![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/60178860/rectangle_large_type_2_63a7b36e59d08a7caeeb68acad9f9fb1.jpeg?width=800)
またワクチンへの恐怖を煽る朝日新聞
◉HPVワクチンの、積極的推奨再開が検討されたという良いニュースが流れたら、またイヤなニュースが。発信元はHPVワクチンの恐怖を煽った朝日新聞。さもワクチン接種によって30歳の若い息子が亡くなったとの、誘導記事。もう、朝日新聞は非科学的な記事しか書けなくなってしまったと? かつては科学朝日という雑誌も、同じビル内の子会社が発行していたのに。ここまで堕ちたか、と悲しくなります。
【接種後に30歳息子が死亡、涙ぐむ父 因果関係は不明】朝日新聞
米モデルナ社製の新型コロナウイルスワクチンに異物が混入していた問題で、広島県南部の男性会社員(30)が、国が接種を見合わせたワクチンと同じロット番号のものを接種した後に死亡していたことが分かった。男性の父親(63)が朝日新聞の取材に応じ、長男を亡くした無念を語るとともに、国に因果関係の早急な解明を求めた。
(中略)
父親は、使用見合わせとなったワクチンのロット番号が長男のものと同じと知り、「信じられなかった」という。「死因はワクチン以外考えられない。なぜ異物なんかが混じっていたのか。国は対処が遅すぎる」。ワクチンは必要だと考えるが、「安全が伴っていないと何の意味もない。息子は亡くなる必要がなかった。同じように亡くなる人が出ないように国は調査を急いでほしい」と訴える。厚労省は死亡と接種の因果関係は不明とし、専門家による分析を進めるとしている。(福冨旅史、東郷隆)
もう、朝日新聞グループには科学朝日の遺産は、残っていないんですね……。
◉…▲▼▲▽△▽▲▼▲▽△▽▲▼▲…◉
コレに対する反論は、現役の救急医が詳しく書かれていますので、転載しておきます。Twitterの医師たちは、一様にこの記事に呆れたり、怒りを表明しています。当たり前ですね、朝日新聞は基本的に、ずっと反ワクチンで要らん情報を発信していますから。反政府・反権力が自己目的化して、トンデモ医学を発信してしまっているのですから。旧メディアも、もう限界でしょう。
ご子息を亡くした方の無念は察するに余りありますし、亡くなった方のご冥福を心からお祈りいたします。
— 手を洗う救急医Taka(木下喬弘) (@mph_for_doctors) August 31, 2021
その上で、科学的な観点から一定の見解を示す必要性を感じましたので、長くなりますが書きます。
接種後に30歳息子が死亡 「勧めたのは私」涙ぐむ父:朝日新聞デジタル https://t.co/HZhKwufcaC
救急医としては、20代や30代の方が突然の心停止で搬送されてくることはそんなに珍しくありません。
— 手を洗う救急医Taka(木下喬弘) (@mph_for_doctors) August 31, 2021
しかし、私の友人で20代30代で心停止を経験した人は知りません。
数十万人という人口の中で発生した心停止を、1つの救命センターで診療しているとそうなります。
数千人ではそうなりません。
今回のワクチンは1億回以上打っているわけですから、当然ワクチン接種の数日以内に、偶然心停止が起こることは想定されます。
— 手を洗う救急医Taka(木下喬弘) (@mph_for_doctors) August 31, 2021
しかし、当事者になってみると、あまりに急な出来事で、にわかには信じられないのは当然のことです。
ワクチンが原因だと考えても不思議ではありません。
この記事の何が問題かというと、今専門家が「混入していた異物はなんだったのか」ということを調べている途中にも関わらず、「ワクチンが原因だと信じている人」のナラティブを紹介したことです。
— 手を洗う救急医Taka(木下喬弘) (@mph_for_doctors) August 31, 2021
これは2013年に「杉並区が補償することを決めた」HPVワクチンの有害事象の女性の報道以上に悪質です。
では、このようなことが今回のモデルナのワクチンが原因で起こりうるのでしょうか。
— 手を洗う救急医Taka(木下喬弘) (@mph_for_doctors) August 31, 2021
ポイントとしては、
1. そもそもモデルナのワクチンで起こりうるのか
2. 異物の混入によって起こりうるのか
という2点になると思います。
結論としては、情報不足ではありますが、どちらも考えにくいです。
まず、モデルナのワクチンでの確かな死亡例は日本でも米国でも見つかっていません。
— 手を洗う救急医Taka(木下喬弘) (@mph_for_doctors) August 31, 2021
ただし、「ワクチンによって起こる」心筋炎が原因で死亡した事例は、韓国などで報告はされています。
このように、ワクチンが原因で亡くなるのであれば、何かの疾患を引き起こして亡くなる可能性が高いです。
この方が心筋炎を発症していて、その後亡くなったのであれば、ワクチンが原因と言えると思います。
— 手を洗う救急医Taka(木下喬弘) (@mph_for_doctors) August 31, 2021
ご家族の同意の下で解剖すればある程度は分かる可能性があります。
しかし、接種後に胸痛や息切れなどの症状がなく、突然亡くなるほどの症状が出るのは、刺激伝導系の炎症などを除きかなり考えにくい
もう1つ、異物が原因という可能性について。
— 手を洗う救急医Taka(木下喬弘) (@mph_for_doctors) August 31, 2021
まずそもそも、当該ロットは異物が見つかったロットではありません。
異物が見つかったロットと同じ施設で同じ時期に製造されていただけです。
このロットを使った医療従事者が全員異物に気づかなかったのかも知れませんが、まずはこういう状況です。
さて、このロットにも異物があったとして、それが「接種から数日経った突然の心停止」をきたすのでしょうか?
— 手を洗う救急医Taka(木下喬弘) (@mph_for_doctors) August 31, 2021
これは極めて考えにくいです。
「接種から数日経って」「突然」というところがポイントです。
投与したその場で心臓が止まるような注射薬はいくつかあります。
— 手を洗う救急医Taka(木下喬弘) (@mph_for_doctors) August 31, 2021
しかし、「投与直後には特別な症状がないのに、数日してから突然心停止を起こす薬」というのは知らないです。
そんなものがあれば、容易に完全犯罪が成立します。
同じバイアルを接種した人に異変がないというのもおかしいでしょう。
ましてやそんな物質が故意ではなく、製造過程で偶然混入するとは到底思えません。
— 手を洗う救急医Taka(木下喬弘) (@mph_for_doctors) August 31, 2021
(故意なのであればそれは殺人であり、ワクチンの安全性の問題ではないでしょう)
どちらも「絶対に起こり得ない」ことを保障はできませんが、接種を止めるリスクの方が大きいという厚労省の判断は妥当だと思います。
にも関わらず、専門家の調査の途中で、個人のエピソードを取り上げて、いたずらにワクチンの安全性に疑念を抱かせる報道を行ったことは、流石に看過できません。
— 手を洗う救急医Taka(木下喬弘) (@mph_for_doctors) August 31, 2021
何の科学的な根拠にも基づかない批判的な記事は有害でしょう。
この点は、朝日新聞は考え直していただく必要があると思います。
要するに、統計のマジック。日本人は全国で、一日に3000人ほどが亡くなっています。人口が集まる東京なら、普通に300人ほど。昔、自称超能力者のユリ・ゲラー氏が、テレビから念を送ると称して、壊れた腕時計があるならテレビの前で持っていて欲しい、と言い公開実験に入りました。彼が深刻そうな顔で念を送ると、テレビ局のスタジオ内の電話が次々と鳴り出し、止まっていた時計が動き出した、と。
でもコレ、当時の視聴率数十%の番組で、観ていた視聴者は数千万人。その中の0.1%、数万人が壊れた時計があり、手に持っていれば、手の体温で固まっていた油が溶けて動き出すことは、これまた0.1%でも数十人はいるわけで。結果、スタジオの電話は鳴りっぱなしに。分母が大きいと、数百万分の1でもこういうことが起きるわけで。高学歴の朝日新聞記者なら、知ってたでしょうに。福冨旅史記者と東郷隆記者、今後もウォッチする必要があるトンデモ記者かもです。
売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ