安倍晋三元総理の国葬が今秋に
◉岸田総理大臣が、安倍晋三元総理大臣の国葬を今年の秋に行うと、表明されました。NHKも報じたので、ほぼ確定ですね。憲政史上最長の在任期間、その外交手腕はアメリカ・イギリス・欧州各国・中東・アジアでも高く評価されていましたから。暗殺による突然の死という悲劇性も含め、これは当然ですね。さっそく、アベガーの皆さんが暴れまわっていますが。コップの中の荒らし。いや、嵐。法律や警備体制なども含め、政府は粛々と進めてほしいですね。
ヘッダーはウィキペディアより、西園寺公望の国葬の写真です。
■弔問外交の重要性■
アベガーの方々は知らないかもしれませんが、この世界には「弔問外交(diplomacy of condolence)というモノがあります。各国の要人や影響力の大きな人物の葬儀が行われた時、各国から国家元首クラスや外務大臣レベルの人物、あるいは特別派遣大使が派遣されます。そうなると、主要国の要人が揃うのですから、公式・非公式で会談が持たれて、懸案事項が話し合われます。この場合、元大統領や元首相が特派大使になり、公的ではないけれど深い話がされます。
近いところではイギリスのマーガレット・サッチャー元首相や、南アフリカのネルソン・マンデラ大統領などの国葬が、有名ですね。マンデラ大統領クラスになると、政治家以外にもチャールズ英皇太子などの王族、宗教指導者や世界的に影響のある人物が来訪し、それはもう凄いツーショットが流れました。オバマ大統領とラウル・カストロ議長が国交回復前に握手したり。日本でも、昭和天皇の大喪の礼でも、中国とインドネシアの国交回復交渉が行われたとされます。こちらは非公式なので、内実はわかりませんが。
■安倍外交を振り返る■
トランプ大統領時代の四年間、ドイツのメルケル首相はトランプ大統領が個人的に嫌いで、外交的にはかなり行き詰まっていたわけで。それは、EU内の他のヨーロッパ諸国も同じ。なので、トランプ大統領ともチャンネルがあり、欧州各国の首脳陣とも良好な関係を築いていた安倍元総理は、貴重な仲介役だったわけです。これをケツ舐め外交のなんのという下品な方もいましたが。でも安倍総理は同時に、イスラエルの国際法違反を批判もしていたんですよね。
ここらへん、Twitterで書いたら知らないアベガーがいて、呆れましたが。だからこそ、中東のアラブ各国とも対話のチャンネルがあり、成功とは行きませんでしたがイランとの交渉だって、引っ張り出されたわけで。あれも、何も成果がなく、イラン国内の反米派から日本の船舶が銃撃を受けたと揶揄するアベガーが多かったですが。残念ながら、G7の首脳で、その役ができたのは安倍元夫総理だけで、他ならそもそも門前払いです。これは、日本の中東外交の積み重ねてきた歴史も込みですが。
■日本史上初の快挙■
で、アメリカ的にはインド太平洋に割く余裕が無いところで、中国に傾斜していたオーストラリアと、全方位外交で曖昧な態度のインドを引き入れて、自由で開かれたインド太平洋構想をアメリカに提示し、上手くまとめ上げたわけで。外交下手の日本の歴史で、世界に通用する政治的指針を示し、実行した宰相なんて、過去にいません。この点だけでも、吉田茂・岸信介・中曽根康弘を超えたと言ってもいいぐらいなんですが。アベガーの皆さんには、理解できんでしょうね。
だから、ローマ教皇からもエリザベス女王からも、弔事が届くわけで。ローマ教皇とか、リベラルですからね。特にイギリスは、クアッドでインドやオーストラリアという旧英連邦国家を引き入れたわけで。加えて、次期戦闘機の開発をアメリカに話をつけつつ、イギリスとの共同開発に持ち込んだわけで、そりゃあエリザベス女王としては評価が高くて当然です。アメリカ・欧州・中東・アジアと、その外交は充分に評価されているんですよ、アベガーの皆様には認められなくても。
■毛利ではなく黒田になれ■
弔問外交に話を戻せば。アベガーの皆様からしたら、安倍元総理がマンデラ大統領並みの評価を受けるのは、認め難いでしょうね。ヒトラーになぞらえて批判していたのですから。でも、世界的にはメルケル首相の次ぐらいにリベラルな評価。当たり前です、世界的な基準では民主党のオバマ大統領とか、自民党より右なんですから。単純に、日本の国益のためにも、国葬は開くべきだし、期間を置いて、大物が参列しやすいようにするのもまた、政治のリアルです。
毛利攻めの最中に本能寺の変の報を聞き、狼狽とすると秀吉に「御運が開かれる機会が参りましたな」耳打ちし、中国大返しを献策した軍師・黒田官兵衛孝高のようなもので。国際政治は血脂がべとつく世界です。もっともこのせいで、晩年の秀吉は官兵衛が自分の天下を奪うと警戒したとか。でも、政治家は安倍総理の死を利用して手柄を立ててやれ、ぐらいの腹黒さが必要。アベガーの皆様の幼児的な感情論は無視して、岸田政権が粛々と法整備や警備計画を進めるべき理由です。
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