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めちゃくちゃかっこいい遅刻の理由

今朝の通勤時、JRの車掌さんのイライラしたアナウンスが聞こえて来た。
「ドアが閉められませんっ!手荷物をお引き下さいっ。」

・・・・そらそうやろ。
車掌さんがイライラするのもよく分かる。
このアナウンスも3回目。
ドアの開け閉めを繰り返すも何処かのドアで誰かの荷物がはさまるのだろう。何度もとなるとそら車掌さんもイライラする。
私も、「えっ!またかいな・・・」って思った。

荷物の持ち主にしたら、
「こんなに満員やったら引くにも引けんわ。」
と思ってはるかもやけどなんせ電車が一向に発車できない。

この頃は安全確認やちょっとしたことで電車がよく止まる。
安全の為には必要な対処なのだろう。
そう思うと、40年ほど前の私が高校生の頃のゆるさは何だったんだ・・・
今思うと笑える。

私の通っていた高校はJR天王寺駅から環状線内回りで二駅目の駅が最寄り駅だった。
ターミナル駅である天王寺はラッシュ時は駅も電車も人でごった返す。
その日も満員の電車に友達とどうにかもぐり込んだところでドアが閉まった。
間もなく電車が動き出す。
やれやれ~、間に合った~

と、間もなく友達が
「あっ・・・・・・どうしよ。」
と、顔を強張らせた。

何事??

彼女の身に起こったことを悟った私は彼女のように顔を強張らせた。
けど、そのすぐ後で揃って大笑いするしかなかった。

彼女は紐の長いショルダーバッグを肩から提げていた。
バッグの中には教科書やお弁当が詰まっている。
身体を滑り込ませた途端ドアが閉まり動き出した電車。
間に合った。乗れた~。と喜んだのもつかの間。
ショルダーバッグの紐は肩から下げているけれどバッグの部分はドアの外にあったのだ。
ありゃ~
外を見ると彼女の荷物が電車のおできのようにドアのところにくっついている。
それを見た途端私たちはおかしくておかしくて笑いを止めることができない。ただでさえ箸が転んでもおかしい年頃、笑わいでか。

しかし、この後私たちは大変なことに気づく。
彼女の荷物をドアの外にぶら下げて走る電車。
天王寺駅で私たちは進行方向を向いて右手側のドアから乗車する。
しかし、次の駅から環状線内回りの駅は進行方向左側のドアに変わる。
天王寺を出ると環状線を半周ほどしないとこちら側のドアは開かないのだ。
否応なく次にこちら側のドアが開くまでカバンと共に旅する運命になってしまったのだ。
環状線一周約40分の旅。
余裕で遅刻。
スマホなんてまだ登場していない時代。
連絡もできない。
しかし、環状線のドアにカバンをはさまれて身動きできない為に遅刻ってなかなかできない遅刻の理由としたらカッコよさ半端ない・・・と思う。
今は昔のようにゆるくないからこんなことあり得ない。
きっと二度とできない良き思い出の一場面。





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