ネット広告無法地帯 ~詐欺誘導に気を付けよう~
タレントの菊地亜美が「私のライザップ広告画像を無断使用して広告を出しているところがある」と注意喚起をしている、というニュースを少し前に見た。
要するに昔ライザップによってやせた画像を無断で使用し、あたかも別の商品(漢方)によってやせたように見せるということだ。そしてそれを見た人が「こんなにやせるのか」と信じ込んで購入…という流れがあるらしい。
ファンなら「ライザップの時のやつじゃん」と気づいてもよさそうな気もするが、まあファンだけが買うとも限らないし、とにかく騙されないように気を付けようとしか言えない。そもそも大前提として、過剰な効果を謳うものは全部疑ってかかるべき、というのがある。
正直、こういった広告は悪質どころか普通に違法であるが、いっこうに出稿が収まる気配がない。それは結局広告掲載料さえ払えばいいだろという背景があるのだと思われる。「広告料を払ってくれているなら違法な内容でも出します」と言っているに等しいわけだが、それについて先日も元ZOZOの前澤友作が訴えていた。自分の写真を無駄に使われて詐欺の広告を出されている、ということで広告掲載元へ抗議したところ「なるべく許可しないようにするけど全部はチェックできないのでごめんね」みたいな内容で憤っていた。
まあ、実際こういったものは海外の業者がやっているようで、日本語が怪しいパターンも多く「株の神様森永卓郎のLINEを今すぐ追加LINE」みたいなことが書かれてたりする。そもそも株の神様でもないし頭が悪すぎる文章ではあるが、最近は学習してきたのか以前よりちゃんとした文章になっていたりして、信じてしまう人も多くなったのだろう。
もちろん「よく見ればおかしい」という箇所はあるが、人間、なんでもかんでもよく見るわけではない。なんとなく無料登録したら儲かる情報教えてくれるのかな、程度でやってしまうのだろう。
前出の前澤友作や森永卓郎以外にも、ホリエモンバージョンも見たことがある。実際の人物のファンだったり言動をよく知っている人であれば「この人がこんなのを始めるわけがない」と見抜けるのだろうが、なんとなく「お金もうけに詳しい人」くらいのイメージしか持っていない層が引っかかるのだろうか。
しかし、前述の例からして、こういうのは「メディア側が取り締まる」というのがあまり期待できない。表立って認めることはないにしても「こちらとしてはルールは提示していたし善意の第三者なので」くらいで茶を濁せる。まあだから「変な集会は禁止!」と言って会場を貸してたけどいちいち見に行くわけではないし、知らない間にそういう目的に使われててもそりゃわかりませんよ、という感じだろう。
何より、取り締まったことによって被害が防げるとしても、それによって企業に何かお金が入るわけではない。しかし「取り締まれなかった」ものに関しては広告料が入る。となるとあとは信用の問題である。「違法な広告を放置する企業」ということでどれくらい評判が下がるのか、もし株価に影響するようなら実害があるのでまあ対処するかとなるだろうが、それにどれほどコストがかけられるのかというのもある。
飲食店に例えると、「ガラが悪いし他の客が嫌がるけど、たくさん注文はしてくれる困った常連」みたいな感じだろうか。それによって他の客が来なくなるようなら対処しないといけないが、一応他の客は来るとなればどこで線を引くかが難しい。悪法も法、悪人も客人というわけだ。
まあただ、これがちょっとウザったい広告(何度も出るとか、内容がくどいとか)であれば困ったで済むのだが、そもそも詐欺なんだからそこはどうにかしなさいよという気持ちがある。詐欺であり、肖像権侵害であり、当然規約違反でもあるので。
てなことを書きかけて一週間くらい放置していたら、「前澤友作が詐欺広告について法的措置を検討」といったニュースが出ていて驚いた。前澤氏が自ら情報収集したところによると、こういった有名人画像を使用した詐欺広告被害は、被害額約20億円近いらしい。びっくり。何人騙されているのかまではわからないが。これらはもちろん前澤氏だけのものでなく、前述した森永卓郎などのものも含んでいる。「LINEに登録するように促される→優良株情報を教えるなどの名目で詐欺サイトなどに誘導される」という流れらしい。
ニュース元は以下。
いろんなプロジェクトを発表しては人を集めている前澤氏だけに、今後何かをやろうとした時に「これは本物か」「また詐欺じゃないか」という疑いをかけられることで実害があるというのも大きいだろう。
ちなみに前澤氏のプロジェクト自体がどれくらい動いたり成功したりしているのかは知らない。「前澤ジャンボくじ」みたいなのをやって、1回結果を見るごとに広告を見ることになってて、「130回も広告見たのに全部ハズレた、クソが」と憤ってる人がいるのは見た。「ジャンボくじ1000万円当たりました」といって合成画像をアップする人もいた。まあ大半は「ハズレでしたーw」「10円当たりました~w」程度の軽いものだったが。どうでもいいがこういう時の広告はちゃんとしたやつだったのだろうか。ここを無差別な広告枠にしてたので詐欺広告混じってたとかならオイオイとなるが、まあさすがにチェックしてるんだろう。
ただ、一連のお金贈り運動が「外れた人へ、私は本当に配ります」みたいな詐欺アカウントを増殖させた背景もあるんだよなぁ…。別に前澤氏が悪いわけじゃないが。
サポートいただけた場合、新しい刺激を得るため、様々なインプットに使用させていただきます。その後アウトプットに活かします、たぶん。