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韓国で犬食禁止法が可決

◉韓国で、食用を目的とした犬の飼育や販売などを禁じる法案が、国会で可決されたそうです。尹錫悦大統領は もともと、犬肉食禁止論者だったようで。ただ犬肉食自体は、東アジアから東南アジアまで、広く見られる食文化はなんですよね。せっかくなので、犬肉食から話を広げて、アジアや日本の歴史や文化について、雑多に語ってみます。

【韓国で「犬食禁止法」可決 違反者は最長懲役3年 金建希大統領夫人も「犬の食用禁止は大統領の約束」と発言】FNNPRIMEオンライン

韓国の国会で9日、食用を目的とした犬の飼育や販売などを禁じる法案が可決された。

韓国の国会は9日午後2時から開いた本会議で「犬の食用終息に関する特別法」を可決した。この法案の柱は食用での犬の飼育や流通販売などを禁じる内容で公布の3年後に施行される。

違反した場合最長で懲役3年の罰則が与えられ法案には飲食店などの業種転換を支援する内容も盛り込まれた。

https://www.fnn.jp/articles/-/640030

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、メイプル楓さんのイラストです。内容が内容だけに、普通の犬の写真とか使うと、使用拒否されそうなので。

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■韓国の犬肉食事情■

韓国の場合は少し問題が複雑で。国民の中で犬肉食自体は、かなりマイナーになっているのは事実なのですが、5200万人弱の人口がありますから、国民の1%しか食さなくても、50万人以上の需要があります。あと、韓国人自体も実際は食べていても、アンケートなどで聞かれれば食べていないと答える人が、一定数いるでしょうしね。これは鎌倉室町時代の日本人も同じ(後述)。

なぜそうなるかといえば、韓国政府自体が犬肉食に対しては、曖昧政策で臨んでいるからだそうで。牛や豚などの食肉の場合は、衛生管理や流通、保存管理などでいろんな法律の制限を受けるのですが。これは食中毒や 伝染病などの関係もあって、どこの国も同じ。ところが犬肉は、禁止されているわけでもなく、かと言って一般的な他の食肉と同じく様々な法的制限を受けるわけでなく。

もともと、法曹界の人間である尹錫悦大統領からすれば、そのような法的に曖昧な状況自体が、納得できない部分もあったのかもしれません。どうせ禁止しても、こっそりと食べる人は食べるでしょうから、公的に明確に禁じることによって、流通や保存などの法律的な根拠を、明確にしたいのかもしれません。禁止されているものを勝手に食べたのだから、保険は適用されません、とか?

■日本でも犬肉食■

個人的には、欧米のエスノセントリズムには、反対です。自分は食べなくても、犬肉食はアジアの食文化。もちろん日本でも、犬肉食は弥生時代から広く見られ、鎌倉時代や室町時代の武家屋敷跡を発掘調査すると、調理した痕跡のある犬の骨が、かなり出てくるそうで。興味深いのは、にも関わらず当時の記録では、犬肉ではなく鯛など魚を食っていたことになってるようで。

鎌倉仏教の隆盛もあって、当時から殺生戒への負い目があったようです。鎌倉以降の武家文化は、葷酒山門に入るを許さずの禅宗と、深い関わりがありますからね。この流れもあって、室町時代や戦国時代を経て、江戸時代も前半までは、犬肉食は一般的でした。まず、関西で仏教の影響もあって犬肉食を含む肉食が早くに廃れ、五代将軍綱吉の生類憐れみの令で、かなり廃れたわけで。

そもそも綱吉の生母・桂昌院は、京都出身の呉服屋や八百屋の娘とも大阪出身とも、諸説ありますが。関西出身なのは疑いなく、それが犬肉食への忌避につながった可能性。もちろん、幕府が禁止しても食文化はそう簡単には変わらず。薩摩藩などでは子犬を蒸し焼きにしたり、『はだしのゲン』でも犬肉を食うオッサンが登場したりと、西日本では割と近世まで、残っていましたし。

■犬肉食と渡来人■

そういえば、縄文時代の墳墓を研究すると、犬が飼い主と一緒に葬られており。弥生時代の墳墓では犬の骨がバラバラで、食用にされたことが推測されるそうですが。そういう意味では、渡来人が犬 肉食の文化を持ち込んだ可能性はありそうです。狩猟採集の縄文時代では、犬は狩りのパートナーだったのですが、農耕が主体の弥生時代では、そうではなくなったと。

ただこれに対して、自分は少し疑問があります。日本の桃太郎伝説など、犬が人間のパートナーとして描かれているのは、岡山県など稲作がかなり早い段階から伝播した地域であり。逆に遠野物語などを見ると、山犬とオオカミの分離が曖昧で、それらは 人間と対立する存在として描かれているんですよね。実は農耕文化でも、犬は田畑を荒らす猪など害獣駆除や予防のために重宝しているんですよね。

ペットとして身近に接していると、犬は食べられないと言いますが。例えば騎馬民族と知られるモンゴル人の場合、馬肉を普通に食べるんですよね。ハンバーグの原型になったタルタルステーキは、タルタル=タタール=韃靼で遊牧騎馬民族の食事です。年老いて硬くなった馬の肉を美味しく食べるための方法。人馬一体のモンゴル人は、馬肉を食う。

■新モンゴロイドの文化?■

人類初の南極点到達で争った、イギリス人のロバート・スコット隊とノルウェー人のロアール・アムンセン隊の、逸話は有名ですが。アムンセン隊はイヌイットの文化を取り入れ、犬ぞりやアザラシの毛皮を利用して、成功。北極圏に暮らすイヌイットも、犬ぞりを利用して、移動したりするのですが。このイヌイットも、犬を食べるんですよね。

でも、スコット隊はアムンセン隊に先を越されて上に、帰路で遭難して悲劇の探検隊になってしまったため、犬好きのイギリス人がやっかみもあって、アムンセン隊を犬を食って達成した偉業と、バカにしたようで。モンゴル人もイヌイットも、極寒の寒冷地に対応した、新モンゴロイドなんですよね。凍傷にならないようにヒゲや体毛が薄く、一重まぶたで、眼が細く、のっぺり顔。

どうも、北方系の新モンゴロイドの食文化として、生活を共にする身近な動物を、食することをあまり気にしない文化があるような気がしますね。そもそも、中華の食文化自体が、四つ足は机と椅子以外は食う・二本足は親以外は食うという、人肉食さえ気にしない文化ですしね。ただ、欧米のエスノセントリズムに迎合していると、次は馬肉を禁止しろと、言い出しそうです。

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