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西野亮廣サロンに人が集まる理由

◉キングコング西野亮廣氏のオンラインサロンやクラウドファンディングが、人気のようです。毎月6000万円を超える原資を集めて、多数を動かしているのですから、それ自体は大したものです。といっても、けして肯定的な評価ではなく。オウム真理教はもっと金を集めて、もっと信者を集めましたからね。ただの数字上の事実に対する感想でしかないです。お金は有るに越したことはないですが、その数字だけで評価されることはないですからね。

【「夢を信じているものは笑われる」西野亮廣のサロンにこんなにも支援者が集まる“本当の理由”】文春オンライン
 一体、なぜここまで惹かれる人が出てくるのかさっぱりわからない。ゼロ年代のお笑いブームを牽引した芸人であり、原作・製作総指揮を手がけた映画『えんとつ町のプペル』をヒットさせた西野亮廣についてそう思っている人は決して少なくないだろう。西野、そして彼の周辺を取材してみてわかったことがある。彼はインターネット上に渦巻く「批判」の数々に辟易した人々のニーズを確実に捉えているということだ。
 彼が仕掛けるクラウドファンディングは常に「アンチ」からの批判で溢れている。

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■何を残すのか?■

かのアレクサンドロス大王が「私がもしアレクサンドロスでなかったら、ディオゲネスになりたい」と語ったとされる、犬儒派の哲学者ディオゲネスのような人物もいます。彼は住むところもなく、大樽を住処にしていたと伝わります。栄耀栄華を極めた双角の大イスカンダル、歴史に名を残す征服者をしても、羨ましくなる貧者はいるのですから、お金はひとつの基準に過ぎません。ディオゲネスは、モニモスやクラテスなど、多数の弟子も育てた人物ですから。

野村克也監督の名言に、「ひとつの仕事をして金を残すのは三流、名を残すのは二流、人を残すのが一流である」というものがありますが。これは政治家の後藤新平の「金を残して死ぬのは下だ。事業を残して死ぬのは中だ。人を残して死ぬのが上だ」との言葉をアレンジしたもの。してみると、西野氏は名を残すのか事業を残すのか、それとも人を残すつもりなのか、そこが大事でしょうね。金を集めて、それを上手く回して、何をやりたいのか?

例えば、上方落語協会。桂三枝(現文枝)会長の評価が高かったのは、一度は滅びた上方落語の常設寄せを復活させたいという、明確な目標があったからなんですよね。実際、天神天満繁昌亭を上方落語協会の持ち出しを最小限に抑え、実現した手腕は大したもの。神戸にも寄席が出来、それこそ京都にもできれば三都に常設の寄席ができるわけで、これは大きいです。ハコモノを作ることよりも、そうやって落語という文化を次世代に伝える器を作ることが大事。

■ハコモノの限界■

これが新興宗教だと、大きな宗教施設を作ることが自己目的化して、壮大な神殿を作ったところで、目的ロスになって衰退ってのはよくある話。宗教じみてると批判されるキングコング西野氏のオンライサロンですが、映画を作るとかの目的の次に、どんな夢を会員たちに与えられるか? そこが大事なんでしょうね。例えば、若手芸人がネタを発表できる常設会場を東京都内に作りたいとか、そういう目的や目標を、その内に掲げるんですかね? 

でもそれは、コント赤信号の渡辺正行氏が1986年からやってる『ラ・ママ新人コント大会』や、そこで腕を磨いた爆笑問題が続けている『タイタンライブ』と差が出せるのか? 近江商人の経営哲学として「三方よし」が知られていますね。「商売において売り手と買い手が満足するのは当然のこと、社会に貢献できてこそよい商売といえる」という考え方がそれ。近江商人は、「近江泥棒伊勢乞食」などと、経済オンチの江戸っ子が負け惜しみで蔑みましたが。

ただの金儲けでは、人間はついてこないんですよね。そこには、志が必要。2ちゃんねるの西村博之氏やホリエモン、mixiの笠原健治氏、ドワンゴの川上量生・夏野剛氏らには、残念ながらその志が見えず、時流に乗ってお金を儲けた成功者以上の評価は、ないですね。毀誉褒貶はあれど、孫正義氏のほうがまだしもそれがある。でも、本田宗一郎や稲盛和夫氏のような域には遠く及ばない。別に西野氏がそのレベルを目指す必要は、ちっともないですけれど。

■自分以外への眼差し■

信者を気持ちよくさせて終わり、ではなく。自分は何者でもない・何者にもなれなかった人間たちを、1000人に3人でも良いから何者かにする事業を、提案できるのか? 今のところ、西野氏のやってることは自分の夢や欲望を叶えることが中心に見えます。記事を読んだ感想なので、細かい内実はわかりませんけれどね。でも、西野さんを支えてる俺ら素晴らしいって物語は、ヒモのDV夫と妻の、共依存以上には発展しませんよね? 知らんけど。

例えば、絵本を描きたい人間のための作話講座や作画講座を開き、あるいはコンテストを開催して人材育成に貢献するなら、自分などは肯定できるんですけどね。毀誉褒貶あれど、自分は島田紳助さんを評価していました。それは、やはり彼が才能なき人間のために多数の方法論の言語化をやっていたこと、M-1グランプリという形で漫才界への恩返しをしようとしたことなど、一定の成果はあったわけで。それは、ボクシング界や鈴鹿8時間耐久レースへの貢献もしかり。

その感動路線が鼻につくとか、それは理解できますし。彼の暴力的なやり方も行程はしませんが。なんでしょうね、『ラーメン発見伝』のハゲのように、銭金と言いつつも、その方法論を他人に伝授して、芸人が食っていくための方法論の共有と、食っていくために名を売る場を作ったことはやはり評価していいでしょうね、是々非々で。だからといって西野氏が、今やってる商法を伝授して信者ビジネスを増やされても困るんですけどね。もうちょっと、見守りたいですが。

どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

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