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中国にTPP加入資格なし

◉自民党の世耕弘成参院幹事長が、処理済み水の海洋放出に対する、非科学格的な言動を繰り返す中国に対して、厳しい反撃を突き付けましたね。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)はそもそも、経済的な対中国包囲網という側面があります。ぶちゃけ、21世紀のブロック経済圏のようなものですから。さらに言えば安倍晋三元総理が提唱したクアッドは、軍事的な対中国包囲網。中国を入れるわけには行きませんので。

【自民・世耕氏「中国はTPP加入資格なし」 処理水で反日活動】産経新聞

 自民党の世耕弘成参院幹事長は29日の記者会見で、東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を受けた中国による日本の水産物の輸入全面停止に関し、「科学的な根拠なく、政治的・恣意的に特定の国の特定の水産物を全面禁輸するような国には、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に加入する資格は全くないと思う」と述べた。中国はTPPへの加入を申請しているが、TPPは高水準の自由貿易協定のため、世耕氏は否定的見解を示した形だ。

https://www.sankei.com/article/20230829-TWWMLAJ3IZM2HJCOQRHRB7ODMU/

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、ハワイの夕景だそうです。

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■ビスマルクの言葉■

明治の元勲たちは、不平等条約解消のためと、海外の見聞を広めるために、岩倉使節団として欧米各国を回りましたが。東洋の無名の島国の使節団に、本気で対応してくれるところはほとんどなく。儀礼上は歓待はしてくれても、国際政治の本質的な部分を語ってくれるはずもなく。ところが、ドイツの鉄血宰相オットー・フォン・ビスマルクだけは、本音で 国際政治のいろはを語ってくれたわけです。これが、今でも通用する内容です。

曰く「現在世界各国は親睦礼儀をもって交流しているが、それは表面上のことである。内面では弱肉強食が実情である。私が幼い頃プロイセンがいかに貧弱だったかは貴方達も知っているだろう。当時味わった小国の悲哀と怒りを忘れることができない。万国公法は列国の権利を保存する不変の法というが、大国にとっては利があれば公法を守るだろうが、不利とみれば公法に代わって武力を用いるだろう」

いかがでしょうか? 万国公法を国連の合意に置き換えれば、なぜロシア連邦軍はウクライナに侵攻したのか、的確に語っているかのようです。中国がIAEAの調査や、世界中の まともな 物理学者の指摘を無視して、日本の水産物の輸入全面停止という暴挙に出たのかも、要するに国際社会の本音としての、力による現状変更の部分を、ロシア連邦 や中国は むき出しにしているということです。これは北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)も同じですが。

■外交プロコトル■

だから日本もアメリカも、現実的な力としての軍事力を必要とし、その軍事力に加えて外交力や経済力、国際的な信用など、総合的な力が必要になるわけです。これはある意味でヤクザの力の論理と同じで、暴力・財力・交渉力・友好団体数・有能な弁護士や病院をどれぐらい抱えているかなどまでが、力の源泉です。非武装中立なんてのは、クリエイティブではない暗記型秀才がこねくり出した机上の空論です。国際政治というのは血脂がベタつく世界です。

と言っても、外交には色々と細かいプロコトルがありますから。「遺憾の意とかヌルいことを言ってねぇで、もっとビシッと厳しいことを言え!」という国粋主義者がいますが。そういう人たちが望むようなレベルの発言は、下手すれば戦争になるレベルですから。そうなったら中国は間違いなく、在中邦人を人質にとって動いてきますから。外交というのは難しくて、揚げ足や言質を取られないように、言葉を丸めてやるものです。

北朝鮮のように、「〇〇を火の海にする」なんて発言は、まともの国ならやらないし、できません。例えば 日本最大の暴力団である 山口組は、任侠道の建前の部分を掲げていますし、実際に戦後の混乱期は不逞外国人から体を張って日本人を守った実績、覚醒剤使用は破門の内部の規約、阪神淡路大震災で真っ先に炊き出しをしたようなボランティアなど部分も含めて、です。ヤクザですら建前は建前として、それを掲げて守ることが一般人からの信用につながるわけです。

■対中国包囲網■

優秀なヤクザの組長のような人物であったビスマルク。彼の外交は、簡単に言ってしまえば、対フランス 封じ込め政策でした。フランス革命によって音声が廃止されたフランスでは、それまで国王のポケットマネーで雇った傭兵、私兵のような存在であった軍隊が、徴兵によって巨大な戦力を得ることが可能になりました。国民主権とセットで、国民皆兵はありますから。

傭兵は戦争のプロのようなイメージがありますが、所詮はカネで雇われた人間。負けそうになったらとっとと逃げますし、プリゴジン氏のように獅子身中の虫にさえなってしまうこともあります。しかし、自分の国は自分で守るという意識の徴兵は、死ぬまで戦うので、戦争にも強かったので。この結果、小領主の連合体のような政治形態だったドイツは、フランス軍に攻め込まれて、コテンパンにされてしまいます。その結果、ドイツは統一され近代化に向かうのですが。諸藩の寄り合い状態だった江戸時代の日本と、似ていますね。

ビスマルクは「私の中にあるイメージとしては、どこかの領土を得るという事ではなく、フランス以外の全ての列強が我が国を必要とし、また列強相互間の関係ゆえに我が国に敵対する連合の形成が可能な限り阻止されるような全体的政治状況というイメージである。」と述べており、フランスを孤立状態に置くことがその外交の基本。安倍晋三元総理の構想も、これに近いと考えると理解しやすいでしょう。中国が中東やアフリカとどんなに接近しようと、アジアの中では孤立させるという戦略。

■遠交近攻策■

孤立と書くと、何やら国交を断絶させて、経済制裁をかけるようなイメージがありますが。そうではありません。それでは韓国に対して、断交を連呼するアホな嫌韓房と同じです。国交断絶 状態という点に関して言えば、日本は北朝鮮とも台湾とも断交状態ですが、その温度差は明らかに異なります。本音の部分はどうあれ、中国が日本に対して迂闊に手を出せない状況を作ってしまう。友好的な状況を作った方が得だと、思わせるような状況を作ること。それが孤立化の意味。

現実問題として中国という国は、左派がどんなに擁護しようとも。チベットを侵略し、ウイグルを弾圧し、香港を弾圧し、それにはインドやベトナムと国境紛争を引き起こし、フィリピンや韓国やモンゴルとも国境問題を抱え。周辺国にとって迷惑な国家であるという点においては、ロシア連邦と同じです。と言うか 歴史的にも、常に周辺国にとっては脅威の、覇権主義国家ですから。同時に世界的にも重要な国なのは間違いないですから。

直接の戦争はやらなくても、緊張感は維持しつつ、でも 貿易などでは、双方にとって美味しい部分は継続する方が得策ですから。ここらへんが、ヒステリックな嫌中派や嫌韓派の人間には、どうしても理解できないようですが。国際政治とは、左手にナイフを隠し持ちながら、右手で握手するような世界なので。そうやって長いスパンで、相手が暴発しないようにしつつ、変化を促す。時間はかかっても、戦争で多くの血を流すよりも、得策でしょう。

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