アンモニアと水素で発電の未来
◉溜まっていたエネルギー関係のネタを、まとめていくつか。まずIHIは、旧商号は石川島播磨重工業株式会社です。エンジン開発では国内有数の会社で、戦闘機のジェットエンジンとか開発で知られますね。エンジン開発は発電機のタービンの開発などとも技術が近いようで、日本の三菱重工やイギリスのロールス・ロイス社など、両方を手掛ける会社は多いですね。日本の、ジェットエンジン開発大手企業のひとつであるIHIは、東南アジアでアンモニア発電の実用化と、アンモニアの調達 と供給のネットワークも、構築するようです。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、発電所のプラントをイメージして生成したイラストだそうです。
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■アンモニア合成■
詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。IHIはエネルギー関連でも、重要なポジションを占めるわけで。そのアンモニアは紀元前から知られている、化学肥料の原料にもなる、ありふれた物質ですが。窒素と水素の化合物ですから、火力発電でも混焼などで、補助的な燃料を通しての役割が期待されます。とは言え、それ自体は決して燃えやすいというわけではないので、安定した燃焼のためには、それなりに技術と装置が必要な物質でもあります。
こちらはちょっと古い記事でなんですが、理研(理化学研究所)が大気中の窒素分子からアンモニアを、低い温度で持続的に合成することに成功したというニュース。アンモニアの合成といえば、ハーバー・ボッシュ法が革命的な技術だったのですが。鉄を主体とした触媒の上で、水素と窒素を 400〜600度の、超臨界流体状態で直接反応させる方式。それが、そこまでの高温状態じゃなくても合成できるなら、大きな技術的進歩ですね。
■海水から水素製造■
アンモニアはNH3で、1個の窒素原子と3個の水素原子を持ち、水素を別の形で安全に運搬する「水素キャリア」としての役割も、期待されます。水素は気体では軽く大きな体積がネックで、液体にするには−252.87度と超低温が必要な、けっこう厄介な物質です。液体水槽は大型ロケットの燃料などにも使われていますが、容器をすり抜けて外に出てしまうという、ちょっと変わった性質も持っているそうで。ただ、TOYOTAは水素燃料と水素エンジン推しです。
世界の水の97%は海水と言われますから。その膨大な量がある海水から、水素を電気分解で取り出すための触媒を、筑波大学は、ありふれた卑金属だけを組み合わせた合金で、海水の電気分解に長期間使える高耐久性の電極を開発したと発表。やはり日本は、化学と素材研究は世界的にもまだまだ強く、こういう触媒の研究開発には、余念がありませんね。レアアースの輸出規制の嫌がらせにも、代替物質の開発や使用量大幅カットの工夫で、乗り切れましたからね。
■石炭とアンモニアで発電■
こちらはJERAの、国内のアンモニアを混ぜて燃焼実験(混焼)の話題です。昨年末からこっち、世界的には核融合発電の研究の話題で、持ちきりですが。たとえ核融合発電が実用化になっても、水力発電や火力発電は相変わらず、重要な発電方法のひとつであり得ると思うんですよね。たったひとつの発電方法に、オール・インすること自体が、リスクを高めますから。そして、石油よりも豊富にある石炭はまだまだ、有力な化石燃料足り得ます。
記事によれば、アンモニアは石炭に比べて、価格が高いのが課題だそうですので。それだけ石炭は、値段が安定して安いということなんですね。石炭に関して言えば、より安全性が高い第四世代の原子炉である高温ガス炉では、その製鉄にさえ使える超高温を利用した、石炭の液化も研究されています。そういう意味では、水素とアンモニアと石炭は、日本のエネルギー市場の未来を背負っていく、貴重な物質なのでしょうね。
ここら辺のネタはあまり 需要がありませんが、再生可能エネルギータスクフォースの、令和のゾルゲ事件と呼べるような状況を見ると、需要は低くても定期的にエネルギー関係の話題はアップしていかないといけないなと、つくづく思いました。文系の自分ですが、手塚治虫先生や藤子不二雄先生、あさりよしとお先生の、科学する心を育む漫画の影響は大きいので。これからもできるだけ触れていきたいと思います。
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