脱炭素と太陽光・風力・水素の現実

◉ちょっと仕事でバタバタしていましたが、エネルギー関係で興味深い記事があったので、遅ればせながら紹介です。自分はそもそも、カーボンニュートラルは実現可能なのか、いつもの欧米のルール変更ではないか、という疑念があります。風力発電や太陽光発電はベースロード電源にはなりえず、原子力以外には現実的な解決策はないと思いますが。それとは別に、木材という形での二酸化炭素を吸収したものを活用する考えは、参考になりました。

【「脱炭素」太陽光・風力ではどうにもならない現実 今までの経済活動を根底から見直す必要がある】東洋経済オンライン

米中貿易戦争により幕を開けた、国家が地政学的な目的のために経済を手段として使う「地経学」の時代。
独立したグローバルなシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)」の専門家が、コロナウイルス後の国際政治と世界経済の新たな潮流の兆しをいち早く見つけ、その地政学的かつ地経学的重要性を考察し、日本の国益と戦略にとっての意味合いを、順次配信していく。

ヘッダーの写真はnoteのフォトギャラリーから、風車の写真はけっこう多いですね。

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■相手の土俵に上がらない■

カーボンニュートラルという点では、それこそ山がちで森林面積が多い日本ですが、後継者不足やら安い輸入木材に押されて、国産の木材は厳しいのですが。でも、カーボンニュートラルを欧米が振り回すなら、輸入木材に「カーボンニュートラル税」をかけたり、逆に国産木材にカーボンニュートラル減税やカーボンニュートラル補助金を付けるのは、悪いことではないですね。あるいは、輸入木材を二酸化炭素を押さえたので日本の貢献分として加算とか。

要は、相手の土俵に乗らない・相手の土俵で戦わないというのは、兵法の基本ですから。二酸化炭素ということに関しては、実は海洋表面での、植物性プランクトンによる二酸化炭素吸収と酸素生産、並びにサンゴ礁などの二酸化炭素固定って、馬鹿になりませんから。領海を含めた排他的経済水域の面積は約447万平方キロで、世界第6位の海洋国家。そこも含めて評価してもらわないと。繰り返しますが、カーボンニュートラルの考え方自体は恣意的で、疑問に思っています。

■水素エンジンの研究も進展■

さて、それはそれとして。たぶんに、TOYOTAなどの自動車会社は水素エンジンにかなり力を入れていますし、水素自体の問題点や課題は多いですが、研究はすすめるべき。そういう意味では、大形の船舶を水素エンジンで動かすというのは、興味深いですね。輸出と輸入の大国でもある日本は、島国ゆえに船に頼る部分が、とても大きいですからね。ここでの需要を置き換えていければ、割と他の水素エンジン研究にもフィードバックできそうです。

【やります「水素エンジン船」 世界に先駆け実船での実証運航に基本合意 商船三井ら】乗りものニュース

川崎系のジャパンエンジンが開発、商船三井系の船に搭載
 商船三井、商船三井ドライバルク、ジャパンエンジンコーポレーションの3社は2021年11月9日(火)、ジャパンエンジンが世界に先駆けて開発する舶用低速2ストローク水素燃料エンジンを商船三井および商船三井ドライバルクが運航する船に搭載し、実船での実証運航に向け協力することで基本合意したと発表しました。

水素エンジン船で実績ができたら、例えば鉄道であったりとか、バスなどの大形の自動車に、最終的には自家用車やバイクなどにも、応用できるでしょうし。TOYOTAの、太陽光で蟻酸を作る人工光合成とか、割と期待しているんですが。日本のように、世界の平均日照時間を下回る国では、どのみち太陽光系の発電は向きませんが。科学で世界に貢献する。そこを認めないなら、カーボンニュートラルなんて欧米先進国の政治の道具に過ぎないということで。

■得手不得手を知ることの大事さ■

こちらの記事も、なかなか舌鋒鋭く切り込んでいて、個人的には勉強になりました。こちらでも、TOYOTAの現場の技術者の反骨精神が触れられていますが。かつての日本には今の韓国のように、ノーベル賞コンプレックスがあって、基礎研究の大事さが説かれましたが。それはもちろん変わらず大事なんですが、同時に理論を使える製品に落とし込む、職人的技術者の存在を軽視していいって話ではないんですよね。そもそも日本は、職人の国だったんですから。

【「新技術」の実現性を探る、本命は人工光合成、量子コンピュータは? 「結局使えない」話に踊らされるな】現代ビジネス

しかし、それから数百年が経過した現在では、「科学」が「宗教」に取り込まれているように思える。8月22日公開「脱炭素・EV推進、『合理的な科学的根拠がない』この方針は、もはや『宗教』だ」で述べたような、科学の仮面をかぶった「脱炭素教」が「明確な科学的根拠無し」に世界中に広がり「政治経済の一大勢力」になっていることには恐怖さえ感じる。

今回は、さすがに宗教裁判のような惨劇は無いと信じたいが、11月5日公開「エネルギー価格高騰、脱炭素・EV化を推進する国家・企業は総崩れか」で述べたように、「地球市民」は「脱炭素の強制によって跳ね上がった電気・ガス料金を支払わされる」という被害をすでに受けている。

ある意味で、田中耕一さんのような、現場の技術者であり理論家でもあるというのが、理想っちゃあ理想。もちろん、そうそう多くはないですが。でも、山中伸弥教授のiPS細胞だって、ある意味で治療の現場と密接ですしね。繰り返しますが、相対性理論のような理論はものすごく大事。でもそれを、カーナビに落とし込むことに日本人は長けているわけですから、やっぱり得意を伸ばすべきなんですよね。生物の構造や機能、生産プロセスなどから着想を得て、新しい技術の開発やものづくりに活かそうとするバイオミメティクスにも、期待です。

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