーという箱舟でどうやって神殺しする?
シンジがカヲルに見せてもらった外の世界の様子、まず月が破までの月と同一とは思えないほど変わっている。旧作でインパクトにより人々の魂は黒き月に集められ網っぽい球体になりましたがそれに酷似しています。雲っぽいものもあるし異様に自転速度が速い。
インパクトで地球から送られてきた説とか、ヴィレの本拠地は月にある説とかいろいろあるけどいまいちわからんのです。
地球側の方も地上に開いた亀裂みたいなものをよくみたら歯が並んでて大きな口みたいに見える。(月へのワープゲート?なんて思ったりもした)
一つ分かることがあるとすれば全てサードインパクトでかなり作業が進んだからこうなったというだけで、どうやってこうなったのかってのはまーじでわかりませんが、まずゼーレとは神に楽園から追放されたサタンである説を思い出したい。
ゼーレはヴンダーを「神殺し」のために作りましたので、神殺しをしてくれる兵隊がインフィニティとすればそれを運ぶ戦艦がヴンダーであると思います。
なので綱々の月の方には人類の魂を閉じ込めて(ストックして)おいて、真っ赤にコア化した地球はインフィニティ製造工場としての機能を持たせる。なんてのはどうでしょうか?(妄想すぎてすみません)
もしかして地球をすべてコアにしてまた第一始祖民族となって宇宙全体にインフィニティをばら撒くつもり?とか
考えだすといろいろぶっ飛んだスケールのことばかり思い浮かんでしまいます。忘れてください。
とにかくゼーレが目的を叶えるためにはヴィレからヴンダーを取り戻すことが最重要事項です。
Mark9に乗ったアヤナミレイはヴンダーの制御を奪い返そうと交戦開始。すると内部のアヤナミレイのコックピットにはゼーレのマークが浮かび上がり、レイの操縦はきかなくなる。
このことから、ゼーレは電源を落とされても外部からまだこの世界に干渉できることがわかります。正確には干渉手段をあらかじめMark9に仕込んでいたというところでしょうか。
Mark9は自律稼働できる
Mark9がヴンダーにくっつくまではレイが与えられていた命令をこなしただけですが、そこからレイは操縦が効かなくなりました。そのためヴンダーの指揮系統を乗っ取ろうとしたり2号機と交戦したのはレイの操縦ではありません。
この時Mark9の本当の顔が出てきますね。悪そうな顔ですごく好きなんだぁ…Mark6の次に好き。
レイが脱出した後にもパイロット不在になったはずのMark9は2号機に自律的に噛み付いています。
このことからMark9はパイロットが乗っていなくてもゼーレの命令を実行できるよう自律稼働できる状態にあらかじめされていたと考えることができます。
マリはQ序盤でシンジを誘拐しにきた零号機に擬態したMark9の頭を吹っ飛ばした後に「やっぱし、アダムスの器か!?」と言っていることから、Mark9がアダムス素体であることになんとなく気づいています。
なのでマリはレイに対して「ゼーレの暫定パイロットさーん。アダムスの器(そいつが自律稼働を始める)になる前にそっから出た方がいいよ」とあらかじめ警告しています。
13号機はアダムスの“生き残り”でMark9はアダムスの“器“何の違い?
アダムスは使徒なので単体でトリガーになることができるはずです。
ですが、ほっといても勝手に歩いてドグマに行ってくれるわけではありませんので、自由に動かすためにはエヴァの形にするかヒト(渚カヲル)の形にするのが良いです。
しかし、エヴァの形にすると、魂が無い状態になってしまうので今度はパイロットが乗っていないとトリガーにはなれないのです。肉体と魂の両方が揃っていないといけないという決まりなので…
エヴァ世界の設定では肉体は魂の“器“であることから、魂が入っていないものはただの器でしかないということになります。
この場合、コアの中に魂を入れてある初号機状態であっても、パイロットが乗っていなければ魂が入っていないのと同じ扱いになります。
13号機は片側アダムス、もう片側がアダムスのコピー素体と仮定しても、カヲルとシンジの2つの魂が乗っていたから魂と肉体の揃った状態。
Mark6もアダムスの肉体に同じくアダムスの魂を持ったカヲルが乗ってこそ真のエヴァンゲリオンたれたということですね。(なのでダミープラグを入れてしまうと真のエヴァンゲリオンでは無くなってしまう)
単純に「生き残り」というのは「セカンドインパクトで封印されたはずのアダムスの肉体を転用した生き残り」という意味ではないでしょうか。
Mark9は魂の場所が違うアヤナミレイが乗っているので、実質魂は乗っていないのと同じ状態。つまりアヤナミレイ自身も“器”だけの状態なのでMark9にはダミープラグ以下のものが乗っていると言っても過言ではありません。肉体しかない状態だから「アダムスの“器”」なんですね。
そして人としても模造品でダミープラグ以下の魂しかないアヤナミレイは本来のパイロットとして不相応、つまり“暫定”パイロットということになります。
マリがレイに対し早く脱出した方が良いと忠告したのは本来の魂を持ってないお前だとMark9が自律稼働始めたらどうなってしまうかわかんないぞという理由からです。(多分吸収されるか精神汚染されて最悪死ぬ)
どうしてMark9だけ自律稼働できるのか?
ヴンダーの主とするためにパイロット不在でもゼーレの命令をこなせるようにしておく必要があったからだと思います。
でも問題の、どうやってそうしたのかというところですが、
エヴァの世界において、Mark9の他にパイロットが危険状態に陥った時に目覚め、パイロットのために戦ってくれたり、ダミープラグも拒絶できたりする機体…覚えがありませんか?
そうです!ユイがコアにダイレクトエントリーしてる初号機です!
これと全くおんなじで、Mark9のコアにもアダムスの魂を内蔵していると思われます。
ヴンダーには魂入ってるのか分からない。入ってたらヴィレが乗ってても自律稼働されちゃいそうなんで入って無いと思うんですけどね。
他のアダムス製機体については空白の14年間でサードインパクトを起こす際、綾波4姉妹をゼーレによって運命を仕組まれた子供達とするのなら、Mark6にはカヲル、Mark11(仮称)、Mark12(仮称)には元からパイロットを乗せる前提で作っていたのでコアに魂を入れておく必要はないと考えたんじゃないかと思います。
(今作の人型になったアダムス渚カヲルはシンジがめっちゃ好きだけど、アダムス=カヲルクローン体説でいくと、アダムスの肉体を使って、コアに魂も入れてもらえてるMark9って実はめちゃくちゃシンジのこと好きな可能性を秘めたエヴァってことになるのでは?!と思ってしまいました。)
意思が生まれたアヤナミレイ
操縦がきかなくなり「こんな時、綾波レイならどうするの」と、どうしたら良いのか分からないアヤナミレイに、「あんたはどうしたいの!?」とアスカが聞き返す。
今まで自分の意思で何も決定できなかったクローン綾波が自分の意思でMark9から脱出します。「死にたくないという意思(リビドー)」が芽生えたということなのでしょう。
ドグマ降下中にカヲルに「(彼女は)魂の場所が違うからね」と言われていたことから、自分の意思が無いという意味で魂の場所が違ったとも取れる。
QラストにシンジのS−DATを拾ってついて来たのも自分の意思と見れば、もしかしたら魂の場所が変わってきつつあるのかもしれない。
今作はシンジが大人になる物語
シンジの分も責任をとるカヲル
Qではアスカが結構な頻度でシンジのことを「ガキね」「ガキシンジ!」「やめろバカガキー!!」と罵っています。
実は破でも3号機事件のあと、初号機で籠城したシンジに対しゲンドウが「シンジ、大人になれ」と言っています。
Qでの惨劇は周りはみんな大人になっていたのにシンジがまだ大人の考えになっていないことのギャップから引き起こされたとも言えます。(まだ精神年齢14歳なんだから仕方のないことなのですが…)
Qという物語は次回作シンで大人になっていくシンジへの布石。
新劇場版は全ての作品を通してシンジの心の成長を描いています。特に破が顕著ですね。
Qは14年後の世界ということもあり、シンジ以外の登場人物の年齢も上がっているし、アスカとマリも見た目は変わらないけど精神年齢はもう28〜30なんですよね。マリにいたってはユイ同級生説がただしければ40代。
なのでQではシンジ君の自立心の無い子供な感じが嫌に目立ってしまいます。
まぁ昨日綾波を助けたと思って朝起きたら14年後になってたみたいな感じなので無理もないです。
卒業という一種の儀式を経て大人になる自覚を持ったでもなく、昨日まで年相応に過ごしていたのに次の日突然周りから「大人になれ」「大人として振る舞え」あげくに「ガキ」と言われても、大人ってそうすぐにはなれないもんよ。余計に反抗期が激化するだけ。
周りの大人にも説明責任はあると感じた物語。大人になるためにはちゃんと自分に向き合ってくれて説明してくれる誰かの存在もまた必要なんですね。それがQではカヲルに当たるのだと思います。
槍を抜く時カヲルに制止されても「カヲル君が言ったんじゃないか!」と責任転嫁するシンジ(しかもちょっと強情なのが厄介。カヲルはシンジのこと否定しない人だからさらに状況が悪い)に対し、カヲルはガキのままのシンジの行動に大人として責任をとった。いわば保護者なのでしょう。
(序破の時点で14歳のシンジ君の保護者は29歳のミサトさんだった。Qでは14歳のままのシンジ君の保護者は精神年齢29歳のカヲル。謎の偶然の一致)
この大人としての精神を持っているQカヲル、やっぱり14年間で獲得したんだろうなぁ。
そうなればシンで新たに登場するカヲルは幼い性格になる可能性もある。(あくまで精神が大人のQカヲル君と比較して、旧作でのカヲルにより近くなるイメージ)
とにかく次回作シンでのキーワードはシンジ君が「大人になる」ことなのでしょう。
「また会えるよ、シンジ君」
次回作シンの予告「特報2」ではコア化してないであろう場所に別のカヲルがいるカットがあります。(シン・カヲルと呼称させていただきます)
ミサトさんのナレーション「たどり着いた場所が彼(シンジ)に安らぎを教える」はもしかしたらこの場所なのかな〜と。
でも私はシン・カヲルとシンジの出会いが再会ではないと思っています。序破Qカヲルとシン・カヲルは別個体でしょうから。
Qラストでカヲルのセリフ「魂は消えても願いや呪いはこの世界に残り、いつか自身も書き換えていくんだ」
多分Qカヲルはシンで登場するカヲルがいることはわかっており、そのカヲルもシンジ君を幸せにしたいと思うだろうことを知っている。
でもQで過ごしたシンジ君との記憶はシン・カヲルには引き継げない。(綾波クローンと同じでパソコンみたいなもの。出荷時にインストールされている初期情報はみんな同じだけど、購入後に各々で入れたソフトや作ったデータは別の個体に全く同じように引き継ぐことはできない)
でも(シンジを幸せにしたいという)願いや(ゲンドウ許さないからなっていう)呪いはこの世界に残り、いつか(新しく生まれたカヲル)自身も書き換えてくれる。
という意味かな?と私は考えています。
多分6体目のカヲルはQで登場したアヤナミレイみたいに「知らない」とか言わなさそう。Qでの記憶はなくてもシンジ君を幸せにしたいのはアダムスから生まれる渚カヲルという人型使徒の初期インストールとなっておりますので。
そしたらQカヲルとシンジは会えるのか?じゃあ「特報2」で出てきたシン・カヲルはなんのためにいるのか?シンジの幻覚か??これに関しては次回【第4章】でしっかり考察していきます。
カヲルとマリの共通点
破でマリが「そうやっていじけていたって何にもいいことなんてないよ」
Qではカヲルが「そうしてつらい感情の記憶ばかりをリフレインさせてもいい事は何も生まれない」と似たセリフを言っています。
マリはよく歌を口ずさみ今作のカヲルはピアノを愛好していますが旧作のカヲルは歌うのが好きです。
そしてマリは13号機がダブルエントリーで、フォースインパクトを止めるためにカヲルが自死を選び後始末をしようとしたことを理解している。
なんとなーくですが、マリとカヲルは協力関係にあったんじゃないか?とふと思ってしまいました。単純に似た部分があるだけなのでまだ根拠に欠けるのですが。
なぜマリがカヲルを知っていると考えているかというと、カヲルがフォースインパクトを止めようと13号機に槍を2本刺して、なおかつ自死を選んだ直後、マリはシンジに「後始末は済んだ!」と言うことからです。
この後始末とは誰がやってくれたことを指しているかと言うと、カヲルのことだと思うんです。単純に誰かは分からず、「お前の相方が命張ってくれたんだからぐずるな!」と言っている可能性もないことはないとは思いますが。
それでも13号機が2人乗りってことはマリにはわかっているんですよ。
一応顔見知りになっている可能性があるとしたらサードインパクト発動前、ネルフ職員が幽閉されている時マリはそれを逃れているかそもそもゼーレチルドレンとして潜入していると思われるので一時的にネルフの指令になっているカヲルの存在を認知することはできそうですからね。
もしかしたら好きな人の願いを叶えようとして行動するところも似てるのかもな?と考えてみたりもしました。
マリがユイの同級生説が本当なら、マリはユイの願いを叶えたくて行動してるのかな〜っと。
カヲルはカヲルでユイと考え方がすごく似てますからね。「生きてさえいればどんな状況でも幸せになるチャンスはある」という考え方が。
案外マリとカヲルは話してみたら気が合うかもしれませんね。
このあたり、掘り下げて考える機会があれば追記します。
この物語のもうひとつのキーワード「2人(ひとりじゃない)」
カヲルがよく口にしていましたね。「2人ってすごいね。」と
マリも「1人じゃないの」って曲を口ずさんでいます。
序の副題「YOU ARE (NOT) ALONE.」も「あなたは1人じゃない」なんですよね。
2人なら喜びも2倍。2人なら苦しみも悲しみも分かち合える。2人ならなんでもできる。
シンジにはカヲルが、アスカにはマリがそれを教えてくれる存在なのかもしれませんよね。
次回作では2号機と8号機も合体するみたいですし、ダブルエントリーシステムの可能性に期待ですね。
(しかしニコイチ型のカラーリング、ちょっとダサ…)
「ひどい有り様だな。ほとんどがゼーレの目論見み通りだ。」
冬月のセリフの意味。フォースインパクト戦で勢力図はどうなったのでしょうか。どの勢力に軍配が上がったのか。
結論から言うと「フォースインパクトの中断に成功し、ヴンダーを守り切れたヴィレの辛勝」 です。
ヴィレ↓
Mark9の妨害により13号機を押さえ込むことはできず、ミサトはもうシンジが思い直してくれることに賭けるしかなくなってしまう。しかしシンジはカヲルの死によるショックで何も行動は起こせず。
Mark9を巻き込んだ2号機の自爆でヴンダーの死守、マリが13号機からシンジのエントリープラグを強制射出させたことでインパクトの中断に成功するが痛手が大きく撤退を余儀なくされる。
ゲンドウ↓
「葛城大佐の動きも計算内だ」と言っているあたり、ヴィレが妨害に来ることは分かっている。
「最後の契約の時がくる。もうすぐ会えるな、ユイ。」と言っていたことから、むしろリリスとなった初号機を連れたヴンダーに来てもらうのは必要なこと。
13号機を覚醒まで持っていき、ゲンドウもうまくいけばそのまま13号機にダイレクトエントリーしてフォースインパクトで全部終わらせるつもりだったのかもしれません。
しかしゼーレの妨害があり初号機の回収は難しく、今回は自分主導のインパクトにならないことが確定。諦めてヴィレに止めてもらうことに。
ゼーレ↓
ゲンドウにチャチャ入れるなと言われたけどインパクトを乗っ取りヴンダーを取り返すために介入し、しっちゃかめっちゃかな状況に。
保険までかけたのにマリがシンジのプラグを強制射出させガフの扉を閉じたしヴンダーも取り返せず、主機予定のMark9も失ってしまい実は今回一番形勢が悪くなってしまった勢力。
いろんな持ち駒を無くしてしまい、一気に不利な状況に立たされたのはゼーレですが、ゲンドウ式インパクトを邪魔することが目論見だから冬月は「ゼーレの目論見通りになってしまった。」と言いました。
ですがゲンドウはついに道具が全て揃いました。お互い次回のファイナルインパクトに向けて頑張るつもりなんでしょう。
Qラストの「ガキシンジ、助けてくれないんだ私を」のセリフは
破で使徒に侵食され暴走した3号機戦でシンジはアスカが乗っていることを理由に戦闘を拒否しました。
戦っていればエントリープラグを引き抜くなりいろいろ対策は取れたかもしれませんがね…なのにゼルエル戦で綾波は助けようとした。
多分そういう嫉妬を1度目として、Qラストでマリに「せめて姫(アスカ)だけは助けろ!」と叱責されています。シンジはもちろんカヲルの死後なので心神喪失でこれを無視。つまり助けていないので「私は助けてくれないんだ」になります。
(ついでに旧作で量産機にボコされるアスカを助けてくれなかったシンジの記憶もあったりしてね。ちなみに漫画版の方はストーリー展開は旧作と一緒ですが、なんとアスカを助けるために量産機と戦っています。よかったら読んでみてくださいね。)
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ということでQ本編の内容解説でした!
Qの理解度が高まっておけば次回作「シン・エヴァンゲリオン:‖」をもっと楽しむ準備ができるかと思います。
Qストーリー内で空白の14年間に関わりそうなものは全部【前編:空白の14年間編】に書いていたりするので、そちらも合わせて読んでいただけますと幸いです。
見落としていた部分や、新たに思いついたことがあれば追記していきます。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
【第4章】では次回作の「シン・エヴァンゲリオン:‖」の内容となってくる
ヴィレとの合流を目指すアスカ達一行のゆくえ、2号機と8号機の修理に奮闘するヴィレの動き、持ち駒の補充に焦るゼーレの打開策、13号機へのダイレクトエントリーでファイナルインパクトを目指すゲンドウの方法とは、そしてどの“神“が殺されるのか、反復記号:‖が表すものについて考察していきます。
第3章 後編のポイント!
POINT①ゼーレもゲンドウも14年間シンジを待っていた!
サードインパクトでいろいろやらかしたせいでシンジがいなければインパクトが起こせない状況になっている!
POINT②Qラスト時点で第1使徒は13号機、第2使徒は初号機になっている!
13号機をアダムス、初号機をリリスにすることこそがゲンドウの目的!
POINT③電源落としたぐらいじゃゼーレは死なない!
まだまだ干渉できるしヴンダーにご執心だよ!全力でゲンドウの邪魔してくるよ!
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