バンコクマダム連載コラム『タイ生活』より  第15話・・・「BTS」

タイ暮らしを初めた1990年頃、誰がバンコクにBTS(スカイトレイン)が開通するなんて思っただろう。BTSは、今ではバンコク市内移動の要だ。BTSのないバンコクなんて・・・・・
開通当時は、市内移動の花形であるバスより料金もかなり高いし安全性に対しても多くの人が不安を持っていただろうし乗客も余り多くなかった。それが今では朝・夕のラッシュ時には乗り切れずにホームに残される人がたくさんいる有り様だ。3両編成だったのが4両編成にされたけどそれでも追いついていない。
先日、ラッシュ時にBTSで移動する用があった。電車が来てドアが開いてもどのドアも既に満員状態で新たに乗客が乗り込める余裕のあるドアはない。
ちょうど私の待っていた場所のドアには何となく入り込めそうなスペースがあった。チビの私一人ぐらい大丈夫だろう・・・と、ちょうどドアの真ん中辺りにあるスペースに乗り込んだ。ピピピピ―ッ。ドアが閉まる合図が響き渡る。ドアに挟まれないように足先やカバンに注意しお腹にも力を入れてグッと引っ込めた。そしてドアが閉まった。『あぁ、無事に乗り込めた・・』
とホッとしたのもつかの間。あああ!なんと、前髪がドアに挟まれていた。しかも、ガッシリと。引っ張ってもとれない。次の駅までこの体勢でいるしかない。仕方ないので前髪が挟まっていることを周りの人に悟られないようにドアにもたれているふりをする。
こんな時にツラいのがゲラの性分。笑いが身体の底から湧き起ってくるのだ。我慢するけど顔はにやけるし身体はブルブル震えてしまう。
「早く次の駅に着いてくれーいっ!」と心で叫ぶしかなかった。
BTSではワタシ的に「困った人」によく遭遇する。
①手すりにもたれかかる人。一本の手すりには何人もの人がつかまって体を支えることができるのに一人の人がもたれかかってしまうと独占状態になって他の人が使えない。ご本人は気づいてない場合が多いが混み合った車内では他の人にはご迷惑だといつも思っていたのに、先日夫とBTSで一緒に出かけた時、なんと夫が手すりにもたれ掛かった。思わず、ギューっと夫をつねり上げてしまった。
②乗車の際、「乗る人はドアの両脇から」とホームの足元に矢印が描いてあるにも関わらず、ドアの真正面で待ち受け、降りる人を待たずに乗り込もうとする人。私の個人的観察では、若いタイ人女性の場合が多い気がする。駅に着き、私が降りようとドアの内側にいる。若い女性が電車に乗ろうとドアの外側のど真ん中に立っている。睨み合いみたいな形でドアが開く。「いざ勝負」と心の中で気合を入れあえて避けずに突進する。「乗る人はドアの横の方から降りる人が降りてからの乗車やろっ」と声に出さずパワーを送りながら・・・
しかし、悲しいかな、チビの私はふっ飛ばされ「もぅー、邪魔なおばちゃんっ、フンッ」と思われるのがオチなのだ。とほほほ・・・



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これは、タイのフリーペーパー『バンコクマダム』に2013年から連載させてもらっているコラムをちょこっと編集し、まとめておきたくて書き留めています。


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