聖光・栄光・浅野の2021国語の雑感

今回は神奈川の男子校の雑感を述べていきます!

◎聖光学院

首都圏の男子校のトップ層の中では、いたって普通の問題を出す学校ですね。記号選択が中心で、記述は60字まで。はっきり言って特別な対策は一切必要ないです。r4の偏差値は69ですが、問題だけ見たら60と言われてもおかしくない難易度です。それが何を意味するかというと、男子トップ校の中では断トツで正確性重視の入試になっているということです。他の首都圏男子トップ校はくせのある記述が出るところがほとんどで、男子は国語苦手な子が多いこともあり、多少やらかしてもどこかでばちんと合わせた問題があれば挽回ができるんじゃないかと思っています。しかし、聖光の国語は受験者のレベルに対して問題が平易なので、一問のミスが命取りになるのではないかと思いました。 また、今年は知識題が難しく(特に和語は難しかったです。「物見高い」がすぐ出てこなくてあせりました笑)、ほんのちょっと知識が出来なくて涙を飲んだお子さんもいらっしゃったかもしれません。

問題の中心を占める記号選択は、客観的で正確な読みを求める傾向が他の学校より強いなと感じました。筑駒とか開成は一般的な子供には思いつかないような思考のキレを求める問題を出すと感じますし、麻布なんかは(国語の範疇ギリギリで)自由な発想を求める問題を出すと感じます。それに対して聖光は読み取ったものを脚色せずにそのままアウトプットできるかが問われていると感じました。選択肢を見ていくと、正解の選択肢は100%本文のまま表しているのに対して、ダミーの選択肢は本文の内容に約20%余計な内容を付け足しているものが多いなと感じました。よく言われる、「自分でストーリーを作っちゃう」タイプの子には解きづらい問題かもしれません。出題者がこれを答えにしたいという問題ではなく、客観的に読んだらこれぐらい控えめな内容の方が答えにふさわしいよねっていう問題です。他の男子トップ校はまちがえてもいいからアクセルベタ踏みで突っ込んでこいよという問題が多いですが、聖光は安全運転で走りきることを求めているという印象でした。

あ、ここまで褒めてばかりでしたが、物語文の問2は現在ネット上で発表されている解答と私の答え、それぞれバラバラでしたね。私は先生の心情に関する学生の言葉を踏まえてオにしましたが、問われているのはあくまで先生自身の心情であり、それが100%確定できる表現はないですね。この問題だけちょっと踏み込みすぎて作っちゃったなと思いました。

◎栄光学園

実は塾に勤めていたときに3年ぐらい栄光の解答・解説を作っていたことがあって、栄光はそこそこ知ってるつもりだったんです。久しぶりに解いてみての印象は、「あれ、作成者変わった??」ですね。数年前の栄光の問題って洗練された武蔵って印象だったんですよね。本文の複数箇所を余すことなくまとめなければならない、でも解答の枠は小さめで武蔵みたいに冗長に書いていいわけではないから、余計な表現はできるだけ切り詰めなきゃならないという感じでした。

今年は本文全体から複数箇所をまとめるような問いは一問だけでしたね。そういったタイプの問題より、あまり親切でない問い方(「~とは何ですか?どういうことですか?」)に対して簡潔に答えたり、文脈を読み取り、抽象的な表現を簡潔に説明したりという、灘の二日目とかJGみたいな問題の方が増えていましたね。個人的には洗練された武蔵時代の方が好きですし、そのころの方が難しかったと思います。

論説文で意味段落分けの問題が出ていましたが、これぼくは好きじゃないですね笑。そもそも問題にしちゃいけないんじゃないかと思います。現在、ネットに公開されている解答が正しいと仮定して、その理由を述べます。

・4~12段落にかけて、主張→理由①→理由②という構造なのに、答えは主張・理由①/理由②という分け方になっている。

・13~16段落にかけて、問題提起→主張となっていて、答えも問題提起/主張という分け方になっている。この部分の内容としては違和感ないが、上記の4~12段落の分け方と矛盾を感じる。また、意味段落の切れ目である14段落の冒頭が指示語で始まることももやっとする。

って感じです。筆者が本当にこういう意味段落を意図して書いているか非常に気になる問題でした。

ぶっちゃけ、国語の問題の質は数年前の方がよかったなあwww

◎浅野

難しいです。問題だけ比べたら聖光より難しいと感じました。記述は簡単です。そもそもの文章の理解(物語)と、記号選択・抜き出しが一筋縄ではいかなかったです。記述ごり押しじゃない難しさという意味では、男子校よりも女子校・共学の問題に近しい印象です。

まず、物語の読解から。最初にオチが示唆されるシーンがあって、そのあとに現在の状況が謎めいた形で語られる。そして最後に回想シーンで謎が明らかになるという構造です。順を追って筋を説明してくれるタイプでないので、国語苦手な男子は相当きつかったのではないでしょうか。そして、その理解しにくい構造が問2の抜き出し問題に巧妙に利用されています。序盤に空欄があり、そこに当てはまる表現を抜き出すのですが、空欄前後を一読しただけではよほどセンスのいい子でないと答えは出ません。回想シーンのオチから答えを抜き出すのかと思ったら、オチを踏まえて答えはオチを示唆している冒頭から!!いやあ、いい問題です。実際に試験を受ける場合は、この問題は後回しにしていいと思います。

記述は簡単ですが、記号選択は一つ一つの選択肢が長かったり、空欄補充型のものが多かったりですね。また、関西の人間にとってはTHE西大和という印象の乱文整序も出題されました。記述って非常に乱暴な言い方をすると、大雑把に読み取って、洗練された表現でなくともごり押しで埋めてしまえば部分点がもらえます。そういう意味では、芝のようなそこまで難易度の高くない記述ごり押しの問題を私は国語苦手男子への救済処置だと考えています。それに対して、浅野の記号選択中心の問題は繊細な読みを求めてきますね。一つでも踏み外したら×ですから。長い選択肢を分析して各選択肢の差異を把握し、本文と照らし合わせる能力は必須です。また、空欄補充型の記号選択は、表面的に文意が通るか否かではなく、きちんと本文中の根拠を掴む能力が必要です。まあ合格者平均が約65%なので、そこまで怯えなくていいかもしれません。ちなみに聖光の合格者平均は公表されていませんが、少なくとも75%、ひょっとすると80%以上あるんじゃないかと思っています。

論説文ですが、昔、桜蔭でもあった、国公立系の学校がよくやる文章二つを読ませる問題でした。でも、二つの文章の共通点や違いを答えさせるような問題は最後の記号選択一つだけで、わざわざ二つの文章を出す意味はあるのかなあと個人的には思いました笑


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