朝鮮総連と北朝鮮と

◉言及範囲が広く、やや纏まりのない文章でもあるのですが、現在の在日コリアン(韓国籍と朝鮮籍の両方を含む概念)の問題が網羅的に語られており、とても興味深かったです。小泉訪朝から拉致を認めて以降、圧力団体として日本の政治に一定の圧力を加えていた在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)も、すっかり影が薄くなりましたが。それでも授業料無償化などで裁判を起こすなど、活動自体は相変わらずです。

【朝鮮学校の授業料無償化を叫ぶ人はなぜ朝鮮総連と北朝鮮の関係を語らないのか】BJpress

最近、北朝鮮は相次ぐミサイル発射を繰り返しているが、韓国や日本の国民にとっては「またか」という程度で、大した威嚇になっていない。
 そのような状況下、北朝鮮の朝鮮中央通信は11月20日、いつもの北朝鮮話法で、次のように主張した。

「破廉恥な日本反動どもは、彼らをはじめとする敵対勢力の反共和国が進める侵略戦争のための演習騒動に対処した我々の自衛的措置に因縁をつけ、列島全域を朝鮮人排斥の乱舞場にしている」
「最近、朝鮮学校や学生、総連機関を対象に敢行された憎悪犯罪の件数だけで10件余りにもなる」
「これは日本当局によって引き起こされた計画的かつ組織的な国家犯罪である」

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72842

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、ユーラこと金聖柱こと金日成初代将軍様です。

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■言論と集会結社の自由■

詳しくは、上記リンク先の全文を読んでいただくとして。そもそも朝鮮総連という団体は、韓国では存在し得ないんですよね。そういう団体が、表立って活動できるし、なんなら裁判で最高裁まで争うことができる。欧米出羽守の批判とは逆に、日本というのは言論の自由と集会結社の自由がかなり守られている、バランスのある国だとは思います。その主義主張は認められませんが、発言する口を封じないというのが言論の自由ですから。

 現在、我々のような在日韓国人だけでなく、日本で住む外国人には参政権以外の権利と人権は与えられている。それを自国と単純に比べて、何の不満があるのかを考えてほしい。日本に住み、日本人同様に権利と人権が保障されているのがどれほどの幸せなのかがわかるのではないか。

同上3ページ目

そもそも在日コリアンの地方参政権獲得運動に熱心だったのは、韓国籍の在日コリアンだったんですよね。朝鮮籍の、朝鮮総連系の在日コリアンの方はむしろ、民族のアイデンティティを奪うものとして、地方参政権には否定的でした。それどころか、日本政府などからの公的援助も、恩を売ることで組織を分断しようとする策謀として、拒否していた時期もあったんですよね。

■特権はないが優遇はある■

朝鮮学校にしても、将来的には帰国することを前提として、日本国内で民族教育を施すのが目的でした。ところが地上の楽園と喧伝された帰国事業によって、帰国した親族たちからの手紙は、過酷な生活の現実と希望を間接的に訴える内容ばかりで。地上の楽園どころかこの世の地獄だというのが、ばれてしまいましたからね。けっきょく、帰国するわけでもなく帰化するわけでもない、曖昧な状況を維持して今日に至っているわけです。

ネイティブの韓国人の方に言わせると、朝鮮学校で教えている朝鮮語自体が既に、ピジン英語のように、日本独自の朝鮮語になりつつあるとか。朝鮮総連も、日本の公金を当てにし、地方参政権を求める方向に。しかしそれは、他の国の在日外国人と比較して、平等な状況と呼べるのか? 特権、というと定義の問題も出てきますが。少なくとも〝優遇〟されているのは疑いないわけで。国際空港の出入国さえ、他国人とは異なる扱いを受けていますしね。

帰国する気がないのなら、帰化するか・在日外国人として他の外国人と同じ扱いを受けるか。そのどちらかでないと、おかしいですよね? 在日アメリカ人の二世や三世と、特別永住資格を持つ在日コリアンの二世や三世と、扱いに差があるほうがおかしいのですから。それって出自・血縁による、特別な優遇ですから。一世ならともかく、二世三世までというのは、やり過ぎ。自民党も、馬鹿な政策を採用したものです。

■薩摩藩と在日差別■

鄭大均東京都立大学名誉教授などが昔から提案されているように、在日コリアンが日本社会で同化せず、生き続けるのは難しいだろうという立場に、近いです。理由は簡単で、民族のアイデンティティの継続を外部から強制すると、アイデンティティ的に子孫が苦しむから、です。薩摩藩は朝鮮出兵で連れてきた陶工集団に対して、日本人との通婚など同化を禁じたのですが。結果的にそれは差別を温存することになりました。

逆に、同じく陶工の子孫である呉智英夫子とか、ご自身が日本人であるというアイデンティティに揺らぎはない。これは佐賀の有田の方も同じ。先祖は朝鮮人ですが、それでアイデンティティに苦しむことはない。当たり前ですね、先祖が日本に来たのは、400年以上前の話ですから。ところが薩摩藩の場合は、本来ならば自然に起きる同化を、人工的に禁じて300年近く固定した結果、同和問題的な構造が生まれてしまったのです。

もちろんそのようなアイデンティティを維持するのは、当人の自由ですが。自分の友人の在日コリアンや元在日の人間の話を聞くと、祖父母が嫌がるから帰化できないとか、祖父母が亡くなった後に帰化したという話が、ちょいちょいありますね。あくまでも個人的な経験なので、一般化するつもりはありませんが。一世は自分の意思で日本にやってきて、半島との連続性もありますが。その連続性がない子や孫に、連続性を求めるのは違うと思います。

■親のエゴを子に押し付けない■

知り合いが子供を夏休みに故郷に連れて帰ったところ、祖母が長男の息子である孫に「この家は将来、〇〇ちゃんのものになるんだからね」と言われ、困惑したとか。地元で生まれ育ち、東京で今は働いているけれど、定年退職したらその知り合いは、故郷に戻るかもしれませんが。東京の団地で生まれ育ち、祖母の話す方言が理解できない孫には、父親の生まれ故郷は異世界でしかありません。

ダウンタウンの浜田氏が標準語を使う息子に、気色悪い言葉を使うなや関西弁を使えと、強制した話をテレビで語っているのを見たことがありますが。いくら両親が関西弁ネイティブであっても、東京で生まれ育った子供にとっては、ピジン関西弁を喋っても、違和感があって当たり前です。非常に俗な例えかもしれませんが、在日コリアンの二世三世の問題も結局は、本質的にはこれと似ていませんか? 子供は親の所有物ではありません。

日本で生まれ育ち、日本語で思考し、日本の文化に愛着がある子供や孫が帰化するの、親のエゴで止めるべきではありません。かのカール・ゴッチさんも、アメリカで生まれ育った娘にドイツ人らしさを身につけて欲しくて、逆に親子の確執を生んだ部分があったとか。朝鮮出兵で李氏朝鮮に残った日本人の子孫の村を、先々代の沈壽官さんが訪れたら、他の地域は田んぼの畦が曲がりくねっていたのに、そこは真っすぐで整然と区画されていたと。そういう部分で継承される文化はあるにしても。

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