お母様方の添削をしてみた

ちょっと前になるのですが、突発的にお母様方の答案を募集して、添削をしてみました。添削にはどんな意義・効果があるかを検証したいと思ったのですが、やる気が出なくなってしまい、継続的にはできていません!せっかくなので一回目ぐらいは記録として残しておこうと思います。

今回使用したのは2014年の市川の問題です。答案だけでなく、問題用紙にも書きこみをしたのですが、著作権の関係でアップできるのは答案のみです。

Aさんの場合

実際の入試問題の難易度、どの程度の力が小学生に求められるのか、本文中のどこに印をつけるべきか知りたいというAさんの答案がこちら。

添削の限界が出ていると思います。添削はできていないところを指摘するツールであって、できる人をさらに伸ばすツールとしては運用しにくい面があるかもしれません。適度に間違えてくれないとあまり効果がないです。とりあえず難易度が知りたいということだったので、申し訳程度に難しい問題にチェックを入れました。あと、物語文は人物関係を抑えることが重要な文章だったので、本文の該当箇所に線を引いて返却しています。

Bさんの場合

選択問題の解答の根拠がどこなのか、記述はどのように書けばいいのか知りたいというBさんの答案がこちら。

講師目線で言うと負担が少なく、かつピンポイントで指導ができる答案でした。対比などかなり長い記述の文末、どことどこを対応させた解答にすべきか、問題文の「具体的に」という指示に対してどこまで答えるべきかということを書いています。添削によって与えられる情報量がそこまで多くなく、これぐらいなら負担にならずに復習できるかなと思いました。この他に問題文の印をつけるべき箇所についても本文に書きこんで返却しています。

Cさんの場合

説明文を読むべき時に気をつけるポイントを知りたいというCさんの答案がこちら。

だいぶ書き込みの情報量が増えてきました。いい感じの誤答例になっていますね。対比の記述だから何と何の対比を明らかにする、答えの中心は2つあるはずなのに片方しか書かれていない、傍線部の説明をすべきなのに傍線部をそのまま使っているので得点に結びつかないということを指摘しました。これらをすべて直して書き直せばなかなかな勉強になるはずなんですが、子供たち、特に国語が苦手な子はそこまでのやり直しはできているのでしょうか…?この他に本文の線を引くべき箇所と間違えた選択問題の解説を問題文に書きこんで返却しています。

Dさんの場合

自分の国語力の何が問題なのか、選択問題の微妙な違いを説明してほしいというDさんの答案がこちら。

※Dさんは問題文に書きこんで返却していないため、他の方より情報量が多くなっています。

失礼な言い方になって申し訳ないのですが、とても生徒に似た答案を作っていただけました。Dさんには自分のどこが問題か知りたいと聞かれていましたが(すみません、返信できていませんでした…)、内容を理解できていないまま自分でも理解できない答えを出しているところかと思われます。対比の記述が本当に生徒が書きそうな答えなのですが、おそらく書いた本人が読んでも意味がわからないのだと思います。書いた本人が理解できない文ですから、採点者も理解できずに苦しむのです。でも、ばっさりバツをつけてしまうと子どもはやる気をなくすので何とか点をあげようとする。そのために何度も読み直すことになり、時間がかかるわけです笑。しかし、これを返却したDさんの反応は、わかったようなわからないような、やっぱり自分には書けそうもないというものでした。そうなんですよ!これはDさんや子供たちが悪いわけではないと思うのです。いきなり添削で大量の情報を与えられて、それを自分で咀嚼できるならそもそも国語ができているはずです笑。ただ、講師としては間違えているところを見過ごすわけにもいかない…ここに添削のパラドックスが潜んでいるなと改めて考えさせられました。

まとめ

添削って、やはりある程度力のついている生徒の最後の調整という形が一番講師も生徒も幸せになれるものだと思いました。むしろ併願校なんかで簡単すぎる場合は添削すらいらないですね。

国語が苦手な生徒は、添削を返してもらった後が大事ですね。できることなら返却時に講師にマンツーマンで指導してもらうのがいいです。ただ、私自身の経験を振り返っても、1月に30~40人のクラスを3つぐらい回って授業する日に、授業前後とはいえ生徒一人に対して10分割く余裕はなかったですね。溜め込んだ添削を持って各教室に回り、生徒に返却しながら一言かけるのが精いっぱいでした。だから、返された添削をそのままカバンにしまわずに、じっくり読み直して納得できないところはもう一度質問にいくという姿勢が必要です。けれども、多くの生徒は過去問を解いて添削してもらったということだけで満足しちゃうんですけどね笑

好評だったらまたやるかもしれません。無反応がつらいので何か反応をまってまーす。


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