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京大チームが超伝導体でノーベル賞級の大発見?

◉あらぁ……韓国のLK-99について、ドイツのマックス・プランク固体研究所の研究チームが、これは超伝導体ではなく数百万オームの抵抗を持つ絶縁体だったと、ダメ出しし。論文撤回することはありますが、それでも権威中の権威である科学雑誌Natureもオンライン版で報じた直後に、こんな情報が──。しかもこちらは、追試にも成功してNatureに論文掲載とのこと。ううむ、今年は早くも8月にノーベル症を発症した韓国ですが、高く持ち上げられてからの、垂直落下式DDTを食らった感じですね。

【幻の常温常圧超伝導ニュースを超えた! 京大チームが超伝導体で「ノーベル賞級」の大発見か】Newsweek

<韓国チームの開発したLK-99について、科学界は「常温常圧超伝導体は幻だった」と結論づけている。そんななか、67年前に予言され、理論上だけの存在だった「パインズの悪魔」を京大教授らが観測。ノーベル賞級の研究成果が発表された>

https://www.newsweekjapan.jp/akane/2023/08/post-63.php

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、なんか、原子核っぽい感じのイラストが出てきたので。

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■超電導狂想曲■

そもそも、超伝導自体が、実はまだまだ謎の部分があるんですよね。自分が子供の頃、科学番組とかで電気抵抗がゼロになり、試料が空中に浮く現象自体が、とても神秘的でした。そのときの、液体ヘリウムの容器を這い上がる不思議な動きも、印象的でした。自分が子供の頃は、宮崎にリニアモーターカーの実験線が建築され、次々と最高時速記録を塗り替えていたもので、地元のテレビ局とかでも、リニアモーターカーの超電導磁石を使った浮上と推進の原理とか、説明されていたんですよね。まだ新幹線が200キロ台だった時代、500キロを超えるスピードは、未来を感じさせてくれました。

常温常圧超電導は、たしかに魅力ではありますが。今の最高温度記録が10度あがるだけでも、科学的には大躍進なんですけどね。液体ヘリウムが必要な冷却が、液体窒素になるだけでも、コストが違います。ヘリウムは希ガスで、生産量も少ないですが、窒素は空気中に大量に含まれていますからね。いくら最高温度が高くても、安定しない物質では、これまた産業的にはダメ。超伝導状態が突然なくなる、破れ現象もあるようですから。マイナス100度ぐらいで安定して超電導状態が可能な物質のほうが、よほど産業的には有望な物質ですしね。

■パインズの悪魔■

査読なしで、取り敢えず論文を発表できるという、arXiv自体は魅力的なんですが。Natureなど権威と呼ばれる科学雑誌は、それだけの実力を持ってるわけですから。理系は再現性という、誰の目でも確認できる結果が求められますからね。で、追試にも成功してNature掲載。しかし、この現象にまだ未解明の部分があるとして、67年前に予言していたとは。検索したら1924年生まれなので、ご存命かどうかはわかりませんが。もし将来、この研究が進んだら、ノーベル賞とは違う形で、顕彰されるべき人物かもしれませんね。すごすぎて、時代が追いつかなかったんですから。

通常、電子は質量と電荷(電気の量)を持っています。ところが1956 年にアメリカの理論物理学者のデイビッド・パインズ博士は、固体中で電子が奇妙な振る舞いをする可能性を予言しました。電子が結合して、質量がなく、電気的に中性で、光と相互作用しない複合粒子を形成できると考えたパインズ博士は、この新しい粒子を「特異な電子の運動(DEM:distinct electron motion)」と粒子を表す接尾辞「on」から「DEM-on(悪魔)」と名付けました。

同上

『パインズの悪魔(悪魔粒子)』……名前からして『マクスウェルの悪魔』っぽいですね。科学の中にそういう言葉が出てくると、なにやら神秘性を感じて、興味を引きますね。『フレミングの左手の法則』や『シュレーディンガーの猫』ではないですが、そういう言葉によるイメージって、文系人間に対しても、興味のきっかけになるので大事かと。いちおう、英語でDEM-onと掛詞になってるんですね。こういう部分は、翻訳されると失われがちですが。『パインズの悪魔粒子』がミノフスキー粒子並みに、メジャーになる日が来るかもしれませんね。

■超伝導の神秘■

さて、問題の核心はここ。超電導にはこの、『パインズの悪魔粒子』が関わっている可能性。ここが解明されれば、最終的には超伝導という現象の、全てが解明されるかもしれません。存在自体は67年前から予言されていて、それが解明され、実用化されるにはさらに時間がかかるんでしょうけれども。アインシュタインが相対性理論を発表したときだって、物理学者はその内容に驚愕しましたが、実際に応用されるには、原爆まででさえ数十年、原子力発電までさらに時間がかかりましたしね。先は長いんでしょうけれど。

これまでの実験から、悪魔粒子の出現とともに電子の保持するエネルギーに変動が起きていることが判明しています。もしかしたら、悪魔粒子は超伝導を引き起こすための重要な役割を担っているのかもしれません。悪魔粒子と超伝導の関連性を知ることができれば、今度こそ常温超伝導体を十分な再現性をもって作成できるかもしれませんね。

同上

常温常圧で最も高い超伝導転移温度をもつ物質は、現在は135 Kの転移温度が観測された銅酸化物超伝導体で、これが1993年に発見されもの。意外と、止まっているんですよね。液体窒素の沸点が77K、摂氏-196度。液体酸素は沸点が90K、摂氏-183度。ドライアイスの昇華温度が195K、摂氏-78度。常温常圧超伝導なんてすごいところに至らなくても、-78度まで持っていければ、劇的に変わるんですね。そこが解明されるまでは、どれぐらいかかるかわかりませんが。自分が生きてる内に、ドライアイスで走るリニアマーターカーとか、乗ってみたいですね。

どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ


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