見出し画像

アンモニアから水素精製で三菱重工業と日本ガイシがタッグ

◉水素とアンモニアは、石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料に代わる、燃料として期待される存在。自動車などの内燃機関として、水素エンジンにはTOYOTAが力を入れていますし。火力発電所の燃料としても有望。ただ、水素は最も軽い元素で、液体化には-259.2度の極低温が必要で、しかも液体水素は容器をすり抜けて外に出てしまうと言う、変わった性質を持っています。なので、安全に水素を運ぶのに、アンモニアにするという方法が有望。これを老舗企業の、三菱重工業と日本ガイシが共同研究するようで。

【三菱重と日本ガイシ、アンモニアから水素精製で共同開発】日経新聞

三菱重工業と日本ガイシは18日、アンモニアから水素を効率よく取り出す技術の開発を始めたと発表した。アンモニアを分解すると水素と窒素の混合ガスが生じるが、水素だけを省エネルギーで分離できるようにする。アンモニアは水素エネルギーを輸送したり貯蔵したりする媒体として活用される。脱炭素の推進に向け、水素エネルギーを効率よく取り出す技術の確立が求められている。

4月から始めた。日本ガイシの持つ物質を分離する膜の成膜技術と、アンモニアの製造プラントで多くの納入実績を持つ三菱重工のノウハウを生かし、2020年代後半の事業化を目指す。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC187640Y4A410C2000000/

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、風力発電の風車の写真です。

◉…▲▼▲▽△▽▲▼▲▽△▽▲▼▲…◉



■水素とアンモニア■

詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。アンモニアは、化学式だとNH3ですから。1個の窒素原子と3個の水素原子が結びついた形。水がH2Oで2個の水素原子と1個の酸素原子が結びついた形ですから、より多くの水素を取り出せるわけで。窒素は大気に多く含まれ、これ自体は化学肥料の減量になるモノですしね。アンモニア自体は、その名前が古代エジプト王朝のアモン神殿の近くで、アンモニア塩が取れたために命名されるほど、古くから知られありふれた存在ですし。

アンモニア自体も、燃やそうと思えば燃えますし。ただ、ちょっとそれほど高熱が出るわけではなく、単体では効率が良くないですけどね。なので、他の燃料と混ぜて燃焼する研究も進んでいます。日本ガイシは、名古屋に本社を置くセラミック製造メーカーで、電線の絶縁体である陶製の碍子を製造しています。電柱を見ると観察できる、白い物体ですね。100万ボルトの超高圧送電線用の、碍子を世界で唯一製造している老舗企業でもあります。エネルギーインフラ事業やプロセステクノロジー事業などがある商売柄、触媒などの研究も力を入れているようで。

■発電方法は多様に■

例え核融合発電が実用化されても、水力発電や火力発電、原子力発電の需要は、相変わらず存在し続けるでしょうし。発電方法はイロイロと、分散させておくに超したことはないですからね、エネルギーの安全保障の面からも。夢の発電方法である核融合発電が、実際の商業ベースに乗るには、まだまだ時間が掛かるでしょうし。水素とアンモニアはその意味で、火力発電の燃料として、重要。大規模な蓄電方法って、まだ開発できていませんから。でも、余剰電力を水素やアンモニアの形で、間接的に蓄えておくことが可能。

無能な方の菅元総理のせいで、茨城県大洗の高温工学試験研究炉(HTTR)が、10年も止まっていましたが。こちらの高温ガス炉はより安全性が高い第四世代原子炉。その名の通り、高温が出るため、それを製鉄にも使えるのですが。これを応用して、水素の生成も可能です。高温ガス炉の発する、950度という超高温を利用して水素生成する、熱化学法ISプロセスという方法があるそうで。ヨウ素と硫黄という、ありふれた物質の化学反応を利用し、水を熱分解して水素を得る方法なのだとか。

原発怖い怖いと、ひたすら恐怖を煽る左派とマスコミですが。東日本大震災での福島第一原子力発電所事故から自分は一貫して、正しく怖れろ、科学的な知識を持てと、言い続けていますが。これは今後も変わりません。技術は日進月歩、安易な科学否定や文明否定には、自分は与しません。高温ガス炉はさらに、石炭の液化に利用されることが期待されます。石炭もまた、世界中で産出される、豊富な化石燃料。液化することが出来れば、硫黄などの有害な成分を最初から取り出せますし、無煙炭のような高品質の石炭以外の、瀝青炭や褐炭などの低品質な石炭の利用が広がります。

■再エネには暗雲が■

一方で、再生可能エネルギーに関しては、こんなネガティブなニュースが。日本風力発電協会(JWPA)を巡る騒動で昨年、三菱商事が退会したのですが。ついに、伊藤忠商事と総合商社の双日が退会とのこと。秋本真利衆議院議員の汚職事件とあ、元々がこの再生可能エネルギー事業って、胡散臭い存在だったのですが。与党も野党も、思惑があってこんんあ無駄な事業に乗り、大手の商社も一枚噛んできたのですが。いよいよ、限界が可視化されてきました。風力発電も太陽光発電も、補助的な発電方法であって、ベースロード電源にはなり得ないのに。

【伊藤忠、双日が一斉退会!日本風力発電協会の窮地 「洋上風力」の推進役が空中分解のおそれも】東洋経済オンライン

日本風力発電協会(JWPA)を巡る騒動に終わりが見えない。

JWPAは風力発電の業界団体で、メーカーや発電事業者をはじめ500社を超える企業などが加盟。再生可能エネルギーの主力電源化に向けて政策提言などを行ってきた。

だが、2023年夏以降に明らかになった秋本真利衆議院議員の汚職事件では、贈賄の疑いがある日本風力開発の元社長だけでなく、JWPAも一定の関与があったのではないかと取り沙汰されてきた。2023年10月、洋上風力の代表的企業である三菱商事が同協会から退会し業界に衝撃が走った。

https://toyokeizai.net/articles/-/748138

大手有力商社のみならず、数十社が一斉退会する前代未聞の事態となった日本風力発電協会、政府からの補助金が商売にならないなら、見捨てるのがビジネス。このnoteでは、他にも地熱発電や潮汐力発電、海洋温度差発電など、いろんな再生可能エネルギー事業について言及していますが。決め手に欠けるのが現状です。ハッキリ言えば、中国の商用実証炉が一昨年臨界に達し、アメリカとイギリスが2029年に商用炉稼働を計画する高温ガス炉に、予算をかける方が、よほど現実的かと。洋上風力発電は、600億円もかけて検証し、無理だとなったように。最初から難しいと指摘されていたのに。


◉…▲▼▲インフォメーション▲▼▲…◉

noteの内容が気に入った方は、サポートで投げ銭をお願いします。あるいは、下記リンクの拙著などをお買い上げくださいませ。そのお気持ちが、note執筆の励みになります。

MANZEMI電子書籍版: 表現技術解説書

MANZEMI名作映画解題講座『ローマの休日』編

MANZEMI文章表現講座① ニュアンスを伝える・感じる・創る

どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ


売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ