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プーチン大統領、独裁者の孤独

◉戦力的には圧倒的に上なはずのロシアが、苦戦しているという情報が日々発信されています。もちろんこれはウクライナ側による誇張もあるでしょうし、ウクライナに同情的な世界のメディアの状況もあるでしょう。しかしそこを割り引いても、ロシア軍の行動はちぐはぐで、将官クラスが何人もすでに死亡しており、プーチン大統領から責任を問われることを恐れて、正確な情報が上がってきていない可能性は普通にあるでしょう。

【プーチン氏に間違った戦況伝わる? 米政権「怖くて言えないから」】朝日新聞

 米ホワイトハウスのベディングフィールド広報部長は30日、ロシアのプーチン大統領はウクライナでの戦況について間違った情報を伝えられているとする見解を示した。その理由について、「プーチンが怖くて本当のことが言えないからだ」と指摘した。
 ホワイトハウスの見解は米情報機関からの機密情報を元にしているとみられる。ベディングフィールド氏は「プーチンは彼のアドバイザーらから、ロシア軍のウクライナでの戦闘がいかにまずいかや、経済制裁のロシアへの影響について、誤った情報が伝えられている」と語った。

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、ウクライナ問題専用のやつを。

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■ルイセンコ農法と独裁者■

例えば、ルイセンコ農法という間違った農業の方法がかつて、ソビエト連邦で採用されました。今から見るととても非科学的な、デタラメな農法だったのですが。これによって農業生産は当然のごとく激減し、膨大な数の餓死者を出してしまいました。ウクライナがロシアに徹底抗戦するのも、この時に一説には1100万人とも言われる大量の死者を出したから。中国では大躍進運動の失敗で、4000万人が亡くなったとも言われます。

独裁者は、現実を理想に合わそうとしますから。しかし現実はそんな簡単に動くはずもなく。結果的に無茶な要求を突きつけられた現場は、結果が出ないとは言えないため、嘘の報告を上げる。存在しないはずの脳作物があると、嘘を言う。北朝鮮の三代目接種将軍様が漁港を視察に行くと、驚くほど大量の魚が並べられ、豊漁が強調される。農業がうまくいかなくても漁業があると、将軍様が宣言すると。日本の排他的経済水域まで粗末な船で、魚を取りに来ることに。

■陳勝・呉広の乱と独裁者■

本当のことを言えば死刑かシベリア送りになるし、嘘をついた方が死刑か重労働の刑になる時期を少しでも遅らせることができるなら、ほとんどの人間は嘘をつくでしょう。独裁者による厳罰主義は、容易にこういう社会を生み出してしまう。始皇帝が作り上げた中国史上初の統一王朝である秦は、絶対的なカリスマである始皇帝の死後、短期間に崩壊してしまいます。その間、わずか4年。

そのきっかけは、陳勝・呉広の乱。期日までに到着できないと斬首という秦の法において、大雨で確実に間に合わないとなった瞬間、陳勝と呉広は反乱を起こしたわけで。プーチン大統領の独裁も、このまま続くならば軍の一部に、どうせ殺されるなら先にとばかりに、クーデターを起こす軍人が出るかもしれません。プーチン大統領が自分の古巣である情報局の幹部を、軟禁したという噂も宜なるかな。暗殺は一人でもできますから。

■天寿を全うする独裁者たち■

独裁者の孤独──晩年のヒトラーもスターリンも、周囲に対する疑心暗鬼や不安に苛まれ、奇矯な行動が記録されています。しかし、ムッソリーニはイタリア市民に殺され、ヒトラーはベルリン陥落直前に自殺し、しかしスターリンは天寿を全うしました。それはスペインの独裁者フランコにしてもそうですし、毛沢東もそう。金日成の最期は暗殺説もありますが、いちおう天寿を全うしたことになっています。

悪は滅びると言われますが、善人でも夭折することもあれば悪人でも天寿を全うすることもあるの、歴史を教えてくれます。ロシアはやはり寒くて厳しい環境のせいか、男性の平均寿命は日本より十歳以上短いようで。プーチン大統領が今後どうなるかは、自分のような素人には予測もつきませんが。ソビエト連邦を崩壊させ、なおかつ民主的な共和国に移行するというウルトラ C をやりながら、九十歳を超えて存命のゴルバチョフ書記長のような、人生は無理に思えるのですが……。

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