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エネルギー問題4記事

◉経団連の十倉雅和会長が、毎日新聞のインタビューで核融合について、適当なことを言っていますが。んな簡単に核融合に移行できたら、苦労しません。本当に経団連って、日本の官僚的な部分の悪いところを煮詰めているんですよね。東大か一橋大卒のサラリーマン社長で、ゼークトの軍人の分類なら参謀には向く「勤勉で利口」なタイプではあるのですが、司令官にすると牟田口廉也タイプになる典型例なんですよねぇ……。

【「“卒原発”核融合に転換を」十倉雅和・経団連会長インタビュー】毎日新聞

 経団連の十倉雅和会長は毎日新聞などの年頭向けインタビューに応じ、政府が打ち出した次世代原発の建設など新たな原子力政策について「原発はある種のトランジション(移行期)の技術。ゆくゆくは核融合(発電)に行き着かなければ、人類の未来はない」と述べ、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)が大量に出る原発からは将来的に脱却する必要があるとの認識を示した。

 十倉氏は、2022年12月に原発の建て替えなどを認める方針転換を決めた政府の「グリーントランスフォーメーション(GX)実行会議」のメンバーを務めている。11年の福島第1原発事故後、岸田文雄政権が初めて次世代原発の建設と建て替えを認める姿勢を明確に打ち出した点については「思い切った決断をした」と評価した。

https://mainichi.jp/articles/20230101/k00/00m/020/002000c

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、開いたら目に飛び込んできた写真で、エネルギーを総合的にカンガルにちょうどよい、空と海の写真でしたので。かっこいいですね。

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■核融合発電の課題■

2022年12月13日には、ローレンス・リバモア国立研究所で行われたレーザー核融合実験で、投入したエネルギーよりも高い出力のエネルギーが得られたと、アメリカ合衆国エネルギー省と国家核安全保障局が発表し、本noteでも紹介しましたが。これ自体は、大きな技術的なブレークスルーなんですが……。核融合に関しては、そんな簡単な話ではないことは、自分のような物理学の素人でも知っていますし、このnoteでも何回も言及しています。

【核融合の「ブレークスルー」が実用的な核融合発電の実現にまだつながらない理由とは?】GIGAZINE

未来のエネルギーとして大きく期待されている核融合は、連鎖反応で暴走してしまう危険性が高い核分裂と比べると非常に安全とされており、実現に向けて研究が進められていますが、科学系ニュースサイトのIEEE Spectrumは「核融合発電の商業化への長い道のりの小さな一歩にすぎません」と述べています。

https://gigazine.net/news/20230101-nuclear-fusion-useful/

上記記事でも言及されていますが、核融合には様々な技術的課題が存在しています。だから自分が小学校ぐらいの頃から「実用化まであと30年かかる」と言われていたのが、30年経ってもまだ同じことを言ってる状況な訳です。実際に核融合発電が実用化されたとしても、核分裂発電火力発電にしろ、もっと言えば水力発電でさえもまだ100年200年は現役であり続けるでしょう。それが多様性というものです。

■藻類バイオマス■

それでは次の話題を。個人的には、藻バイオマスって期待してるんですけどね。日本で原油を作る、この志が良いですね。日本のように、国土面積は決して広くない上に、山がちで平地が少ない地形では、トウモロコシやサトウキビ、砂糖大根(ビーツ)などを栽培して得られるバイオマスは、あまり期待できないんですよね。何しろ日本の20倍以上の国土面積を誇るアメリカでは、トウモロコシの作付面積が日本の国土面積を上回るほどですから。

【ついに国の予算がついた…藻類バイオマスエネルギーで日本が本当に産油国になる日】プレジデントオンライン

 藻類バイオマスエネルギー研究を続ける(一社)藻類産業創成コンソーシアム理事長で筑波大学共同研究フェローの渡邉信(わたなべ・まこと)さんのプロジェクトに国の予算がついた。10年ほど前、「日本を産油国にする」と言って顰蹙を買った渡邉さん。しかし、時代はその発言を追うかのように、新エネルギーに向かって大きく舵を切り出した――。

https://president.jp/articles/-/64850?page=1

そんな状況ですから、休耕田を最大限に利用しても、日本のバイオマス生産にはあまり期待できません。しかし日本は、四方を海に囲まれた島国、海洋国家ですから。排他的経済水域を含む面積ならば、世界6位レベルに跳ね上がります。将来的に養生でのバイオマス生産が可能になれば、意外な勝算があると思っています。ホンダワラを人工生産して、バイオマスにするというアイデアも、以前はありましたね。沖ノ鳥島などの周辺海洋利用を考えても、こういうアイデアには期待したいです。

■エネルギー問題は多面的■

エネルギーは、何かひとつで一発逆転は、まだ難しそうです。何度か書いていますが、水力や火力発電などといったオーソドックスな発電方法を軽視するのは、得策ありません。火力発電ひとつをとっても、燃料は天然ガス・石油・石炭・アンモニア・水素などなど、多様な選択肢があります。安全性の高い第4世代炉の高温ガス炉の超高温を利用すれば、石炭の液化や水素の生成などにも可能性が広がりますし。アンモニアの可能性についても、何度も書いています。

【日本の取るべき5+1のエネルギー戦略:『武器としてのエネルギー地政学』】アゴラ

僕は、9年間日立製作所(旧)エネルギー研究所にて沸騰水型原子力発電の核燃料の研究開発に従事し、その間、論文博士として九州大学からも博士号を授与していただきました。その後いまから23年前の1999年に、クイーンズランド大学で金属材料工学の博士研究員として人生を再出発して以降、軽金属合金の鋳造凝固、水素吸蔵合金や鉛フリーハンダの研究と材料工学の講義を生業としています。

というわけで、材料工学者として、教育者としては、僕自身は気候変動やエネルギー政策などに関してはど素人であることをはじめに申し上げておきます。

https://agora-web.jp/archives/230101003010.html

ノギタ教授がこちらで紹介されている本、岩瀬昇著『武器としてのエネルギー地政学』は自分も未読でしたので、さっそく電子書籍版を購入しました。自分のような素人には、こういう本はありがたいですね。エネルギー問題は一筋縄ではいかないので、こういう多面的な思考は必要でしょう。戦前の大日本帝国が無謀な日米開戦に踏み切ったのも、田中角栄がロッキード事件で失脚したのも、エネルギー政策が背景にありますからね。エネルギー問題は高度に政治的な問題、ということで。

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