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ロシア連邦の崩壊危機?

◉これは、内部崩壊の予兆ですかね? エフゲニー・プリゴジン氏による〝プリゴジンの乱(ワグネルの反乱)〟で、すでにロシア連邦軍は内部的に、かなりの動揺が来ていたのですが。それを、ある種の騙し討ちで粛清した可能性が高く、力で抑え込んだプーチン大統領だったのですが……。こうやって内部から、反乱が再び起きると、組織としては厳しいです。あからさまな判断には至らなくても、命令無視やサボタージュで、どんどん軍隊としての士気は落ちているでしょうから。

【ウクライナ拠点のロシア人準軍事組織、ロシアに入り交戦と発表】BBCニュース

ウクライナに拠点を置くロシア人準軍事組織が12日、国境を越えてロシアに入り、政府軍と交戦したと発表した。

「自由ロシア軍団(FRL)」と「シベリア大隊(SB)」は、ロシア南西部ベルゴロド州とクルスク州にいるとされる戦闘員らの映像を公開した。

また、FRLと亡命中のロシア人政治家は、この地域の2カ所の村が「解放軍」の手にあると主張した。

一方、ロシア軍は侵略を阻止したと発表。ウクライナ兵234人を殺害し、複数の戦車を破壊したとした。

https://www.bbc.com/japanese/articles/c29w548d7k0o

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、ウクライナ侵攻に反対するイラストです。

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■傭兵が反乱を起こす■

詳しくは、上記リンク先の全文を、お読みいただくとして。いよいよロシア連邦軍も、内部から崩壊も始まったのか、この情報は貴重ですね。ウクライナに拠点を置くロシア人準軍事組織って、要するにプリゴジン氏の民間軍事会社ワグネル・グループと同じ、傭兵部隊みたいなもんですよね? 正規軍だけでは軍隊が維持できてないのは相変わらずだというのが分かりますし、プリゴジン氏の粛清を持ってしても、抑えが効かなくなっているようで。

もともと傭兵というのは、愛国心は薄いですから。かのナポレオンが連戦連勝だったのは、指揮官としての彼の能力の高さもありましたが、フランス革命によって生まれた国民国家の兵隊は、非常に高い愛国心を持ち、死ぬまで戦ったので、国王のポケットマネーで雇われた旧来の軍隊よりも、圧倒的に強かったのです。金で雇われた傭兵は、戦局が悪化すれば命あっての物種と、とっとと 逃げ出すんですよね。やる気のないプロより、やる気のある素人。

本来は逃げ出すはずの傭兵が、逆に雇い主に楯突く。プリゴジン氏への粛清で、ロシア人準軍事組織んは逃げるという選択肢がなくなったのでしょう。まさに「窮鼠、猫を噛む」状態ですね。こうなると、行き着く先はクーデターか暗殺か? もしそれを運よく抑え込めたとしても、ウクライナ侵攻が失敗に終われば、プーチン大統領は失脚です。内乱か暗殺か失脚か──嫌な三択ですね。プーチン大統領、疑心暗鬼で壊れるかな?

■ロシア革命との類似■

こうなると、ロマノフ王朝が滅びた、ロシア革命の再来を予感してしまいます。第一次世界大戦において、帝政ロシア軍は当初、ハプスブルク軍を破ったんですが。その後は、ドイツ軍に連戦連敗。武器弾薬も消耗、なのに数で力押ししようと、ろくな装備もないのに新兵を徴兵して、訓練期間もそこそこに送り込むという、どこかで聞いた展開をやらかします。それでは士気が上がらず、腹を立てた皇帝ニコライ二世が親征。これで政治の空白が置き、ロシア革命に繋がるのですが。

ロシア革命の、もうひとつの要因は食料危機で、市民がパンをよこせとデモを始めた困窮状態が、大きかったんですよね。これはフランス革命も同じですが。政治とは畢竟、国民を食わせること。なのに帝政ロシアは、増税をして国民の反感を買い、しかもその課税が、賄賂を出す富裕層は除外という、偏ったものだったので火に油を注ぎ。日露戦争では負けるし、第1次世界対戦では苦戦し、モスクワ大公国から数百年の歴史を誇るロマノフ朝は、ロシア革命で滅びたわけです。

【プーチン政権「戦時増税」検討 所得税最大20%に―ロシア報道】時事通信社

 ロシアの独立系メディア「バージニエ・イストーリー」は11日、プーチン政権が個人所得税の増税を検討中で、最高税率を現行の15%から20%に引き上げる可能性があると伝えた。ウクライナ侵攻が長期化する中、西側諸国の制裁による歳入減を補い、戦費を穴埋めする「臨時増税」の側面がありそうだ。

 プーチン大統領は1期目の2001年、個人所得税を一律13%とするフラットタックスを導入。1990年代のハイパーインフレによる累進課税の混乱を克服し、税収増につなげた。21年に原則13%を維持しつつ、年500万ルーブル(約800万円)を超える分に対して15%の税率を設定し、累進課税を部分的に復活させていた。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2024031101057&g=int

帝政ロシアは、直間比率の是正を目的とした税制改革を行おうとするのですが、結局はロシア革命によって頓挫してしまいます。衆参同日選挙で300議席を誇る大勝利をもたらした中曽根康弘内閣も売上税の導入で失脚し、鉄の女と呼ばれたイギリスのサッチャー政権も、税制改革・新税制の導入を強行しようとして、退陣に追い込まれました。内政も外交も、これだけ結果を出している岸田文雄内閣にしても、増税しそうな雰囲気だけで内閣支持率はガタ落ちです。

■歴史は繰り返さない■

歴史というのは、偶然の連続と積み重ねであって、厳密な意味では「歴史は繰り返さない」のですが。それでも、韻は踏むということで。実の娘である藤島ジュリー景子への世襲を強行しようと飯島三智役員を追放したメリー喜多川女帝の暴走とジャニーズ事務所の崩壊が、秀頼への権力移譲にこだわり関白秀次を粛清した豊臣政権の崩壊過程と、非常によく似ているのと同じです。このままだと第二のロシア革命、待ったなし! でも、スターリンの再来は要らんですが。

現在のプーチン政権はある意味で、ヒトラー政権にも似てます。1918年の第一次世界対戦の敗北によって、栄光のドイツ帝国は崩壊し、莫大な賠償金によってハイパーインフレが起き、ドイツ経済は完全に死んでしまいます。そんな状況の中で登場したのが、強いドイツ復活を志向したヒトラーでした。1933年には大統領による指名を受けてドイツ国首相となり、1945年には敗戦。わずか27年間の出来事です。

1991年のソビエト連邦の崩壊から33年。実際にウクライナ侵攻したのは、29年目のことですから。ヒトラーよりは長く生き残ってはいるのですが。ポーランド侵攻とクリミヤ半島併合とか、台頭してきた状況とかその後の行動とか、両者は似ています。ヒトラーという失敗の前例がある分だけ、プーチン大統領のほうが、慎重といえば慎重です。ただ、戦争依存経済も、持って2年ぐらいでしょうか。今夏のF-16投入で、一気に崩壊の可能性も。

ロマノフ朝から400年以上、常に周辺国にとって脅威であり続けた権威主義国家が、2度目の崩壊を迎える歴史的瞬間に、自分たちは立ち会えるかもしれません。


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