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共産党は郭公鳥の夢を見るか

◉郭公鳥でカッコウ。托卵をする、あの鳥です。暇な空白(暇空茜)氏による、共産党や仁藤夢乃代表や沖縄の辺野古基地反対運動活動家に対する、批判といえば批判なんですが。沖縄タイムス社阿部岳記者によるネトウヨ呼ばわりの低レベルな罵倒と違って、ちゃんと問題点を指摘して、こうすればもっと大衆、特に若者の支持が広がるのに……という、敵に塩を送る内容になっています。あまりにも大量の塩で、塩湖ができるぐらいの。でも、こういう声は届かないでしょうね。

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、ベトナムのハロン湾だそうです。なぜこれを選んだか、本文を読めば解ります。

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■疑似科学としての共産主義思想■

まずはリンク先を読んでいただくとして。共産党は何が目的で、どこに行こうとしているのか? 暇な空白氏には、そこがどうにも、ピンとこなかったようです。共産党はもう、支持者を大幅に増やして、政権を取ろうとか、そんなだいそれたことは思っていないんでしょうね。邪推ですが。今の党幹部が良い生活をできて、あるいは落選せず議員年金をもらえるぐらいの年齢まで当選できれば、それでいい。ただ、今のままではジリ貧なので、党が潰れないぐらいは、若い党員やシンパのリクルートはしたい。赤旗を格安で配ってくれる人間は必要ですから。

ところがそうなると、まともな人間はもう、共産主義思想の問題点や限界を、充分に熟知している。双方向性のインターネットの出現で、昔は知らなかった、バートランド・ラッセル『西洋哲学史』でのキリスト教とマルクス主義の同型性の指摘とか、知ってしまう。何度も書いていますが共産主義思想は、キリスト教に改宗したユダヤ教のラビ(宗教法学者や指導者的な司祭)の家系という宗教コンプレックスを持つカール・マルクスが、ユダヤ・キリスト教の千年王国思想を焼き直した疑似科学で、むしろ純化された宗教です。

■若手人材難の結果の悪魔合体■

結果、子どもの頃から共産主義思想を叩き込まれた共産党員二世や三世が、新たな党員リクルートの中心になるのですが。その世代も、親の言うことに唯々諾々と従う世代は、減っていますからね。そうなると、他のジャンルで過激な言動の、ハッキリ言えば異端な思想を持つ他の団体や集団と手を結ぶ。それが、キリスト教右派の中では過激な(なにしろ禁酒法推進がそのルーツ)な矯風会や、保守的なキリスト教の中では左派を取り込む。北原みのり女史や仁藤夢乃Colabo代表、SEALDsなどは、このルート。

そして、ミサンドリー(男性嫌悪)にしか見えないラディカル・フェミニストや、LGBTの中でも過激な一部の人間(男性器が有っても心が女性なら女湯に入っても無問題)などを取り込み、鵺的になっています。これは何も共産党だけではなく、立憲民主党や社民党も同じですが。これは、戦前の保守系が国家社会主義などを取り込んで、鵺的になってしまった部分とも、似ています。日本は崇仏論争を経て、本地垂迹説や反本地垂迹説が登場するなど、折衷的というか鵺的様相になる傾向が、昔から顕著にあります。

■社民党=第2共産党の凋落■

共産党よりも早く、この問題に直面したのが、日本社会党でした。土井たか子時代、公約違反の売上税の大合唱で、中曽根内閣の倒閣に成功したため、社会党はまだしも現実対処的だった石橋政嗣の路線から、マスコミ受けを狙ったポピュリズム路線に。しかし、直接税と間接税の違いもわからない、マドンナ議員という雑兵を集めても、しょせんは戦力にはならず。土井たか子党首はマスコミで活躍していた左派人材───福島瑞穂・辻元清美・保坂展人氏らをスカウト。確かにマスコミ受けは更に良くなりましたが、彼女らの言説のダブルスタンダードに気づくような有権者は、そっと去ってゆき。

1990年の第39回衆議院選挙では85議席から136議席に大躍進した社会党は、1993年の第40回総選挙では70議席に大激減。さらに、党名を変えて臨んだ1996年の第41回総選挙は、新進党や民主党の新党設立ブームもあり、わずか15議席のミニ政党に転落。2003年の第43回総選挙にはわずか6議席。かつての野党第一党が、わずか13年で転落しまくり。そして昨年の第49回衆議院選挙では、わずか1議席に。ある種の宗教である社民党は、転落も早かったという面はありますが。その波がいよいよ、共産党にも来たということでしょう。

■民主主義国の内側に王国■

カッコウという鳥は、鳥類ですが変温性が強く、自分で抱卵しても卵がうまく孵化しないんですね。なので、オオヨシキリなど他の鳥の巣に、よく似た卵を生み、托卵します。しかし、托卵しすぎてオオヨシキリやホオジロ、モズなどが絶滅しては、自分も絶滅します。つまり共産党というのは、圧倒的多数の自民党に対して、反対反対と唱えていることで命脈を保つ、カッコウ政党になっているわけです。西郷南洲翁の若き日の上司、郡方奉行の迫田太次衛門利済が、重税で大衆を苦しむ百姓を思い、こんな和歌を残しています。

虫よ虫よ 五ふし草の 根を絶やすな
断たばおのれも 共に枯れなん

虫とは薩摩藩、五節草とは民百姓のこと。その息の根を断ってしまったら、虫自身も死んでしまう。これ自体は封建時代の、支配層と非支配層の関係をあらわしていますが。世の中を労働者(プロレタリアート)と資本家に分け、労働者が資本家を打倒し、プロレタリアート独裁の社会を夢見た共産党が。資本主義社会という大きな民主社会の中で、民主集中制という独裁体制を敷き、自分たちの小さな王国の中で安住しているのですね。その王国の中の、党員というプロレタリアートから搾取している図は、なんとも滑稽です。

■共産党の地獄の黙示録■

沖縄で座り込みをしている基地反対派も、なぜそれをやってるのか・どういうふうに社会を変え・どのような状況を実現させるかの、筋道がないです。反対することが自己目的化し、その後のビジョンがない。学生運動をやりすぎて大学を退学になった安彦良和先生が名作『アリオン』で図らずも描いてしまったように、オリュンポス政権を倒してもパルチザン側にはどういう社会を作りたいかの、ビジョンがなかったように。ユダヤ・キリスト教の千年王国思想を焼き直した共産主義思想は、最後の審判で異教徒が皆殺しにされてしまえば、後は至福千年の神の王国が用意されてるのですから、考える必要がない。

でも、現実世界では、自民党を倒しさえすれば、幸せな社会が来るはずもなく。共産党の上層部は、東大出のインテリ揃いですから、そんなことは百も承知でしょう。だから、フランシス・コッポラ監督の傑作『地獄の黙示録』のカーツ大佐のように、自分たちの王国を作り、そこでの幸せを目指す。ただ、カーツ大佐や人民寺院は、外との関係を絶ち、内向きな王国でしたが。共産党はそうは行かない。嫌がおうにも外界と関わり、世俗の垢に塗れるわけで。結果、ドラクエを攻撃とか、珍妙なことを始めてるようですが。共産党には今後、3つの選択があると思います。

・国王が断頭台の露となりブルボン王朝のように消滅
・立憲君主制に移行し、民主集中制の廃止と民主化
・共産党の看板を降ろし都市型労働者の党に変化

たぶん、どれも選択できず、このままズルズルと行き、下手すると鵺的に合体した他の勢力に、本体を乗っ取られて、消えてしまう可能性。今後10年で、答え合わせができるでしょう。もっとも、共産党が瓦解しても、共産党的なものはこれからも、生まれてくるでしょうね。あんがい、日本維新の会が新しい時代の共産党になったりして。んなアホな、と思うか。人間のルサンチマンは、キリスト教にも儒教にもある、という点を思えば、納得するか。そこはご自由に。

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